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M&A法務でここだけは気をつけろ!

こんにちは


今回は私がM&A実務をこなしていく中で、意外と避けることができない契約書周り、つまりM&A法務に関して記載をしたいと思います。

この記事を読むことで、M&A取引のより実践的な部分について理解が深まるでしょう。

M&Aに興味がある方、M&A仲介の方にとってはお役にたてる記事になるかと思います。

さあ見ていきましょう

M&A契約で揉めるポイント


バリエーションなどももちろんそうですが、今回は法務にスポットを当てますね。

  • クロージングの前提条件

  • クロージング後の条件

  • 表明保証・補償

これらが結構焦点になってきます。

クロージングの前提条件

これは何かといいますと、

クロージングとは実際に買い手が買収対価を振り込み、売り手は会社株式などの権利を買い手に譲渡することですが、

これを実行するために満たされていないといけない条件です。

具体的には

M&A対象事業が製造業だとします。

その事業では、市場価格よりもかなり有利な価格で材料を仕入先A社から仕入れていました。

M&Aにて親会社が変わる場合、仕入先A社の承諾を得る必要がある契約になっていたとしましょう。

もしM&A後、承諾が得られない、または承諾を得ても仕入価格を引き上げれられた場合は、

対象事業の収益力に影響し、バリエーションに大きな影響を及ぼします。


さてここでクロージングの前提条件をどうするかと言うと

ここで売り手からすれば

仕入先A社より承諾を得られるよう最大限努力する

買い手からすれば

仕入先A社より、承諾を得ることを前提条件とする

としたいところです。

このあたりは難しいですよね。

一つの現実的な着地としては、承諾を得られなかった場合、仕入価格が上がる分をバリエーションから減算する

というのがありますね。


クロージング後の条件

よくあるのが、

M&A後、対象事業の従業員雇用に関する論点があります。


事業ごと売却される従業員の不安感は想像以上です。

「新しい会社でクビを切られるかもしれない」
「なじめないかもしれない」

一方で、買い手にとってもせっかく買った事業から人材が辞めていくことは

事業価値の毀損になるので、避けたいです。

売り手からすれば、自分の会社の従業員の雇用は守られて欲しい

買い手からすれば、買収後機能しない人員は基本的に人員整理の対象としたい

利害が相反しますよね。

ここでの現実的な着地点は、

2年間は同条件で雇用継続とする。ただし昇給や人事評価の基準は買い手企業の規則に準ずる。

となるケースがあります。

買い手にとっても、すぐに人員整理をする予定はない。売り手にとっても従業員に安心感をもってもらう意味でも一定の納得感が得やすいものです。


もう一点論点があります。

競業避止の条件です。

これは、M&A取引後、売り手がまた同じ事業を実施してはいけないとする条件です。

買い手からすれば、競合が増えることで、買収した事業価値が競争により低下することは避けたいですよね。

よってよくある着地点は

クロージング後5年間は対象事業と同様または類似競合する事業は行わない

という条件をつけます。

また同時に、期間中は売り手が第三者を通じて、
対象事業からの引き抜きや退職勧告は禁止とします。

そりゃそうだっていう話ですよね。

表明保証・補償

まずは表明保証から説明します。

これは簡単に言うと、

売り手が開示した情報にウソ偽りはないよな?そこは保証しろよ。もしウソなら損害賠償してもらうぞ

という条件です。

そもそも売り手と買い手には多くの情報格差があります。

買い手は売り手から開示された情報を基に、短期間でバリエーションを算定し、買収をするのです。

買い手にとって想定外の損害が及ぶ可能性があります。

そのため売り手が提供した情報は合理的に作成され、財務諸表についても監査を受けたもので間違いありませんというような保証をするということです。

カーブアウトの際は、売り手が保有している情報を基に、分割PLや分割BSを作成したものを買い手に提供したりします。

また事業計画書も売り手の想定にて作成されます。

そういった特に第三者の正式な手続きを経ていないものについては

保証の対象としないケースが多いですね。

さすがにそこまで保証すると売り手のリスクが高すぎます。

補償

これは表明保証した内容に齟齬があり、買い手にとって不利な事実が露見した場合に備えて用意される項目です。

実際にいくら売り手が払うのか上限を定めます。

青天井としてしまうと、売り手のリスクが跳ね上がるので、実務上多いのが

譲渡対価の20~30%を上限とする

というのが多いです。

また永遠にこの補償が残るわけではなく、クロージング後2年間とする

というように期限付きです。

まとめ

ここまで解説してきましたが、実務では意外とやり取りが面倒な論点です。

私も買い手として案件をこなしますが、売り手と揉めることが多いポイントです。

特に企業にはかならずキーマンが存在します。

そのキーマンが退職しないことを買い手としてはクロージングの前提条件としたいところですが、

売り手からすれば、それは従業員自らの意思決定であって、コントロールできないもの、その部分を保証することは困難というケースが多いです。

ちなみにこの場合は、売り手から従業員に強制力のない誓約書を取ってもらい、それをもってクロージングとすることが多いですかね!

M&Aは実務で学べることも多いですが、しっかりと前提となる知識を入れておくことが肝要です。

下記にてM&Aを学ぶ上で、おすすめの本を紹介しているので、是非ご参考にしてください!



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