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超力兵団のストーリーを深読み逆算してみる(ネタバレのみ)

ネタバレありじゃなくて、ネタバレのみ。ひととおりエンディングまで見て結局何だったんだ?という備忘録です。先に書いておくとオチはない。

発端は遥か未来の「ライドウ」

真2はニュートラル・エンドしたことになってるっぽい

これはロウ・エンドのやつ

作品世界の「正史」としては、1990年代に真・女神転生1の一連の出来事があって、2020年以降に2の一連の出来事があったことになっているようだけど、本作のストーリーの起点となっている遥か未来のライドウはどうもテンプルナイトだったようなので、2はニュートラル・エンドしたことになってるっぽい。ロウだと地上が吹っ飛ぶし、カオスだとセンターが崩壊しちゃうので。その時代のライドウはテンプルナイトの立場を捨てて失踪したという証言がアカラナ回廊内の時間旅行者から得られる。アカラナ回廊のマップ名をそのまま信用するなら、その未来のライドウは2050年代かそれ以降の時代からきたとは言えそう。

「為すべきことがある」

失踪直前、同僚に「為すべきことがある」と語っていたという証言もあり、また実際に歴史を改変することで帝都の将来を改善しようとしていた旨ラスボス発言もあるので、総合すると、ミレニアムの抑圧的な支配に絶望した未来のライドウが時間旅行を行い(この時代はある程度ポピュラーなレジャーになっている模様)、1930年代の東京の歴史改変を企図したものと思われる。 

結局どうしたかったのか?

意外に「活躍」の幅が狭いオオマガツさん

第11話で超力超神オオマガツが起動して晴海町の一部が無差別に焼かれるわけだけど(逆によくあそこだけで済んだなとも思うけど)、あの調子で帝都を全部焼きたかったのだとしてどういう結果を期待していたのかがよくわからない。1930年代時点の帝都に強制的にグレートリセットを入れて、ヤタガラスや天皇家の影響を排除してそれまでの日本政府とはまったく別の(おそらく国津神主導の)国体を建設したかった……ように見えるけど、ヤタガラスの組織自体にそれで大したダメージが入るかというと疑問だし、何より諸外国がそのまま黙っているはずがない。2050年代の人間にそのあたりの国際感覚が全くないというのはちょっと疑問ではあるけど、それも超力兵団と超力超神で全部ひっくり返せる目算があったということなんかなぁ。

作中世界でも「正史」ではなさそう

アカラナ回廊で「大正20年からきた?大正は15年までだよ?」みたいな会話をする時間旅行者がおり、また別に「正史ではない世界線があるとお上がうるさい」みたいなことを言っている時間旅行者がいるので、どうも複数パラレルな世界線が走っているとは言えそう。言及があるのはその正史となる世界線Aと、主人公のほうのライドウたちがいる大正が20年かそれ以降まであって関東大震災も発生していない世界線Bだけ。ラスボスのほうのライドウが世界線Aの人間だとするとわざわざ世界線Bの歴史を改変しても自分が戻った時に反映されなそうなので、彼も世界線Bの人間だと考えた方が自然。回廊にはいろんな世界線から時間旅行者が集まってきているものと思われる。あれ?でもそうすると世界線Bでもトールマンの大破壊は起きて、メシア教支配は確立していくということ?まあそれ自体に特に矛盾はない……のかな? とはいえ「お上がうるさい」ということは正史となる世界線A以外の世界線を何らかの方法で管理している主体がいるということになりそうなんだけど、複数の世界線がなにかしら影響しあったりすることがあるのだろうか?

未来のライドウが1930年代でやっていたこと

これも逆算してみようと思う。

超力兵団計画の乗っ取り

あの召喚禁止になる技がけっこうキツかった

オープニングですでにヨミクグツが活動しているので、この時点ですでに超力兵団計画の乗っ取りは完了しているはず。つまり、オープニングの時点までに宗像少将にはスクナヒコナがねじこまれているし、それができるということは未来のライドウはこの時代の国津神連中(作中ではまつろわぬ神と呼ばれている)と話がついていることになりそう。そうすると、表向きは軍部の通信施設として建設していたであろう和電(イ号基以外に帝都のマップ内にもう1基確認できる)にヒルコを集める活動もしている。

国津神の抱き込み

ライドウの称号を受け継いでいるということはヤタガラス側の人間だったのだろうし、テンプルナイトになっているということはヤタガラスとメシア教は少なくとも敵対関係にはなさそう(※)。そこでいろいろ見てメシア教支配に絶望して歴史改変を企図するに至ったというのは前述のとおりなんだけど、そこで1930年代で手を組む相手として選んだのがまつろわぬ神々でありゴリゴリのアンチ・ヤタガラス。どうやって信用させたんだろうという疑問は残るもののしっかり手足となって動いていたし相当信頼関係は強そうではあった。(スクナヒコナに人格を乗っ取られた)宗像がしきりに口にしていた「まつろわぬ神々の悲願」を実現できると思わせることができるだけのものを用意したうえで実際にいろいろ動いて見せたんだろうなと思われる。しかしあれだけ宗像が「弱者の解放」を謳うわりには一般市民からゴリゴリ精神エネルギーを搾りあげているし、国津神の支配欲にいいように利用されちゃった感じだし、その国津神の支配欲を未来のライドウがさらに利用していた感じにも見える。

帝国陸軍の権力の掌握

宗像少将が以前から超力兵団計画を提唱していたがスルーされていた旨、宗像の元部下であったと思われる鳴海が証言している。それを何らかの方法で知った未来のライドウが転用しようとして、宗像に接近してスクナヒコナをねじこんだ、と見るのがよさそう。宗像をおさえてしまえば陸軍の大半は動かせるし(主に施設の造営とか)、悪魔関連事案で動かすヨミクグツと合わせて膨大な兵力を配下に置くことに成功したと言える。

陸海軍とヤタガラス

「サダキチ」だと思ってたけど「サダヨシ」さんなのかなもしかして

そういえば、海軍の密偵であった定吉がヨミクグツの製造過程を見たと証言していたけど、作中にはそこは登場しない。カットされたんだろうか。海軍大将がヤタガラスの庇護下に置かれていたり、定吉もさもあたりまえのように名もなき神社に出入りしたりとこのあたりはどういう関係なのかよくわからない。海軍とは友好関係にあるけど陸軍とは元々ないのか、宗像の変心で陸軍とは関係が切れたのか? ただ、異界に入っても定吉は特に動揺している様子はなかったし、陸海軍両方とも秘密裏に召喚師は雇っていて、一部の将校や高官は知っていたのかもしれない。
そういえばこの定吉、鳴海によく似た人物を昔陸軍で見た、でも鳴海なんて名前じゃなかったし、その人物なのであれば軍でやらかしたことを考えればまともに生きていられはずがないという証言をしていてそれはそれで気になる。確かに鳴海自身昔陸軍にい(て宗像の部下だっ)たと作中で発言もしているのだけど、何やらかしたんだろうなぁ。不敬罪っぽいことかな、スコナヒコナをねじこまれる前の宗像に庇ってもらって、その関係でヤタガラスの傘下に入ることを条件に助命だけはしてもらえたみたいなことがあったのかもしれない。そうするとやっぱり陸軍とヤタガラスはコネクションがあったことになるか。まぁそういうこともあるのかもなぁ。

大道寺家の鬼の血

いかにも旧軍というキャラ造形

ヨミクグツに伽耶を拉致させて、陸軍造船所で変な儀式をやって、伽耶を縛る包帯(?)のようなものが黒く染め上がっていく描写があり、さらに伽耶をライドウが救出した後その包帯のようなものを握りしめて、この鬼の血があれば超力兵団計画は完成に近づくと不敵に笑う宗像の描写がある。私はてっきりオオマガツの起動か何かにあの黒くなった包帯が必要なのかなと思ってたのだけど、もしかしてあの儀式で伽耶に未来のライドウが「入った」のかな。そうすると確かに救出後に「人が変わる」のも辻褄が合う。そういう特殊な家系でないと依代に適さないみたいなことがあったのだろうかなぁ。
ただ、未来のライドウが1930年の帝都で実体化したことで計画が完成に近づくという意味だったのだとして、それまではどうやって各所に差配してたのだろう……? そこはラスプーチンに何らかの方法で指示してたのだろうか? 鬼の血と共に実体化したライドウでないとオオマガツを動かせない、とかならまぁ辻褄は合うかな。

EL200

これがいちばんわからない

オオマガツの動力源である衛星タイイツの動力源となる……何からしい。宇宙空間で周囲のエネルギーを取り込む永久機関みたいな言及もあったけど、太陽エネルギーをあんなにロスが多そうな方法で伝送してあんな戦艦動かせるの……まぁそこはアレか、大量のヒルコがなんかうまく増幅してくれるのかもしれない。うん。単なる太陽エネルギーというわけでもないかもしれないし。
しかし、だとして、EL200があんなお地蔵さんに埋め込まれててかつ工事現場に埋もれてたのはなんでなの、というのはやっぱりわからない。1930年代よりもさらに前の時代から何か仕込んでおく必要があって、それを先にやっておいたのを後から掘り出す必要があった、と考えれば一応つながるのかもしれないけど。

ラスプーチンって結局何者なの

作中では「凄腕ダークサマナー」と呼ばれており、ダークサマナーというのはヤタガラスのようなサマナー組織に属さない召喚師だというんだけど、正直よくわからない。

雇い主は宗像?

コイツもだいぶわからない

和電イ号基でミシャグジさまに勝ったあと、「もしものために残っておけと言われて残っておいたのが正解だった」と言って出てくるし、契約内容も「超力兵団計画の推進の補佐」であり契約の期限は「超力超神の完成まで」と自身で言っていたことをすなおに解釈するなら雇い主は宗像。ただ、人工衛星の知識も持っている人造人間であり、ヴィクトルですら実際に接して驚いていたくらいのものなので、未来のライドウが雇って2050年代から連れてきて、宗像の指揮下に入れたと考えるのがいちばんしっくりくるか。そう考えれば、アカラナ回廊で証言してる時間旅行者がいた「よくわからん召喚師が派遣されたけど途中から消息不明」という話にもハマる。ただあれは歴史の是正が任務みたいな話をしてなかったっけ?気が向いたら確認してみよう。

そもそもなんでラスプーチンなの?

現実世界の史実としては1916年に暗殺されている。なので1930年代の日本にいること自体まずおかしくて、そこは未来から来た人造人間の召喚師だからと言われても、それがラスプーチンの姿をとる必然性がない。1930年代に存命のオカルトっぽい外国人なんかだとたとえばクロウリーでもぜんぜんよかったはずなんだけども。むしろ「死んだはずのラスプーチンが日本にいた」のほうがおもしろいのかな、2050年代に未来のライドウが雇った時点からラスプーチンのコスプレしてたのかどうかもわからないし……彼の単なる趣味なのかもしれない(苦笑

大道寺伽耶のその後

作中でカップルと誤認されたりはするもののその時点で中身は未来のライドウだし、元の大道寺伽耶に戻ったらもうエンディングなのでその後そのふたりがどうなったのかはわからない。次回作のアバドン王で登場は確かしなかったと思うけど、登場はしないけど実は彼女なんです、なのかもしれないし、ほんとうに過去のいち依頼人のひとりでしかないのかも。
大道寺家の因習で16歳になると女子は殺されるはずだったのが、その因習も警察におさえられてしまったし当主の猛は確か死亡、弟(次期当主?)の清は千寿区の紡績工場で救出された後工員たちに病院に運ばれて行ったけどその後どうなったのか……まぁ工場自体は盛り返したっぽい描写がエンディングにはあったので、元気にしてるのかな。で、結局その鬼の血っていうのはどうなったのか、やっぱり迷信でしたでいいの……? あるいは造船所の儀式で抜けたのでほんとに「普通の女の子」というか「資産家の娘」に戻れるんだろうか。まぁ戻ったと思っておくしかないかなぁ、後日談もないし。

なんか振り回されっぱなしでした

……ということで、返り橋でヨミクグツに一方的にボコられてからこっち、こっちはどうなってるの、とやってるうちに気がついたら終わってたという感じの作品だったんだけど、改めて思い起こしてみると「結局何だったの?」が山のように残ってる作品でもあって、勢いって大事なんだなと思いました(小並
修験界の最下層行ってないのでそれをやるか、でもけっこうレベリング必要そうだなどうしようかな、もうアバドン王始めちゃおうかな、というお気持ちです、いま。

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