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【続いてる写経 777日め】〜シルクロードに想いをはせて

甲斐小泉駅に降り立つと、絶対目に入るのが「平山郁夫シルクロード美術館」。
らくだの置物が可愛いです。

今回の特集展示は「平山郁夫 仏教の来た道」。
帰りの時間にもちょうど良さそうなので、鑑賞することとしました。

初めて入ったのですが、なかなかの見応えでございました。

平山郁夫先生とは最近ご縁があって、薬師寺にお邪魔した時も玄奘三蔵院伽藍に「大唐西域壁画」が奉納されてました。

平山先生は玄奘三蔵とご縁が深いようです。
広島ご出身で被爆されており、その後遺症に悩まされつつ絵を学んでいる時に、ふと玄奘三蔵法師のイメージが湧いたのだそうです。
そこからご自身の救いや、平安を求めて、玄奘三蔵がインドから中国へ帰っていく《仏教伝来》を描いたのだそうです。

お坊さんたちが並んで歩いているだけなのですが、とても敬虔な気持ちになる絵です。

このほかにも中国へ白馬にまたがって戻っていく玄奘三蔵を描いた《求法高僧東帰図》もありました。

玄奘三蔵法師は、『西遊記』の登場人物としても有名ですが、その功績は膨大な経典を漢文訳したことです。「般若心経」も、現在日本で一般的に普及している版は玄奘三蔵なのです。

と、こんどは般若心経に呼ばれたなあ。。と思いながら作品を噛み締めました。

平山先生の巨大な作品だけでなく、ご本人がシルクロードを旅する中で集められた仏像や、装飾品も展示されていました。

アフガニスタンなど、現在は紛争地域のものもあり、今となっては貴重な数々です。

日本の鎌倉時代の仏像と、アフガニスタンで発見された仏像を双方観られるのは違いがよくわかって面白いですね。


印象的だったのは、薬師寺の壁画にも登場した、タリバン政権が破壊したバーミヤン大石仏のありし日の絵。

各国の美術館などがタリバンに働きかけて、破壊を止めようとしたそうですが、結局は叶わなかったと解説もありました。

過激な政権が実権を握ると、それまでの貴重な文化すら一瞬にして砂塵に期してしまうのだ・・と無念さを噛み締めた当時を思い出しました。

日本各地で1000年以上前の貴重な仏像や建物が残っているのは、奇跡的ですね。(廃仏毀釈で失われたものも多数あるのでしょうが・・)

平山先生の楼蘭や敦煌の絵を観ていたら、ひところ井上靖先生の”西域小説”と呼ばれるシリーズにはまっていたことを思い出しました。

西域を、仏教のたどってきた道として、改めて思い巡らせるのもいいなあ・・

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