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【白井未衣子とロボットの日常】11・包囲の日《4》

※予告なく変更のおそれがあります。
※設定上、残酷な描写があります。


宇宙進出まであと3日。
襲撃の警報はなく、順調に準備が進んでいった。
数日間の短期間で、8割の調整が完了していた。
技術提供によるロボやAIの強化や、宇宙船の到着まで。

お陰で西条司令もジェームズさんもアレックスさんも、皆疲労が溜まっていた。養生していた人もいた。
私達3兄妹は身体が鈍らないよう、軽い訓練を受けていた。
と言っても、叱責の声は幾つかあった。
ビウスの残存兵や土星圏の兵士達、正規軍の志願兵も交えての訓練だから、余計に。
身体を動かしたのでお腹も空くし、ヘトヘトだった。
初日よりは大分身体は持ち堪えてきたから、成長したかなあ。

パーティー当日の訓練が終わり、いよいよパーティー会場へ出発する事になった。
窓を黒塗りにした、外の見えないバスは臨時支部でも健在だった。
人数が増えた為か、バスの台数も増えていた。
10台ぐらいはあったかもしれない。

リュート王子達は、土星圏同士で固まってバスに乗った。
だから私達とは別々のバスに乗った。
代わりに、ジェームズさんが連れてきた志願兵の皆さんと一緒に乗った。
外は見えず、点灯しないと暗いバスの中。
でも雰囲気が明るいのは、きっと志願兵の皆さんとの談笑のおかげだと思う。
臨時ミーティングで話してた通り、この人達は小説を読んでたの。

シナリオを聞いただけでも、私達の過去の戦闘と似通った部分が見つかって。
小説の執筆者はどこかで戦闘を見ていたのかな?と疑うほど。
小説の名場面と、私達の戦闘の経験談との、交換のやり取りをした。

あっという間にパーティー会場に到達していた。
談笑で時間の感覚を忘れていた。
パーティー会場は位置的に[ラストコア]臨時支部の近くに設定されていた。
これも早く着いたと感じられる理由の1つでもあった。

会場内はいつスタートしても違和感がないほど、飾り付けが施されていた。
綺麗なテーブルクロスの上に、真っ白なお皿と光沢のあるナイフ・フォーク・スプーン。ワイングラスのツヤも、美しく輝いていた。
料理はバイキング形式で、洋風メインのメニューとなっていた。

会場内の前方には、幕が下ろされたままのステージが存在した。
あともうちょっとで、音楽コンサートが開幕する。
ワクワクするなあ。
勇希兄ちゃんはバイキングのメニューに夢中だけど。
下の方の兄の行動に呆れていると、会場内にアナウンスの放送が流れた。
放送はコンサート開催の合図で、それが終わるとステージの幕が上がった。

温かみのある照明の中、オーケストラの楽団の皆さんが横一列に並んでいた。
皆さんが一礼をして、指揮を担当する人が軽く挨拶を述べた。

楽団の皆さんが楽器演奏の持ち場につき、楽器を持って演奏の準備をした。
少し静かな間を取った後、指揮者の両手が動いた。

弦楽器のソロパートから、曲が始まった。
やがて勢いをつけるように、他の楽器の演奏も私達の耳に入ってきた。
プロの楽団によるクラシック曲の演奏は、心地良かった。
1曲1曲終わるたびに、私達は拍手をしていた。

バイキングに夢中になっていた勇希兄ちゃんが、私と和希兄ちゃんの分を持ってきた。
勇希兄ちゃんは自分の皿にかなりの量を詰め込んでいた。
私達の分はこれより少なめだ。
満腹になってしばらく動けなくなっても知らないからね、勇希兄ちゃん。
説教ではないけど、兄に一言指摘するのを今日はやめた。
心の中に留めて、後で覚えてたら言えばいいかと。

1日が終わる前にコンサートは終了した。
クラシックだけだったけど、綺麗な演奏に酔いしれていた。
パーティー開催中に問題は発生しなかった。

…武人兄ちゃんがいなくなった以外は。

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