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【白井未衣子とロボットの日常】2・復讐の日《1》

※予告なく変更のおそれがあります。
※設定上、残酷な描写があります。

太陽系。多くの星々が太陽の周りに散らばった宇宙。

1隻の宇宙船が、地球を目指してまっすぐに移動していた。
特殊な文字で[フレアランス5]と船の側面に描かれていた。
船内の最上階・コントロールルームには船を操縦する乗組員達以外にも存在した。
藍色の髪の男が立っていた。
戦闘などの緊急事態ではないので、何も指揮するものはないのだが。
星々の光だけが照らす静かな宇宙を眺めていた。
緑色の髪の女が、2人分の飲料を持って彼に近づいた。
「まだ時間はかかるから、席についた方がいいよ?」
女は飲料を渡した。
「いや、なかなか落ち着かなくてな…。」
「焦りは禁物よ?土星圏から地球までは早くて2週間(地球時間換算)だから、休める時に休まないと。」
「…。」
「悩んでるの?」
「サレンのせいではない。どのみち、私は決着をつけなくてはならないんだ。」

男は飲料を一口飲んだ。
再び船の窓から、宇宙を眺めた。
「父上が渋るのはよくわかる。私はこれから悪の血に染まるだろう。」
「リュートにはあの人と因縁関係があるんでしょ?利害関係がはっきりしてるなら、悪の血に染まったと言えないわ。」
「だが星の民が納得するのか…。」
「今更何言ってるの?王の力もあるし、あなたはやり返す側よ。みんなも納得してくれると思うわ。」
「…。」
「第一、あなたに拾われた私が納得しているんだから。リュート、あなたの味方はいるわ。」
「すまない、余計な事を考えてしまった。」
男・リュートに笑みが戻った。
「やっぱり、少し休む。」
「わかったわ。地球に降下する時に呼ぶね。」
「ああ。」
リュートは自動ドアを開き、コントロールルームを後にした。
出入り口とエレベーターは直結している構造だった。
(奴はこの手で…死んだ同郷達が報われない。)
リュートは飲料を強く握った。

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