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【白井未衣子とロボットの日常】14・忘却の日《9》

※予告なく変更のおそれがあります。
※設定上、残酷な描写があります。

『俺も秘密裏で白井家の家族構成を調べたんやけど。まあ、俺もびっくりしたわ。
俺と未衣子達の出会いが、必然的だったと思い知らされたからな。』
「何言ってんだよ!俺達が最初に会ったのは、公園の襲撃事件だから偶然だろ!」
俺は反論した。武人兄ちゃんがおかしな発言をしたからだ。

『10年前。[天海山ユートピア]の旧地で起きた襲撃事件。
逃げ惑う人々の写真や映像から、小さい子供を抱えた母親の姿があった。』
「証拠が、存在したのか!」
王子が驚いた。家族構成を調査していた彼らにとっては、解決の糸口を発見したような事を言われたからだ。
俺でも驚くよ。
あまり機械に詳しくない俺でも、10年前はカメラの性能が良くなくて、写真も映像も粗く仕上がる傾向が強かった時代。
それらを保管していた事にびっくりしているが、特定までされるなんて…。

『わかりやすい髪の色やから、特定しやすかった。
ピンク色の女の子と赤髪の女性は目立ちやすい。』
ピンク色の女の子。
俺達の知っている中で存在するのは、未衣子しかいない。
10年前だったら未衣子はまだ3歳で、判断力は中学生の今よりかなり劣る。
当然、誰か大人が側にいないと危険に巻き込まれる。
3歳の子供にとって、身近な大人は両親等の家族だ。
未衣子も、大人についていくだろう。

未衣子は赤髪の女性についていた。
武人が観た10年前の映像では、女性がずっと未衣子を抱えていた。
明るいだけの何もない空間では、10年前の襲撃事件の映像も写真も確認できない。

でも、確信はあった。10年前、俺は4歳で、兄貴は7歳。
自分に降りかかる怖い過去は記憶に残る。
「俺、実はたまにフラッシュバックするんだ…。爆発する遊園地から必死に逃げている自分を…思い出して。」
「そうだろうね…。俺も家族総出の遊園地は覚えていた。楽しさも災いもはっきりと。
お婆ちゃんが表情を凶変するから、俺は振り返らなかっただけ。
ですが…俺達の母親に何の関係が…?」
ぼやけた姿の武人兄ちゃんは、ニヤリと笑った。

遂に未衣子が一生抱えてきた《同じ夢しか見れない現象》の謎を、兄ちゃんが語った。

『君らの母親はな、実は火星人やった。
クーランが姉妹で捕らえて、過酷な躾を受けていた。
…俺にあてがうつもりやったんやろう。片方だけ直接会ったし。』
「じゃあ、もう片方が地球へ逃亡したんですね?」
『俺に会った女はすぐ息絶えたからなぁ…。
彼女らはHRではなく、ただの火星人。俺らに抗う力は持ってない。
だから片方を逃したんやろうな、姉妹同士計画を立てて。』

まだ《夢》の仕組みは語られていないが、俺と兄貴は驚きで喋れなかった。

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