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【白井未衣子とロボットの日常】1・正夢の日 《6》

※予告なく変更のおそれがあります。
※設定上、残酷な描写があります。


「勇希、未衣子!」
「和希兄ちゃん!」「兄貴!」
多くの人々が安全な地下に避難しようとしていた時、私と勇希兄ちゃんは白井家の一番上の兄と会った。
私の上の方の兄の、和希兄ちゃん。
高校生で、自転車通学をしている。
和希兄ちゃんは自転車のハンドルを握ったまま言った。
「お婆ちゃん達は先に避難したそうだ。俺達も急ごう。」
乗るか?と自転車の後ろを見た。勇希兄ちゃんが答えた。
「未衣子だけ乗せてやってくれ!」
「勇希はいいのか?」
「俺は走って着いていくよ。」
勇希兄ちゃんの計らいで、私が自転車の後ろに乗ろうとした時だった。

黒いロボットが落ちてきた。
数は1体だけ。
公園の大木ぐらいのサイズだから、近くで見るとデカく感じる。
あのシャトルに攻撃仕掛けてきたのは、このロボットではと私は疑った。

『フン。あの男に必死で相手するなんざ、馬鹿らしいぜ。』
声が聞こえた。
黒いロボの方から、私達の耳に届いた。
このロボは喋る事ができるのだろう。

だとしたら、攻撃を中止するよう、お願いできるのではないか?
私の望みは、次のロボの発言で虚しく消えた。
『周りのもんを散々壊して、奴への土産にしようぜ!』

次の瞬間、ロボは自分の腕で木を思いっきり倒した。
既に叫び声をあげて逃げる人達の行方を閉ざす。
中には体にダメージを受けて、横たわる人も。

勇希兄ちゃんは私の名前を強く呼ぶ。
固まる私の手も握って。

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