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【白井未衣子とロボットの日常】14・忘却の日《6》

※予告なく変更のおそれがあります。
※設定上、残酷な描写があります。


「あ、和希君と勇希君ね?」
食堂でランチのメニューを眺めていると、後ろからサレンさんに声をかけられた。隣にリュート王子もいた。

「今からランチなの?」
「そうですが…。」
「なら席を広く取るから、一緒に食べましょ?」
サレンさんは王子に一言言って、席の方へ向かった。
男3人だけで食堂のランチを選んで、出来上がりを待っていた。

「未衣子はどうしたのだ?」
「彼女にも連絡は取りましたが…勉強が落ち着いてから行くと。」
「いくら健康体だったとはいえ、根を詰め込みすぎると身体に毒だぞ。」
「俺も…肝に銘じておきます。」
兄貴が王子と会話していた。

俺も会話に加わろうと、自分から話を切り出した。
「王子達は何で今もいるんだ?みんな帰ってるのによ。」
「君達の異変を、アレックスから聞いたのでな…。」
「変わってるのは…未衣子だけなんだけど。」
「家族に不調があれば気遣うのは当たり前ではないのか?」
王子がそう言った。
俺はそうだな…と王子の発言に納得していた。

「私の場合は他にもあるのだが…。未衣子の今の異常性に、我々他星人側から推測できる根拠はないかと尋ねられてな。
私とサレン、同じく長期滞在する同朋達と情報共有と交換を行ったのだ。」
「俺達がアレックスさんと相談している時にですか?」

兄貴が言った。兄貴としては、俺達の対応と同時進行で王子達と掛け合ったんだなあと、想像したんだろうな。
そう考えると、アレックスさん大変だと心配してしまう。

「私は一般的な素養、サレンは技術士官なのでな…。
限られた人員で専門的な情報を入手する事になり、断片的ではあるが…。」
王子は言葉に詰まっていた、ように見えた。
次に話そうとした内容に、マズい事でも入ってんのかな?と俺も兄貴も思ってた。

困惑気味の王子だけど、続きの内容は話してくれた。
「些末な事柄でも触れたら申し訳ないのだが…。
和希、勇希。君達の両親はどのような人物なのだ?」
「え…。」
俺は戸惑ってしまった。
ここでいきなり、俺達の家族について触れてきたから。
「祖父母と一緒に暮らしているって…。」
「ああ、そう言えばゆっくり話す機会がありませんでしたね。」
動揺する俺の隣で、兄貴が代わりに言った。
連戦続きで話してないか、と振り返って思った。
「勇希が言ったように、俺達は現在祖父母と暮らしてます。
父は健在ですが、単身赴任のような形で仕事してまして…実家には中々帰りません。」
「母君は?」

母君…お母さんの事か?
何で王子が深く聞いてくるんだろうと、俺は混乱していた。
兄貴も、ああ…と頭を掻きながら説明を続けた。

「俺が10歳の時に、病気で…。」
「この世にはいないと。」
「そうです。」

兄貴の軽い説明で、王子はうむ、と考え込んでいた。
だけど王子からの質問は、ここで終わらなかった。
質問じゃなくて、頼み事だった。

「母君の写真など…記録保存されている媒体は所持していないか?」
「媒体?アルバムみたいな?」
「…家に探せばあるかもしれませんが…もう7年も前で俺も顔をはっきり覚えていなくて。
地球では写真という紙媒体がまだ主流なので、丁寧に保管していないと…。」
「…わかった、この話はなかった事にしてくれ。」
王子はカウンターで注文したランチを受け取った。
「サレンがもうすぐ来る。私は先に席についておく。
私達も今は自由な身だ。後からゆっくり雑談でもしよう。」
王子はランチを席まで運んでいった。
サレンさんの分も出来ていて、後は彼女が取りに来るだけだった。

「俺達も何か頼もうか。」
兄貴が言ったので、俺もランチを選んで食べていた。

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