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【白井未衣子とロボットの日常】1・正夢の日 《10》

※予告なく変更のおそれがあります。
※設定上、残酷な描写があります。


シュゥゥゥと轟音がした。目の前のトリコロール。
理容店の様な赤・青・白ではなく、水・黄・ピンクのパステルカラーだけど。
3機のジェット機が、ご丁寧にロボの両手、近くギリギリに接触した。
さらに自動的に操縦席のハッチも開けてくれた。
これに乗るのかなあ?
『落ちん様にしたる。コックピットに座ったら自動的にシートベルトしてくれるから。』
「このまま乗ればいいのか?」「大丈夫かよ…。」
勇希兄ちゃんは弱音を漏らしたけど、ゆっくり黄色のジェット機に乗った。和希兄ちゃんは水色のジェット機。
私はピンク色のジェット機に乗った。
コックピットのシートに座った私達。シートベルトは自動的に装着された。
『高速移動するわな。喋ると舌噛むで?』
「は?何だって…」
勇希兄ちゃんがいい終わる前に、ジェット機の加速が始まった。
「うわぁ!?」
『両方のレバーを握っとき!そしたら大丈夫や!』

男の人に言われて私達は、左右のレバーを握ろうとした。
無事握る事はできたけど、その手を離そうとする程に、後ろに引っ張られる。
誰も引っ張ってないのだけど。
ジェットコースターは小学生の頃1度経験したけど、その勢いに比べてもこのスピードは速い。
スピードに気をとられ過ぎて、別の問題には全く気がつかなかった。
気づいたのは和希兄ちゃん。
真正面のモニターの右下に、和希兄ちゃんが映る。
声を上げる勇希兄ちゃんと比べて、歯を噛み締めて抑えてるけど、やっぱりスピードに飲まれて変顔している。
和希兄ちゃんが気づいた問題。
私も勇希兄ちゃんもようやく気づいた。
モニター右に黄色が映る。妙に近づいてきている。
これは、もしかして。
「ぶ、ぶつかる!?」
『大丈夫や!ジェット機はそんなんで壊れへん!』
『近すぎるぞ!こっちは下から勇希と未衣子の分が来ている!』

和希兄ちゃんが叫んでも、ジェット機は緊急停止などしなかった。
まずい、潰れてしまう。
私も兄ちゃん達も限界を感じて、目を瞑った。
すると、モニターが強く光った。
目に入れると痛くて失明してしまう程の、強力な光。
光のおかげで、周りは何も見えなかった。
やがて、強力な光は消えていき、私達は顔をあげることができた。
というより、ジェット機がぶつかって押し潰されるのでは…と怯えていたのに。
私達は生きていて、しかも無傷だった。
『しまったわ。ヘルメットだけでも持ってきたらよかったわ。』
少し距離を離して男の人が言った。
見上げても、モニター画面に変化はなかった。
いや、なかったように見えた。
上部に《Docking Mode》と青く点滅され、その右側にはロボットの全体図が。
『のっぽの兄ちゃんがメインで乗ってるのが、【パスティーユ・スカイ】という素早さ重視の機体や。』
男の人の説明だ。

『敵さんは湾上におるからな。急ぐで?』
男の人が先陣を切ると、合体した私達のロボットも動き出した。
ジェット機同様、スピードが速い。
『攻撃もオートでやるから、君らは見とくだけでええで。ベルトとレバーだけしっかりな?』
とりあえず私達はその忠告だけは守ろうとした。

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