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【白井未衣子とロボットの日常】1・正夢の日 《3》

※予告なく変更のおそれがあります。
※設定上、残酷な描写があります。

「てなわけや。空の案内、よろしく頼むで。」
「何がよろしく頼むだ。開発に忙しいってのに。」
輸送シャトルの操縦士こと、『ラストコア』の技術局長であるアレックス・ヘイリーは武人に不満をこぼした。
ブロンドヘアの眼鏡をかけた童顔だが、立派な成人男子である。
「はあ…。俺的には鍛えられた人間を使えば楽なんだがな。」
「お前のデータから見ても、年々落ちとんのはわかるで。今回は見飽きて途中で退出したわ。」
「何を考えているんだ…いや、軍には保身だけか。」
アレックスは話を聞きながら、ハンドルを軽く握っていた。
「予測はつくけど、条件はどうや?」
「男が望ましいな。女は身体上負荷をかけてしまう可能性がある。あとは…一般人だと厳しいが、鍛えられている奴だ。」
「スポーツやってるアスリート、がええんやな?」
「そうだな。他に成人している奴。子供は論外だぞ。保障問題が絡むからな。」

ふうん、と武人の返事は鈍かった。
アレックスは何も反論せず、目の前の操縦に集中する。
「のどかな街やなぁ…。」
「愛嬌市南部は自然豊かな住宅街だ。
北部と比べて公園や寺院が多い。」
「北部行ったらええんちゃう?」
「北部は商業地で建物の密集地だ。被害損額は大きい。」
「政治屋もうるさいもんなあ。庶民を守る度胸もないくせに、金にはケチつけてな…。ん、どうした?」
武人は横目でアレックスを見ていた。
アレックスの両目が大きく開いた変化に気づき、様子を伺った。
「何だ…あの光。猛スピードだが…。」
「!?」
武人はだらけた姿勢を戻した。
「レーダー反応がなかったぞ…!」
「アイツ、さらに開発進めたんやな。こんなスピードを出すロボットはそうそうおらん。」
切迫した状況でも、武人は冷静に推測していた。
「好き勝手されると落とされてしまう!バリア展開とAI射出するぞ!」
「俺も待機するわ。」

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