【オンライン・キャプション】2021 星座カレンダー
2021年のカレンダーを作りました。
黄道十二星座にまつわる神話から着想を得てイラストを制作し、A4サイズ・13枚組(表紙含む)のカレンダーという形式にまとめました。
上部にはチュールリボンとビーズを通して、飾ってかわいいデザインにしました。
この記事では、イラストの元ネタになった神話のエピソードを紹介します。
1月:笛を吹くパーン(やぎ座)
やぎ座の元ネタは牧神のパーン。上半身がヤギ、下半身が魚の姿に描かれるのは、怪物に追いかけられ川の中に飛び込んだ時、魚に変身するのを失敗して下半身だけ魚になってしまったというエピソードに基づきます。
好色な神としてのエピソードも多く、気にいったニンフ(妖精みたいなもの)を追いかけまわしたため、それを逃れようとニンフが葦に変身したというストーカー的な話もあります。葦を手に取ってため息をついたところ、葦の空洞から音が鳴り、葦笛となったという物語です。
2月:酒を注ぐガニュメデス(みずがめ座)
みずがめ座のモチーフは、ガニュメデスという美しい青年。ギリシャ神話の神々に、ネクタルという神様専用のお酒を注いでまわります。ネクタルを飲むことで神様たちは不老不死の能力を身に着けているので、とても重要な役割です。
もともとは別の女神がお酒を注いでいたのですが、彼女が結婚して引退してしまったため、ゼウスがガニュメデスの美しさを見込んで連れてきたという経緯があります。
3月:つながれたアフロディーテとエロース(うお座)
アフロディーテ(美と愛の女神)とエロース(恋愛の神)は親子です。やぎ座と同じく怪物に追いかけられ、川に逃げ込んだ時、二人は魚に変化して逃げようとしました。お互いの身体を紐でむすび、離れ離れになってしまうことを防いだといいます。
4月:プリクソスとヘレ(おひつじ座)
おひつじ座の元となったのは、プリクソスとヘレという双子の兄妹を助けるため、ゼウスが遣わした黄金の毛を持つ羊です。
継母に殺されそうになっていた二人は、羊の背に乗って脱出を図りますが、ヘレは途中で海に落ちてしまいます。
5月:エウロペと牡牛(おうし座)
おうし座のもとになったのは、ゼウスが化けた牡牛の姿です。
美しい王女エウロペに一目ぼれをしたゼウスは、牡牛に化けて彼女に近づきます。エウロペがまたがった瞬間、牡牛は走り出して彼女を誘拐してしまいます。
エウロペはクレタ島に連れていかれ、ゼウスと子供をもうけ、魔法の贈り物(彼女を守るための防衛力です)に身を守られてすごします。
6月:カストルとポルックス(ふたご座)
カストルとポルックスという双子の兄弟がモチーフとなっています。レダという女性に一目ぼれをしたゼウスは白鳥に化けて彼女に近づき(こんなのばっかりですね)、その後レダの生んだ卵から生まれたのがこの兄弟です。
ふたりは神と人間のハーフです。ポルックスは神の血を受け継ぎ不死となりましたが、カストルは残念ながら不死の能力を受け継ぐことがありませんでした。
ふたりは一緒に戦って多くの手柄を上げましたが、あるときカストルは矢に射られて死んでしまいます。大好きな兄弟と一緒にいたいというポルックス願いを受けて、ゼウスは二人を星座にしました。
7月:大蟹カルキノス(かに座)
英雄ヘラクレスの物語に出て来る蟹の化け物カルキノスがかに座の元ネタです。ヘラクレスは罪をつぐなうために10の課題を与えられ、旅に出ました。そのひとつが、毒蛇の怪物ヒュドラの退治でした。
カルキノスはヒュドラと同じ場所に住んでおり、ヒュドラが負けそうになったときにヘラクレスに挑みますが、あっさり踏みつぶされて死んでしまいます。頼りにならないけど、いい友達という感じのエピソードです。
8月:ネメアの獅子(しし座)
同じくヘラクレスによって退治されたネメアの獅子という怪物がしし座のモチーフとなっています。
ネメアの獅子は非常に頑丈な皮を持っていて、剣も弓も通りません。ヘラクレスは何日も獅子と格闘し、最後に獅子の首を絞めてなんとか殺します。
ヘラクレスは獅子の皮を加工し、武器の通らない防具として身にまといました。また、前述のヒュドラを倒した後は、ヒュドラの毒を矢に塗った猛毒の毒矢に加工しています。
9月:デメテルとペルセポネー(おとめ座)
デメテル(豊穣の女神)とペルセポネー(春の女神)が元ネタです。
ある時ペルセポネーは冥界の神ハデスに連れ去られ、冥界の住人にされてしまいます。それにデメテルが怒ったため、植物は実らず、生き物は生まれなくなってしまいました。これに困った神々が話し合った結果、ペルセポネーは一年の三分の一を冥界で、その他の時間を冥界の外で過ごすことが認められました。ペルセポネーが冥界で過ごす間は、実りの得られない「冬」の季節となりました。
10月:女神アストライア―(てんびん座)
アストライア―は正義をつかさどる女神です。
人間が世の中に発生して間もなくは平和で豊かな時代が続きましたが、徐々に環境が悪化し、争いや悪行がはびこるようになったため、人間に失望して地上を去り、星になったといわれています。
アストライア―の持っているてんびんがてんびん座になりました。また、アストライアーそのものをおとめ座とする解釈もあります。
11月:オリオンを殺すさそり(さそり座)
狩猟の女神であるアルテミスに言い寄る英雄オリオンを始末するため、アポロンがけしかけた毒サソリがモチーフです。
サソリにびっくりしたオリオンは海に逃げ込みました。それを見たアポロンは、弓の名手であるアルテミスを挑発し、「あの海に浮かんでいるものを射ることができるか」とそそのかします。それがオリオンの頭だと気づかずに、アルテミスは矢を命中させてしまいます。
よりシンプルに「サソリに刺されて毒で死んだ」とする神話もありますが、アポロンの底意地の悪さが見えるこのエピソードの方が私は好きです。
12月:賢者ケイローン(いて座)
前述のアポロンから医学を、アルテミスから狩猟の技術を学んだすごい天才、ケンタウルスのケイローンです。
医療のシンボルとしてよく使われるアスクレピオスの杖(杖に蛇がからまっているモチーフ)で有名なアスクレピオスも、ケイローンから医術を学んでいます。
不死身の身体を持っている彼ですが、ヘラクレスとケンタウルスの戦いに巻き込まれ、ヘラクレスの毒矢(ヒュドラの毒です)を受けてしまいます。毒に苦しみながらも死ねないという状況に陥り、最後には不死身という能力を手放し死を選びます。
本来は弓矢を持つ男性の上半身と馬の下半身という姿で描かれますが、あんまり可愛くないので、銃を持つロリータファッションの女の子というイメージにしてみました。
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