【010】人類進化論に関する一考察

娘の成長が目覚ましい。
先月にようやくずりばいを始めたかと思ったら、気が付くともうつかまり立ちをして机の上の物を引っ掻き回すようになっている。
24時間顔を合わせているはずなのに、他人の子どものような成長のスピードである。
このペースで成長すると、来年には100m走の世界記録を更新する走りを見せてくれるかもしれない。

人の胎児の姿は、魚類、爬虫類のような形状を経て哺乳類、延いては人間の形状になる。
改めてこの過程を見てみると、鳥類の期間がなさそうだ。
ということは、人類は生まれた後に鳥類に進化する余地があるということではないだろうか。

娘をプールで遊ばせている際、腕にヘルパーを付けているせいもあるが、下半身も簡単に浮き上がることに気付く。
一方で私は、いや大人は全般的に、気を抜くと下半身は簡単に沈んでしまう。
脂肪の量や体型のバランス的に、幼児期の方が泳ぐことに対しては適しているように思える。
鯨類は脂肪も多く、紡錘形に近い形状をしている。
魚類も、脂肪はともかく形状は同じだ。
人間の幼児と同じではないか。

片や、進化の余地がありそうな鳥類に対してはどうか。
殆どの鳥は飛ぶことができる。
中にはエベレストの高度を超えて飛ぶことができる鳥もいるらしい。
飛ぶためには翼があることは前提として、体脂肪が少ないことと、骨が軽くないといけない。
これは人間に当てはめると、すなわち老人と言えよう。
鳥の骨は中空構造にして着地の衝撃に耐えうる強度を有しながら軽量化しているようだ。
老人は身の危険を犠牲にすることも厭わず、骨密度を下げて骨を軽量化する。
進化の適応途中とは得てしてそういうものだ。
遠くない将来、ステンレスのように剛くて軽い骨を持つスーパー老人が突然変異で現れ、世を席捲していくかもしれない。

体型的な特徴では、人間は水(羊水)から陸に上がり、空へ飛び立つ可能性を秘めていることがわかった。
生物の数億年の進化の歴史を100年足らずで再現できそうだ。

ではもう一つの重要な要素、呼吸器系に対してはどうか。

鳥類は哺乳類と同じく肺呼吸ではあるが、体内での空気の流れ方が全く異なるようだ。
哺乳類は肺までの空気の往復で酸素のやり取りを行うが、鳥類は肺の中を一方通行で空気を流しているので、酸素の吸収効率が哺乳類よりも良いらしい。
エベレストを超えて飛ぶことができるのも、これが大きな要因である。
ステンレス骨を持つスーパー老人がエベレストに挑んでも、哺乳類としては酸素ボンベが必要になるので、折角の骨の軽量化もボンベの重さで台無しである。
しかし世を席捲するスーパー老人ならば、これに適応できるはずだ。
肺に入った空気を一方通行で流せばよいのだから、まずは気胸を起こして空気の出口を作ってやればよい。
適応の過程では呼吸もままならず生き延びられない種が多く発生するだろうが、その内、肋骨に沿わせて、肺から漏れ出た酸素を吸収する器官を発達させるハイパー老人が出てくることであろう。

ここまで血の滲む進化を経てようやく鳥類と同等の能力を得ることができる。

翼は、皺皺になった皮膚を延ばせば如何様にもなる。

私の血が娘にちゃんと遺伝しているならば、気胸問題に対して娘はクリア出来そうである。
最近は離乳食を食べる量も増えてきたので食後のミルクを省略することも時々あったが、剛い骨を作るために、ミルクはちゃんと飲ませようと誓った。

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