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囲碁史記 No.1

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囲碁史研究家の視点により、囲碁の歴史を貴重な資料をもとに解説。 No.1は本因坊算砂から道策まで。
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#算知

囲碁史記 第14回 安井家の隆盛と隔蓂記による囲碁記述

囲碁史記 第14回 安井家の隆盛と隔蓂記による囲碁記述


「隔蓂記」にみる安井家の動向

 「隔蓂記」は鳳林承章の記した膨大な日記である。鳳林承章は権大納言勧修寺晴豊の第六子で若くして鹿苑寺に入った。鹿苑寺は現京都市北区にある臨済宗相国寺派の寺院で金閣寺の名で知られている。もともと鹿苑寺は室町三代将軍足利義満の山荘として建てられたもので、将軍家や公家の遊楽の場であった。当時、皇族や公家の子弟が有名寺社に入ることは通例となっていた。
 承章の記した『隔蓂

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囲碁史記 第16回 安井算知と本因坊道悦の争碁

囲碁史記 第16回 安井算知と本因坊道悦の争碁


争碁の概略

 安井算知と本因坊道悦の争碁について概略を記す。
 名人碁所をかけた二世本因坊算悦と算知の初の争碁(全六局)は引き分けで終わり決着はつかなかった。そして、第六局から五年後の万治元年(一六五八)に算悦が死去し、本因坊家は道悦の時代に移っていくが、算悦の没後十年経った寛文八年(一六六八)に突如安井算知の名人碁所が決定する。
 これには算知の後援者である幕閣の重鎮・保科正之の働きがけがあ

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囲碁史記 第17回 大橋家の記録に見る算知・道悦の争碁

囲碁史記 第17回 大橋家の記録に見る算知・道悦の争碁


 遊戯史研究家の増川宏一氏により、伝承や逸話ではなく、日記や書簡等、確かな史料に基づく史実としての囲碁史(のみでなく将棋史を含む盤上遊戯史)が見えてくるようになった。その中で「大橋家文書」というものがある。大橋家は将棋の家元で、記録を遺すことに熱心であった各代の当主たちが記した文書である。中でも熱心であった五代目当主三世大橋宗桂が記した延宝二年(一六七四)の覚書には御城碁・御城将棋に関するものが

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