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出戻りぱんだのおはなし・さん

飼育員さんやほー!!(ง ᵕωᵕ)ว♪•*¨*•.¸¸♬︎*♬೨̣̥
今日もご機嫌なぱんだですよー!

北海道もやっと春らしい香りに溢れてきたけれど、飼育員さんの町はどうかな? よかったら教えてね(ㅅ´ ˘ `)

無事に北海道へと辿り着けたけれど、パパに会うことの叶わなかったぱんだはその後どうしたかって?
それじゃあ早速いってみよー!٩(ˊᗜˋ*)و


五年ぶりの実家は、得もいわれぬ安心感がありました。ぱんだよりも少しお兄さんの建物に住んでいたのは6年くらいなのに不思議な感覚。

温かいココアをいれて、状況を把握するためにぱんだの質問攻撃。ママには酷いことしちゃったな。きっとこんな時なのに心のない娘だと思ったよね。


パパが倒れたのは朝の7時50分頃。会社のデスクに突っ伏す形で倒れていたそうです。
いつもと違う様子に、会社の方が何度も声をかけ、肩を叩いてみてもなんの反応も返さないパパ。
急いで救急車を呼んでくださったお陰で、15分後には到着し、それからものの5分で受け入れ先の病院が決まったみたい。
この時に一度、パパの心肺はちょっとお休みしちゃったらしく、救急隊員さんの処置のおかげで戻ってくることができたそうです。

病院に到着後、新型ウイルス感染症の抗原、抗体検査を受け、陰性の判定。
ほど無くしてママと妹ちゃんも病院に着き、それからCT検査やMRI検査、その他の検査を経て下された診断は重症度の高いくも膜下出血、場所は前頭葉。
このまま何もしなければ間違いなく息を引き取るだろう。
治療をするのであれば開頭し、動脈瘤クリッピング術を執り行う。ただ、血圧の数値が相当高く、すぐには手術を始められないため降圧剤の投与、経過を見て開始時間は早くても14時頃から。
担当のお医者様より告げられた治療後の生存確率は二割ほどで、それも後遺症はまず免れないだろうとのこと。
そのまま静かに看取る選択をするご家族も多数いること、それはなんら気に病む選択ではないことも説明されたうえで、それでもママは、パパを信じて手術をお願いしてくれました。


そこから先はママも妹ちゃんも記憶が曖昧だそうで、この夜は三人で川の字になっておやすみしようとなりました。

「 東京から戻ったばかりだし、なんの検査もしていないから、万が一があったらごめんなさい」

ハラハラと涙をこぼす二人を見ていたら我慢できなくて、ぎゅっと抱きしめる。
痛みが引くように、落ち着くように、背中をさすって、何度も同じ言葉を繰り返す。

「 大丈夫だよ。ぱんだが帰ってきたんだから、ぱぱもすぐに起きて帰ってくるよ。ぱぱが起きたらさ、ねぼすけさんって揶揄ってやろ? いつも早起き頑張ってたから、ちょっと長く眠ってるだけだよ。だいじょうぶ 」

大丈夫、大丈夫。
ぱぱはままが大好きだから。
妹ちゃんが大好きだから。
誰よりも家族を大切に思う、強いひとだから。
ぱんだの自慢のぱぱだから。

だから大丈夫。

「 でも、ぱぱってホントに雨男だよね? こんなに泣かせてさ、起きたら晴れ男になってもらわなきゃだよね 」

ちょっとおどけてそんな事を言ってみれば、そっくりな熱量の二つの視線。それがとっても可笑しくて。

「 おねぇ、そういう所オトンにそっくりだよね」

「 でしょ?ぱんだはぱぱとままの娘で、妹ちゃんのお姉ちゃんだからね!」

涙の引っ込んだ二人から離れて胸を張って言い切ってみると、更に熱量の下がる視線。夜中に大きな声を出すとご近所迷惑になっちゃうから困るんだけどなぁ。

「 さ、そろそろねんねしましょ! ぱんだが真ん中ね!」


明くる朝、目を覚ますとお味噌汁のいい匂い。だけどぱんだの知っている匂いとはちょっと違う。

「 おねぇ起きるの遅い!朝ごはん作ったから、片付けはおねぇがしてよね!」

7時に起きたのに、遅いって叱られちゃった・・・・・・。そんなことより、妹ちゃんの手料理を食べられるなんてぱんだはまだ夢の中なのかな?
寝惚けた頭でそんな事を考えながら食べた朝食は、久し振りに味覚を刺激してくれました。

午前9時頃、不意に自宅の固定電話が鳴ります。表示されるのはパパが入院している病院のお名前。
受話器を取ったママの手が震えていたから、ぱんだが背中に抱きつけば、妹ちゃんも一緒になってだんご三姉妹。

お医者様からのお話をまとめると
出血箇所である瘤自体は落ち着いてきているが、広がった血液や水分の排出が上手くいかず脳血管れん縮の恐れ、また、回復しても水頭症を引き起こし後日シャント手術を要する場合がある。
それから、両肺に水が溜まっていてこれから循環器科で精密検査、処置をし、場合によってはそのまま別の手術を行いたい。
最善を尽くすためそれについての同意をし、時間の取れる後日で構わないので同意書にサインをしてほしい、との事でした。

二つ返事で主人をお願いします、と受話器を置いたママはこの時泣いていなかったから、ほんの少しくらいはぱんだも役に立てたのかな。



ねぼすけぱぱは、この時どんな夢を見ていたのかな?
ぱんだは良く弟くんの夢を見ていたよ。
ケンカした時なんかはたまに吠えていたけど、牙を剥き出しにして唸ることなんてなかった弟くんが、ずっとこっちを向いて、威嚇して唸る夢。

あの時ぱぱは何処かに行こうとしていたのかな?

聞いてもきっと、わからないけど

いつか夢のおはなしをしようね

何かのきっかけのひとつにでもなれたなら嬉しいです\(*ˊᗜˋ*)/♡ヤホー