オリジナルショートストーリー「永遠のネコ」

オリジナルショートストーリーを作って朗読しました。
聴いて貰えると嬉しいです。
下に文章も載せておきます!

「人に愛されて虹の橋を渡った子は永遠のネコになれるという」
そんなおとぎ話を聞いたことがある。
「永遠?そんなことあるはずないさ」その猫はそう思った

でも心のどこかでは「人間に愛されたい」そう思っていました。

その猫には記憶がありません
どこかのお家に居たようなボンヤリとした記憶があります。
でもいつまで居たのか、どこに居たのか全くわかりません

「お腹が空いたな」
食べられそうなモノは何でも食べました。
それでもお腹は一杯にならない
食べても食べてもお腹が空く

「そうだ人間に頼んでみよう」
その猫は一生懸命人間に声をかけました。

「ご飯くれめせんか?」
「助けてくれませんか?」
人間に好かれるように身体を擦り付けて甘えながら声をかけます。

たまに撫でてくれる人はいましたが、誰もご飯はくれません

その猫は思いました
「永遠の猫になんてなれっこない」
「あんなのは嘘っぱちだ」
そう思いながらも必死に愛らしく声をかけ続けました。

「あっ!!ご飯がある」
食べに行くと強そうな大きな猫がいて攻撃されるので全く食べられません

仕方なくまた人間に声をかけ続けました。

「ご飯をくれませんか?」
「助けてくれませんか?」

優しそうな女性が脚を止めてくれました。

「どうしたの?お腹空いてるの?」そう言って撫でてくれましたが、直ぐに何処かに行ってしまいました。

「やっぱりダメか•••」

その猫はガッカリしました
「お腹が空いて倒れそうだ•••」

諦めかけた時にさっきの女の人が戻ってきました。

「これ食べられるかな?」
手にカリカリご飯を持っています。

その猫は夢中で食べました。
周りから襲われることもなくビクビクすることもなくご飯を食べられたのは、どれくらいぶりだろう

「ごめんね。ウチにはネコが居るので連れてってあげられないの」

「あなたニャンってハッキリ鳴くのね。6ヶ月くらいかな?」
ニコニコと笑いながら優しく頭を撫でると女の人はまた何処かに行ってしまいました。

お腹は少し満たされました
でもまた直ぐにお腹が空いてしまう

雨が降ってきました。
その猫は雨を凌げる場所に急いで入りました。

暫くすると「ニャン」「ニャーン」「どこに居るの?」
と声が聞こえました。

「またご飯が貰えるかも!」
その猫は声のする方に向かいました。

「ニャーン」大きな声で鳴きました。
そこには、小さい人間が2人立っていました。

「あっ!いた」
「おウチに行こう」
そう言ってその猫を抱きかかえました。

雨が降って寒かったので少し怖かったけど、その猫は抱かれたままじっとしていました。

しばらくすると一件のおウチにたどり着きました。

家の中にはさっきご飯をくれた女の人と毛並みが綺麗なネコが2匹いました。

トラガラの綺麗な女のネコは、その猫に向かって「誰なの」「近づかないで」と大きな威嚇の声を出した

もう1匹の大きな猫は少し怖そうにその猫をみていました。

その猫は怖いと思いましたが、それよりもお腹が空いていました。
目の前に美味しいカリカリご飯がたくさん入っています。
綺麗なお水もあります!

「これ全部食べていいの?」
その猫は夢中で食べました。

翌日、動物病院にその猫は連れて行かれました。
お腹にたくさんの虫がいました。

虫の駆除が終わると、その猫は以前よりお腹が空かなくなりました。

今まで別な部屋にいた2匹のネコ達と一緒に部屋にいる日がきました。

大きな猫が優しくしてくれたので、美しい女のネコも大きな声を出さなくなりました。

いつでも好きな時に美味しいご飯と温かいお布団と優しく撫でてくれる人間がいました。

その猫は「ニャン太」と呼ばれて可愛がられました。

ニャン太は18年その家で過ごしましたが、ある日に虹の橋を渡りました。

可愛がってくれた人たちに旅立姿を見せたくなくて1匹で静かに生涯を閉じました。

いまニャン太は永遠の猫になって、いつもおウチの中を見ています。

「永遠の猫は本当だったんだなあ 僕も本当に永遠の猫になれたんだな」

自由に色んなところに行けます。
他の猫に虐められたりすることもなく穏やかな時間が流れています。
好きなときにお家の様子を見に行くこともできます。

ある日、神様から新しい命として地上に降りる話を貰いました。

新しい猫に生まれ変わって、またあのおウチで過ごそう
永遠のネコはワクワクしながら生まれ変われる日を待ちました。

そしてあのお家で別の名前になって幸せな日を過ごしているのでした。

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