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花束のように写真を送る|Artist Interview - 宵月絃 5/5 Final

What’s “Artist Interview” ?
写真のCURBONが、「写真の階段の登り方」をテーマに、活躍中のアーティストにインタビューする連載企画。2020年12月現在は、宵月絃さんのインタビューを公開中。この記事は、宵月さんの最後の公開記事となります

宵月 絃(@__yoii_to)

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--- 宵月さんは、以前のインタビューで、ほかの人が撮った写真を見たときに「読む」ように眺めていると話してくださいました。

同じように、ご自身が撮った写真にも、いろんな気持ちを込めていらっしゃるように思うんです。その気持ちを、写真を通して誰かに「読むように」届けたいと考えていたりしますか?

届けたい人が毎回同じとは限らないのですが、「この写真はこの人に届けたい」「あの子に見てもらえたらいいな」という風に、思っています。

それは、花束を選ぶ感覚のような。お花屋さんで誰かのために花を選ぶときって、相手にどういう気持ちになってほしいか、どういう場所に飾ってくれるか、みたいなことを考えますよね。

選ぶ自分も楽しいし、もらってくれる人も嬉しいと思うんですね。それに近いような感覚です、写真も。

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自分の感情がメインのときもあるんですけど、もしかすると自分と同じような感情を持ってる人がいるかもしれないし、そういう人が見てくれるかもしれない。

「大丈夫だよ」ってうまく言葉を選んで声をかけてあげることはできないけど、写真や花だったら、見た人が自由に受け取れるので。うまく言葉では寄り添えないときでも、写真でちょっと寄り添えたらな、と。

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--- すごく根源的な話になってしまうんですが、「自分のため」に撮っているのと「誰かのため」に撮っている比率ってどのくらいですか?

メインは自分の感情です。

花に例えるなら、咲いてる部分が自分の感情。葉っぱだったり、枝分かれしてる部分は、誰かほかの人に届けたい感情。それは場合によって特定の人だったり、漠然とした相手だったりします。

自分の感情とほかの人に届けたい感情の、どちらも合わせて一つのお花のような感覚です。

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--- ちょっと質問の角度を変えて聞かせてください。宵月さんは、なにゆえ写真を撮ってるんでしょうか?

なにゆえ……!(笑)

そうですね。私は、感情を自分の中で整理するのが苦手で。言葉として吐くのもあまり得意ではないのですが、写真にその感情を含ませてしまえば、たとえばそれが悲観的な感情であっても、言葉で見るよりもワンクッション置いた状態で伝えることができますよね。

言葉だと直接的だけど、写真だと自分の世界観が入るので、本当に言いたかった本音や感情を溶けこませることができます。

写真を撮るときは、そういう感情を自分なりに変換させるというか、気持ちを写真として変えていくという形です。

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--- 今後撮ってみたい被写体や、写真でチャレンジしてみたいことがあったら教えてください!

人を撮ってみたいです。今も、花を撮るときに人を撮るような感覚に近かったりして。「もしここに人がいたら」というふうに、人の指先や目線をなんとなく意識して撮ることがあります。

だから、もし撮るなら、花がメインでありつつ人が寄り添っているような。触れるか触れないかくらいの距離感で、表情はあんまりわからないけど、花と人をセットで撮る。そんな写真を撮ってみたいなと思います。

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[ Interview Index ]


Interviewer / Writer : 片渕ゆり(@yuriponzuu
大学卒業後、コピーライターとして働いたのち、どうしても長い旅がしたいという思いから退職。2019年9月から旅暮らしをはじめ、TwitterやnoteなどのSNSで旅にまつわる文章や写真を発信している
Editor :伊佐知美(@tomomi_isa
「旅と写真と文章と」をこよなく愛す編集者、フォトグラファー。日本一周、世界二周、4年間の旅×仕事の日々を経て、2020年夏より日本で一番人口の少ない沖縄県読谷村にて、海と空とさとうきびに囲まれた暮らしを開始


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