見出し画像

パリのパン屋はラーメン二郎

先日、家族でパリに行ってきた。

私は人生初めてのパリで、それはそれは楽しみにしていた。ちなみに、学生時代にニースだけ行ったことあるのだけど、それを人に言うとパリが普通先でしょと言われる。それは本当にそう。異論なし。

一方、夫はフランスに留学だったり、ホームステイだったり、出張だったりで、数えられない程来ていて、一応仏語も話せるので、そこそこフランスのあれやこれやについては詳しい方だと思う。

そんな夫は、パリ初訪問を控えた私に、パリ観光するにあたっての注意点や心構えを夜な夜な伝授してきた。

その中のうちの一つが、お店、特にパン屋やカフェで、自分の番が来たらあれこれ悩まずにバシッと注文するということだった。もたもたしてるとキレられるしスマートではない、と。

確かに、フランス人、特にパリなんて都会だったら、せっかちでぶっきらぼうな店員が多そうなイメージだし、店員が客に文句を言うシーンも容易に想像できる。

理不尽に怒鳴られて、(◞‸◟)←こんな顔で観光するのは嫌だ!と思い、そういう場面があったらスマートに注文せねば、と決心を固くした。

実際、パリでは3回パン屋に行った。

1回目は到着翌日の朝。結構な人気店で、地元の人で列を成していた。夫の忠告を思い出し、自分たちの準備が来る前に欲しいパンに目星をつけた。注文はスムーズに済んで、怒鳴られずに済んだ。一安心。

2回目は3日目の朝。月曜日だったため、人気のパン屋は閉まってるところが多く、とりあえず道中にあったパン屋に入る。店内に入ってからGoogleマップを見ると、パンはいいけど店員の態度が最悪的なレビューが数件。やや緊張が走る。

すると早速、自分たちより少し前に並んでいた男性と、女性店員が大声で揉め始めた。結局、男性はキレて何も買わず、去り際に何かを叫んで店を後にした。女性店員も何か叫んでた。
女性店員が明らかに不機嫌になったのが伝わる。ここでモタモタしてたら確実に怒鳴られる。緊張感が高まる。
もちろん、事前に頼むパンを決めていたから、仏頂面ではあったけど怒られずに注文できた。一安心。

3回目は、最後の日の朝。この日はホテルに夫と息子を残し、1人でお使いに行った。仏語を勉強し始めたのもあって、1人で仏語を使って注文してみたかったのだ。
幸い、自分の後ろには他のお客さんは来ず、つたない仏語でどうにか注文完了(クロワッサン2つとこれとこれ!と言い放った)。気のいい店員さんで、初めてパン屋で笑顔で接客された。一安心。

ということで、対策をしたのもあり、パン屋でモタモタして怒られることはなく、清々しい気持ちでパンを頬張ることができた。

ロンドンに戻ってから、そういえばパリのパン屋で感じた緊張は、日本のラーメン屋で感じるそれに通ずるものがあると思い返した。

これは個人的な意見だが、ラーメン屋って少し緊張する。知人と来てもお喋りしづらく、黙々と食べないといけないから和気藹々とした食事にはなり得ないし、しかも並んでる店だと店内でお客さんが今か今かと待っていて、早く食べなきゃ!と急かされてる気分になる。店員から麺の硬さを聞かれる時も、モタモタしてはいけないという気にさせられる。

ラーメン二郎なんて最たるもので、食べ残し禁止、私語禁止をはじめ、暗黙のルールがあり、慣れてない客はさぞ緊張するだろう(以下参考)。

店員の圧、客に走る緊張、暗黙のルール...
パリのパン屋はラーメン二郎だな、と夫と二人で妙に納得したのであった。

ちなみに、私はラーメン二郎行ったことありません。

おわり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?