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エミレーツスタジアムにワクチン接種に行って来た

イギリスではワクチン接種率が成人1回80%、2回目は60%を超えた。

なんでも一番が好きな大英帝国、そして世界でも高い人口当たり死者数を出してしまった失敗を挽回するかの様にガンガン打ちまくる摂取キャンペーンを行った結果、コロナによる死亡者は激減している。(感染者は1日2、3万人いますが)

私にも2月頃に接種の案内が来た(郵送とスマホメッセージ)が、しばらく放って様子見していた。理由はワクチンの安全性に不安があったから。

その後、2回くらいリマインダーが来たが無視しているとその内、何も来なくなった。ワクチン摂取に躊躇する人も一定数いるだろうから、何回かリマインドしても来ない人には個人の自由としてそれ以上はプッシュしないのかなーと呑気に考えていたが。

6月の中旬に急に「ワクチンを摂取したか」という電話がかかった。していないと言うと、じゃあ今予約するわね⁉︎とかなり強引。

「いやあ……ワクチン摂取するならファイザーがいいんだけど選べるのかしら?」

「それはできないわ。どの摂取会場にどのワクチンが来るか、その日にならないと分からないのよ。」

とかなりイケズ。

「父が血栓が原因で脳梗塞を起こして亡くなったの(実話)。だからアストラゼネカに少し不安がある。ファイザーを摂取できる会場を知る事が出来れば行くんだけど。」

こう言うと電話の向こうの強硬な声が急に同情的になり、

「アイムソーリー......でも選ぶ事は出来ないの。血栓で死亡する可能性は…」

と何回も聞いた事を繰り返そうとする。

「でも40歳以下の人には確実にアストラゼネカ以外を打つんだよね?そういう会場を教えてもらう事は出来ないの?」

「今私にはそれは出来ないわね……。でもファミリーヒストリーという事で、GP(かかりつけ医)に相談したらいいと思うわ。」

「そうだねー、そうしよう。GPに相談します。(しないけど)」

てな感じで、電話は適当にやり過ごしたが、ワクチン摂取を押される空気になってきたなあとは感じた。

毎日ニュースで報道されるワクチン摂取は順調に進み、ボリス首相もご満悦の様子。それと比例する様に、ワクチンを打たない層に対する風向きが怪しくなってきた。

BBCニュースでもワクチン摂取をしない人を”vaccine deniers “ と呼び、誤った事をしている人達という印象を植え付けている。そして得意の「ワクチンを拒否する人はエスニック・マイノリティーが多い」ときたもんだ。パンデミック時にも「感染者はエスニック・マイノリティーの割合が高い」と、人口比で出した数字で(人口比ではなく全体数での人種別数は出さない)何でもエスニック・マイノリティーの責任の様にする印象操作も同じ。

普段は個人の自由を尊重するイギリスが、この半ば強制的にワクチン拒否派=悪い事と決めつけるような動きになっている。本来、個人の自由に任せるべきで当然と思っていたので驚いた。

と鼻息荒く憤慨したものの、遅かれ早かれワクチンパスポートを持っていなければ行動を制限される日が来るだろう。そしたら日本にもホリデーにも行けない。ファイザーを打ってくれさえすればいいのだ。どうにかならんか。

そのチャンスは思ったよりすぐに来た。

何気にウォークイン(予約無し)で摂取できる会場を検索していたら、我が家から徒歩圏のエミレーツ・スタジアムが会場だった。しかもワクチンはファイザー一択!(こんな事まで書いてあるとは知らなかった。)そしてその日6月28日がウォークインの最終日と‼︎

これは行くしかない。すぐにも家を飛び出そうと思ったが、一つ郵送しなくてはならない荷物がある事を思い出した。摂取後は熱が出るかもしれない可能性などを考え今日中に発送しようと宛名ラベルを印刷したり荷造りしていたら軽く1時間はロスしてしまった。

という訳でエミレーツスタジアムに着いたのが2時半。

正面から入ると、すぐに案内があった。階段を登りきるとスタッフに誘導されて列に並ぶ。

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予約済みと予約無しの二列に分かれていたが、なんと、予約済みの方がずっと長いという不条理。

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(列に並び始めた時に後ろを向いて撮った写真。私の後ろには黄色いジャケットのお兄さんだけだが、隣の予約済み列はずっと後ろまで続いている)

予約無しの私としてはラッキー⁉︎と喜んだものの、すぐにこれがぬか喜びだと悟った。

丸いスタジアムに沿って行列しているため、列の先頭がどこなのか見当もつかない。列の進みはゆっくりだ。まあ、一応間隔あけて並んでるし、実質的にはそれ程の人数ではないのかも……と前向きに考える。

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(前を見ても列の先頭が見えんのよ〜。見えない目的に向かって進む私達)

1時間経過したところで、これは思ったよりも長期戦かも!?と覚悟を決めた。ちょうど通りかかったスタッフに、ここからどれ位かかるか聞いていた人がいたが、1時間20分位との返事。それを聞いて離脱する人もいたが、殆どの人は静かに並んでいる。

「ここはHゲートだけど、ゴールは何ゲート?」と聞く人もいた。良い質問だねえとスタッフが確かめてくると、Kだそう。H、I、J、Kか……。少し見通しが明るくなったかな……。

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(新たな目安、Hゲート!)

ここら辺までは友達とメッセージを送り合い実況報告していたが、スマホのバッテリーが減ってきたので控える事にする。スタッフが時々回って水のボトルを供給してくれる。時間によっては肌寒い曇りの日だったので受け取る人も少なかったが、炎天下だったりしたら大変だったかも。

結局Kゲートにたどり着いたのは17:30頃。ここに辿り着くまで3時間!

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でもここからも割と長かった。見ると予約済の人を多く入れて、数人に一人の割合で予約無しを入れている。そりゃそうだよね…)

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(そこに入り口が見えているのになかなか入れない〜)

しかし会場内に入ってからは早かった。まずはNHS番号を告げ、住所や誕生日で本人確認。

そこでまた短い列に並び、空いたブースに誘導される。ここで注射かな?と思ったが、体調や既往症、アレルギーの有無などの確認、ワクチンについての情報提供などだった。先程、NHS番号で登録しているので会場に来ている本人確認も効率的。

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それが終わると再び短く列に並び、いよいよワクチン摂取。ここでも住所や誕生日などで本人確認後、どっちの腕がいい?と聞かれ、気がついたら注射されていた。消毒もしないのか…と少し驚いたが無事終了。カードをもらえた。なんだかんだで建物に入ってからここまで30分位でスムーズに済んだ。

その後、15分の待機。時間は自分で計る方式。

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15分経ったら最後の列に並び、カードと合わせて最終本人確認。そして晴れて終了〜。

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トータルで4時間近くかかったが、目的を果たせてホッとして外に出ると、まだ長蛇の列。列を見ながら自分も並んだ道のりを逆方向に歩き出すと。

い、いやこれ、私が並び始めた頃よりずっと列が長くなっている。スタジアムの入口まで並んどる…皆さん私の様にどこまで続いてるか見えないもんね…

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会場は20時までオープンだが、この時点で18時。予約無しで来た人はもう断られていた。予約の人だけといっても、この長い列、5時間位待つんじゃなかろうか。その後皆さん本当に打てたのか気になる。

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(なんかメディアのインタビュー?受けてる人もいました)

ちなみにここでワクチン打った人は、スタジアムのミュージアムに無料でご招待…と言う話だったらしいが、この行列の後、そんな気分になった人がいたかはわからない……。

私も勿論そんな事は頭に一瞬も過ぎらず、並んでいる最中少し寒くて「ラーメン食べたい…」と思っていたので、エミレーツスタジアムの真向かいの中華料理店「西安印象」に入ってみた。

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期待以上においしかった!

副反応は特に出ず、当日夜に(心地良い)怠さで直ぐに寝てしまったのと、翌日打った方の腕が少し痛むくらいだった。

それにしても、成人の80%が摂取済みにも関わらず、こんなに混んでいるとは予想外だった。年齢層も20代以下の若い層だと思っていたが、もっと上の層も沢山いた。これは、ファイザーでなければ打ちたくないと思う私の様な人が実は多いのかも?

ちなみに息子もこの1週間後に他のファイザーのみの会場で摂取したが、閉館ギリギリに行ったにも関わらず待たずに打てたそうなので会場や日による様。

そして特筆するべき事だが、このウォークインとは別に、英国に不法滞在している人達向けのワクチンセンターも期間限定で開かれた。不法に滞在している人達は国外退去になるのが怖くてワクチンも打てに行けない状況だが、「なにも聞かない、住所も滞在ステータスも。ただ来てくれれば摂取する」と言う事で多くの不法滞在者のみなさんが摂取に来たとの事。(私の夫がボランティアで手伝いに行っていた。) 国も事情はともあれワクチン打ってもらった方がいいもんね。ここら辺のイギリスの柔軟さは好き。













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