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想い迸る咆哮 -大神ミオ 1stアルバム『Night walk』感想-


Sing on the Moonlit Night

去る2023年12月7日、おめでたいことに大神ミオちゃんの1stアルバム『Night walk』がリリースされた。実は同郷の人である(ミオちゃんは恐らく東寄りで、私は西寄り)歌上手のミオちゃんのアルバムとなれば、期待が高まってくる。記念すべき最初のアルバム、遅くはなったがさっそく感想を記していこう。

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01 夜光通信

オープニングトラックは『夜光通信』。昨年、ミオちゃんの活動4周年を記念して発表された曲のうちの1つである。透き通る歌声は切なく響き、メロディーはどこか儚げで、さながら星の瞬きのようだ。

今は辛くても、孤独でも、繋がる人は必ずいるということを歌った本曲。そっと寄り添ってくれる歌詞とミオちゃんの歌は温かく、そっと優しく包み込まれるような心地になる。

02 深く紺になる

タイトルを聞いたときはしっとり系なのかと思ったが、聴いてみたら結構スピード感のある曲だった『深く紺になる』。ナイトドライブで聴きたい1曲だ。こういう曲は大好物!

メロディーの疾走感と芯のある歌声、そして止まれない想いを描いた歌詞は、真っ直ぐに信念を持って進み続けるミオちゃん自身の旅路を映しているよう。道を見失わず、自分の速度スピードで走り続けていけば、きっと目指す夢に辿り着けるさ…絶対。

03 ナイトループ

DECO*27さん作詞作曲の『ナイトループ』は先ほどの『深く紺になる』と似た雰囲気があるものの、どこかダウナーな印象を受ける。走るという行為は同じでも、走ってる場所が違うイメージだ。前曲が煌びやかな夜の街を背にして走る高速道路ならば、こちらは色褪せた看板や消えかけの電灯が並ぶ夜霧の街といったところか。両曲とも疾走感はあっても、それぞれ違う歌い方ができるミオちゃんの技量に脱帽。

ただ、ダウナーであっても決して絶望しているわけではなく、不安や不満、絶望《夜の闇》の先に見える明日に向かおうとする決意が歌詞や力強い歌声から窺える。歌にあるように、誰しもどろどろとしたものを胸の内に抱えながら、夜の闇に沈むことがあるだろう。けれど、そこからの立ち上がり方は輝くような答えだけではなく、「ひたすら泣いて抗」く答えもあることをこの曲は教えてくれる。結構お気に入りの曲だ。

04 サヨナラは、まだ

さ『サヨナラは、まだ』は光溢れる街と儚い幻のような夢の間を行くような幻想的な曲だ。シティポップ感溢れるモダンな雰囲気がたまらない!淡いほど眩く光るネオン街を歩きながら夜風を背に聴きたい1曲だ。

力強くも透明感のある歌声はミオちゃんの十八番だ。お洒落でありながら切ないメロディーも相まって、煌びやかな街と夢想の世界が入り交じる曖昧さを見事に表現している。

05 カメリア

カメリア』はしっとりとしたバラード曲。カメリアって何だろうと思い調べたところ、椿のことらしい。椿は品種によるらしいが冬を耐え、春先の3月から4月にかけて咲くものがあり、春の訪れを告げる花なんだそうな。

優しい歌声からは風が強くて折れそうな日も、疲れて倒れそうな日もそっと寄り添ってくれるミオちゃんの温かい想いが伝わってくる。椿の花言葉は『気取らない優美さ』や『控えめな優しさ』、そして『誇り』。雪にあるその蕾は儚くも美しく、健気にしっかりと根をはり強く春を信じて待っている。

そういえば『Bloom,』のときのミオちゃんのチャームは椿だったような…。
(追記

06 夜と雨 feat.百鬼あやめ

夜と雨 feat.百鬼あやめ』はまず何が良いかって、歌詞が美しい。言葉選びや詞のリズム感が心地好く、夜雨の日でも明日が待ち遠しくなるような雰囲気の曲だ。

そしてこの曲はホロライブ2期生の百鬼あやめ嬢とのデュエットとなっている。まっすぐで芯のあるミオちゃんの歌声と、鈴を鳴らしたように澄んだあやめ嬢の歌声が実に美しく、歌詞にある揺れる想いと確かな決意を鮮やかに映して出している。2人のハモりももちろん素敵であるが、5周年記念ライブの時のパフォーマンスも凄く良かったのでそちらも是非見てほしい。

07 君と星の夜に

君と星の夜に』はミオちゃん自身が作詞作曲を手掛けた渾身の1曲だ。詩のように美しい歌詞と流星を思わせるスタイリッシュなメロディー、そして想いが詰まった歌声が重なれば、瞼には満天の星とその下で唄うミオちゃんが浮かんでくる。言葉を口ずさむような、だけど力強い歌い方もまさにSingerの為せる技だ。大神ミオの全てが詰まった星月夜に響く咆哮、是非聴き味わっていただきたい。

08 夜明けのメロウ

前曲から一転し、大人な感じの『夜明けのメロウ』。落ち着いた叙情感ある歌声と近未来感がありながらどこか哀愁を感じさせるメロディーが魅力的。サイバーパンク調のMVも独創的な世界観を描いていてお洒落だ。

歌からは留まりたくても進んでしまう、いや進まなくてはならない時間のなかで、それでも歌い続けていたい、変わっていきたいという確固たる想いが伝わってくる。よりレベルアップした歌声も相まって、(烏滸がましい物言いであるが)ミオちゃんにとってのターニングポイント分岐点になるような曲だと感じた。

09 Sirius

Sirius』はバラード曲。ダイナミックな曲調と切なくしっとりとした歌声が胸を打つ。サビの力強くも透明感があるシャウトが(バカみたいな表現で申し訳ないが)とにかくモノ凄く良くて、卓越したミオちゃんの技量に驚かされた。個人的にはアルバムで1番びっくりした曲だ。是非良い音質のスピーカーで音を聴き味わってみてほしい。

10 溶けない結晶

アルバムのトリを飾るの『溶けない結晶』は流麗なピアノの旋律と優しく包み込むようなミオちゃんの歌が印象的で、美しさと儚さ、そして希望を感じさせる曲となっている。タイトルの『溶けない結晶』を「触れても消えない温もり」という歌詞で表しているのもお洒落。夜明けにじっくり聴きたい、短いながらもとても良い曲だ。

黎明 狼影は彼方に

今回は夜がテーマということもあり、とてもお洒落な一枚に仕上がっている。アルバムを聴いていて思ったのは、どの曲からも決意が感じられたことだ。それは歌への向上心か、活動や音楽に対する信念か、あるいは仲間やミオファさんへの慈しみか…きっと全てだろう。そして、何より…ミオちゃんのSingerとしての曲をもっとたくさん聴いてみたくなった。次はどんな世界を魅せてくれるのだろうか。気が早い話であるが、今からワクワクしている。

私はミオファというには浅い者であるが、2020年の豊洲NSSで見た一面緑のミオファの森で歌い、『ホロライブで武道館ライブをする。』と語っていたミオちゃんの姿がよく印象に残っている。インタビューでも述べていたNSSというミオちゃんにとってのターニングポイントの場に立ち会えたことは私のちょっとした誇りだ。あれからもうすぐ4年…さらに磨きがかかった歌で、きっと来たるソロライブ、そして武道館の夢まで、止まらず駆けていってほしい。


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次回はあのユニットのアルバム感想!