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Fusion&Revolution!! ―ときのそら3rdアルバム『Re:Play』感想―


2021年も残すところ数分ほどであるが、皆様いかがお過ごしだろうか。私は今ご覧になっているこの記事を大急ぎで書いている。本当は来年にしようかと思っていたが、やはり書き終わらねばと思い筆(指?)をとった。

11月24日、ときのそらちゃんの3枚目にして初のカバーアルバム、『Re:Play』が発売された。本当はすぐに感想を書きたいところだったが、発売日直前にうっかりあの世に行きかけ、病院送りになってしまった。こんなときデジタル配信は本当に便利なもので、入院中も一部の曲は買って聴いていた(私は基本的にCD派)。そんな事はともかく、遅くなってしまったがアルバムの感想である。

今回は各感想の後に公式で出ている原曲へのリンクを出来る限り載せている。聴き比べるのもカバーソングの醍醐味だと思うので、ぜひ聴き味わって頂きたい。また、本アルバムのトレーラーも公開されている。↓

そらちゃんによる裏話はこちら!↓

セルフライナーノーツはこちら!↓



1,HOT LIMIT

アルバム1番手は西川貴教兄貴率いるT.M.Revolutionの『HOT LIMIT』。爽快感とパッション溢れる夏の定番曲だ。

今回のカバーではキーが高くなっていて、原曲の持つ爽快感とセクシーさはそのままに、そらちゃんの美しいハイトーンがうまくマッチしている。感じるセクシーさも決して(言い方が悪いが)扇情的なものではなく、青春の1ページを見ているような少し大人びた甘酸っぱい感覚だ。原曲で浮かぶイメージが「灼熱の日差しと吹き付ける熱風」だとしたら、こちらは「弾ける炭酸と果てなく続く透明な海」か。

この曲はMVも公開されており、原曲MVの衣装も再現しているが……サムネの通り、着ているのはマスコットのあん肝だ。あぁ…、まあそうなるよね…。セクシーなあん肝とホットで健康美溢れるそらちゃんを堪能することが出来る。


本家様↓ 


2,ロマンスの神様

暑い夏の次は打って変わって冬になる。『ロマンスの神様』はそらちゃんと同じビクターエンタテインメント所属の大先輩、広瀬香美さんの曲で、ゲレンデでよく耳にする冬の定番曲だ。広瀬さんは本曲を始めとするウインターソングでヒットを連発した「冬の女王」であり、最近そらちゃんに関する記事Twitterでそらちゃんについてコメントされている。渡部チェルさんとの交流の際も思ったが、いやはや凄い時代になったものだ。これもひとえに彼女の夢に向かう努力の賜物だろう。

この曲は本アルバムのなかでも特に注目してほしい曲その1だ。印象的なのはやはりサビだろう。心情や仕草を歌うAメロやBメロからのサビはパワフルなハイトーンと声の伸びが心地よい。ラスサビのシャウトは必聴ものだ。他にも、全体的な緩急の付け方や「語るように歌う」表現力には目を見張るものがある。本アルバムのなかでも、特にそらちゃんの進化と魅力が詰め込まれた1曲と言っても過言ではないだろう。

カバーアルバム前にショート動画でも同曲を上げているので、こちらも要チェック!
おててがかわいい。


本家様↓


3,ファンサ


HoneyWorksさんの『ファンサ』はアイドルの華やかさや奮闘、そして感動を歌った王道のアイドルソングだ。2019年に発表されてから今日まで、バーチャルとリアルを問わず多くのクリエイターやシンガーに愛され、カバーされ続けている。

この曲で我々そらともが思いだすのは、やはり1stワンマンライブ『Dream!』だろう。私は池袋HUMAXでのライブビューイング組であったが、あの感動は2年経った今でも心に残り続けている。ライブ翌日に『ファンサ』の動画が上がったが、現在は非公開になっているのが残念である(復活求む)。

今回のカバーはライブ当時からさらにパワーアップしており、歌声の力強さと高い感情表現力から来る臨場感が増した印象だ。気になっていた「monaビーム」の箇所は当時と同じく「soraビーム」になっていて驚いた。あの日の感動が甦ると共に、あれから時を経てさらに進化したそらちゃんを感じることが出来る、1粒で2度美味しい曲だ。

カバーアルバムに収録されたということは来るライブでも披露される訳であって…。2年を経てさらに磨きがかかった『ファンサ』を見るのが楽しみだ。

本家様↓



4,MASAYUME CHASING

BoA氏の『MASAYUME CHASING』は今回のカバーで初めて知った曲だ。ノリノリのリズムとラップはライブで盛り上がること間違いなしだろう。

今回のカバーでは、原曲の明るくポップなパーティーミュージックのイメージから、木漏れ日が当たる湖畔に佇んでいるような幻想的な曲へと姿を変えている。AメロとBメロは透き通る歌声とその良さを引き立たせているエフェクトがファンタジックな世界観を創り出している。サビは流星群の舞う星空のような軽やかなテンポで進んでいき、Cパートにはカッコいい「そラップ」が入る。同じ曲でも歌い方でここまで変わるのかと思わされた。これもカバーならではの魅力だ。

本家様↓



5,怪物

注目曲その2。2019年に発表した『夜に駆ける』を皮切りに、次々とヒットナンバーを世に送り出す2人組のユニット、YOASOBI。『怪物』はそんな彼らの7枚目の(デジタル)シングルであり、そらちゃんも歌枠で何度か披露したことがある。私はその歌枠で初めてこの曲を知った。

リズミカルであるが淡々と歌うAメロと徐々に盛り上がっていくBメロからの、ブワッと感情が広がるサビという絶妙な緩急が聴く者を魅力する。それに加えて、原曲よりさらに上げたハイトーンや感情の表現力という2つの要素が、原曲の持つダークなテイストを再現しつつ、ときのそらだけの曲へと昇華させている。この曲も、そらちゃんの進化と魅力がギュッと詰まっている。個人的に本アルバムで1、2位を争うお気に入りの曲だ。

本家様↓



6,アンドロイドガール

注目曲その3。去る9月のときのそら4周年記念ライブでも歌われた『アンドロイドガール』は DECO*27さんのボーカロイド曲だ。

曲の激しさに負けない高音はまさに「ボーカロイドのそら」。無機的なウィスパーボイスからパワフルで感情的な歌い方に変わっていく疾走感は「愛を知り、徐々に心を宿すアンドロイド」の姿が目に浮かぶようで、そらちゃんの表現力の高さと原曲に対する高い解釈力が窺える。アンドロイドが完全に感情を宿すCメロからのラスサビは聴いていると鳥肌が立ち、「あれ?このアンドロイド、人間になっちゃった?」と思ってしまうほどだ。いわゆる臨場感とは別次元の、このカバー曲全体が持つ空気に始めから終わりまで圧倒され呑まれる。お前は何を言っているんだと思ったそこの貴方、感情表現と緩急の付け方がとにかく凄いのでこの曲は是非聴いて頂きたい(他の曲も聴いてね)。1月のライブでこのクオリティあるいはこれを越えるクオリティで見られると思うと、非常に楽しみな曲だ。

本家様↓



7,God knows...

『God knows…』はTVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の中で涼宮ハルヒ(CV:平野綾さん)が歌う劇中歌だ。この頃は京アニ無双だった時代で、本曲と『けいおん』の影響でギタリスト人口が一気に増えた。かくいうミーハーな私も当時フェンダーのムスタングを買ったクチだ。その後しばらく使うも数ヶ月後に店で見かけたデューセンバーグのギターに一目惚れし大枚叩いて買ってしまったので、ムスタング君は観賞用ギターとなり、数年後にはタンスの肥やしと化したので競売に掛けられた。ちなみに一目惚れしたデューセンバーグは数年前に友人に譲ってしまった。その内2台とも化けて出てきそう。

 そんなちょっぴりほろ苦い思い出がある『God knows...』であるが、今回のカバーでは原曲の持つ「感情の高鳴り」はそのままに、しかし熱さは抑え目にして、クールでスタイリッシュなときのそら流のカッコ良さにアレンジされている。曲の雰囲気はガラリと変わっているが、ベクトルは原曲と同じであるところが、『アンドロイドガール』と同様にそらちゃんの曲に対する解釈力の高さを物語っている。彼女の進化をひしひしと感じ、先の『MASAYUME CHASING』とは違ったカバー曲ならではの魅力を見た。

これまた完全に余談であるが、私はこの曲のカップリング曲『Lost my music』(豊洲NSSでマリン船長が歌っていた曲)が大好きなので、こちらも是非そらちゃんにカバーして頂きたいところである。

(本家様らしきものは見つからず…)


8,Butterfly

個人的に1番意外だった選曲。倖田來未さんの『Butterfly』は大人な女性が醸し出す艶やかさを持つ曲だ。私もそんなに詳しくはないが、当時女子高生の間で一世を風靡した曲なんだとか。

自身のオリジナル楽曲では中々見られない大人の色気漂うそらちゃんの歌声にドキドキしてしまう。そんな音の空間の中でも透き通ったハイトーンとパワフルな歌声という、そらちゃんらしさはしっかり感じる。普段とは違った一面を見ることが出来るのも、カバー曲ならでは。これが大人な「エロカッコ良さ」に対する彼女の解釈だとすれば…、カッコ良くも色気ある大人なそらちゃん、素敵だ。

本家様↓



9,まっさらブルージーンズ

『まっさらブルージーンズ』は、かの有名なハロー!プロジェクト(通称ハロプロ)に属していた女性アイドルグループ「℃-ute」の曲である。タイトルコールから楽しくなってくる、王道アイドルソングだ。

とにかくリズミカルで楽しい!というのが率直な感想。アイドル感全開なので、バーチャルアイドルときのそらの本領発揮と言ったところか。それと同時に、ポップで爽やかだけど、少し切ない青春を詠うつんく♂氏の卓越した手腕を改めて知ることが出来た。凄くライブでコールしたくなる曲だ。

本家様↓



10,嘘

注目曲その4。シドさんの『嘘』は2009年に放送されたTVアニメ『鋼の錬金術師   FULLMETAL ALCHEMIST』とのタイアップ曲であり、私も観ていたのでよく覚えている曲だ。

原曲の曲調は月日が過ぎていくようにスタイリッシュに駆け抜けているが、「温かさを求めながらも、胸にあるのは終わってしまった孤独感」が曲の根幹を成している。そらちゃんによるカバーもそれらを踏襲しているが、低くも透明感のある歌声がより一層の哀愁を漂わせる。1番のサビ前のBメロはまさに部屋で独白しているような歌い方だ。感情が大きく動くCメロからのラスサビは孤独感が続きながらも決意を固めたことでどこか優しさが滲み出ており、その心情を歌い方から汲み取ることが出来る。夕日のような温かい優しさと、迫る孤独な夜のような寂しさが交ざりあった、お気に入りのカバー曲だ。

本家様↓


赤いスイートピー

レジェンドオブアイドル、松田聖子さんの『赤いスイートピー』は世代でなくとも誰もが知る名曲だ。そらちゃんのお母様がお好きな曲という事らしいが、かくいう私も世代ではないが、親がよく口ずさんでいたことから知った身だ。

やはりそらちゃんの歌うバラードは心地良い。原曲と比べるとゆったりと長めにアレンジされており、歌詞1つ1つを噛み締めるように歌うところがそらちゃんの持つ優しさを反映しているようでとても好き(語彙力不足)。感想を書く為に本アルバムを一通り聴いたが、この曲だけ5、6回ループしていた。まさに「心の岸辺に咲いた赤いスイートピー」のようにじんわり温かい気持ちにさせてくれる。百聞は一見に如かず、是非聴いて頂きたい。

(本家様らしきものは見つからず…)

12,この世界で

個人的に印象的な曲。そらちゃんと同じビクターエンタテインメント所属の家入レオさんの『この世界で』は、劇場用アニメ『コードギアス 復活のルルーシュ』のオープニングテーマに起用されている。あいにくギアスはR2までしか知らないので、初めて知った曲だ。

2022.1.14 追記:なんとMVが公開された!過去の映像がまた感動を誘う…。

ダイナミックな曲調が雄大な世界観を感じさせる。そこにそらちゃんの美しく透明感あるハイトーンが加わり、より深く心情が込められているように思える。

前述したように私は11月に入院沙汰になった訳だが、本アルバムが発売となりデジタル配信されたこの曲に励まされた。目の前が真っ暗になるというのはポケ○ンくらいしかないと思っていたが、いざ病院送りになり今後を考えると本当に真っ暗になったような中々の絶望感だった。そんな中、傷や孤独感の先にある希望を求めて力強く進んでいく様子を描くそらちゃんのこの歌声に何度心動かされたことか。人の心を感動させられるのは人の心だと某美食家も言っていたが、まさにその通りだった。

こうしてnoteをしたためる位しか私には出来ないが、少しずつ彼女から受けた恩を返しながらゆっくりでも進んでいこう。
幸い身体も思っていたよりマシになったので一安心である。

本家様↓


13,KING

『KING』は新進気鋭のボカロPであるKanariaさんによって2020年に発表された。まだフレッシュな本曲であるが、すでに多くのシンガーやアーティストにカバーされていることから、その人気の高さが窺える。そらちゃんも今年の2月にカバーしており、今回はリメイクした形になる。

リメイクと言っても、以前のカバーとは異なる歌い方やアレンジがされている。全体的に力強く歌う様はまさに「KING(女の子やぞ)」と呼ぶに相応しい。しかし曲の中でみせる歌い方の表現はパートによって様々であり、普段の放送でたまに見られるちょっぴりいたずらっ子なそらちゃんが垣間見える。また、英語の箇所はコミュニケーションの為に英語を頑張るそらちゃんらしく、よりネイティブに近い発音になっている。得意なハイトーン、いたずらっ子のそら、夢に向かって頑張るそらちゃん…、ときのそらの魅力が詰まったカバー曲と言える(かもしれない)。ライブではどんな王様になるのか楽しみだ。

本家様↓


14,エイリアンエイリアン

『エイリアンエイリアン』はナユタン星人さんによるVOCALOID曲だ。そらちゃんはこの曲を2019年に一度カバーしている。VOCALOID曲を原キーで歌うことが出来るのは、リアル、バーチャル含めても一握りだろう。大抵の人がキーを下げてカバーするなか、なんと彼女は原キーでカバーした。

それから2年と少し、再びカバーされたこの曲は 久しぶりに旧友と再会したような懐かしさと、さらに洗練された歌声が溶け合い、初めて聴くようなフレッシュな風を運んできた。改めて聴くと恐ろしい程高いっすね…。

様々なステージで聴く度に進化を続ける『エイリアンエイリアン』、ライブでのパフォーマンスに期待がかかるところだ。

本家様↓

(ちなみに、私の『エイリアンエイリアン』検索結果だと本家様→そらちゃん→天神子兎音ちゃんとなる。清純ワイルド…!)


15,太陽系デスコ

ときのそらと言ったらこの曲を連想する人は多いのではないだろうか。前曲と同じナユタン星人さんの『太陽系デスコ』はときのそらを代表するカバー曲だ。この曲も2018年に一度カバーされている。もちろん、原キーで。

これぞときのそらと思える高音は3年の時を経て安定感と表現力が増しており、これまでの積み重ねを感じさせてくれる。アルバムのトリを飾るに相応しい『太陽系デスコ』、バーチャルときのそらの真骨頂を存分に聴き味わってほしい。

本家様↓


まとめ

正直なことを書くと、最初に3rdアルバムがカバーアルバムと聞いた時はやや残念だった。
カバー曲は原曲ありきなので、新しさや面白みはそらちゃん自身のオリジナル楽曲や原曲より…と思っていたからである。しかし、この感想を書くにあたって原曲とアルバムを聴き比べていると、カバー曲であっても歌い手の想いやこれまでの積み重ねを感じ取れるのだと知り、カバー曲ならではの魅力も発見することが出来た。

本アルバムの全ての曲は原曲をリスペクトした上で解釈し、そこに自身の経験と知識と技術を融合させることで、世界でただ一人「ときのそら」だけが創り出すことが出来る、未知の可能性を持つ曲へと進化していると思う。曲だけではなくそらちゃん自身の進化もしっかりと伝わってくる、オリジナル曲メインに匹敵する立派なときのそらだけのアルバムだ。

年が明けた1月22日にはシアトリカルライブ『Role:Play』が待っている。実に2年ぶりの現地ライブは東京、大阪の2拠点とオンラインの開催となっている。案内を見ると本アルバム曲の他に未公開曲やオリジナル曲も織り混ぜるそうなので、否が応でも期待が高まる。私はというとギリギリまで悩んだ末、情勢と自身の体調を見越して全く苦渋すぎる決断であるがオンラインでの参加になりそうだ(恐らく3月のfesも…)。本当はそらちゃんをライビュという形であるが生で初めて見た池袋HUMAXでもう一度見たかったし、大阪のエキスポシティ(というかエキスポランド万国記念公園)も学生時代にお世話になったので是非行きたいところだったが、こればかりは致し方ない。しかしどこへいても応援する心が向かう先は1つ、来るべきその日を期待に胸踊らせながら楽しみにしている。


本年はこれで書き納め。今年もこんな駄文たちをみてくださってありがとうございました。
来年も、どうぞよしなに…!
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