コーヒー1杯で世界は広がるのかもしれない
コーヒーを美味しいと思えるようになった。
2023年で、いや、ここ数年で一番大きな変化かもしれない。
社会に出て20年以上、主にビジネスのあらゆる場面でコーヒーをすすめられるたび「すみません、コーヒーは飲めなくて」とやんわり断ってきた私にとっては、本当に大きな変化だ。
これまでずっとラテ系一択だったスタバでカフェミストを頼んでみたら美味しかったという小さなきっかけに始まり、少しずつコーヒーの味に慣れてきたのかもしれない。
アーモンドミルクで作ったカフェミストが好きというのは変わらないけれど、気づけばブラックでも飲めるようになっていた。
そして、スタバ以外のコーヒーチェーンやコンビニのコーヒーを飲むようになり、味の違いや自分の好みも徐々にわかってきた。
その結果、「美味しいな」と素直に思えるコーヒーに出会うことができたのだ。
そういえば、アメリカで暮らしていた頃、とにかく甘いドーナツとブラックコーヒーという組み合わせに一瞬目覚めかけたことがあったっけ。
あれは確かシアトルの友人のところへ遊びに行った時。市内中心部に点在する美味しいと評判のドーナツショップを梯子した際、分厚い(DEAN and DELUCAに置いてあるような)コーヒーマグでコーヒーを飲む地元っ子を真似して頼んだことがきっかけだった気がする。
懐かしい記憶とついさっき買った浅野屋のアップルパイ。
気づけばファミマでコーヒーを買い、まだ正月気分が漂う商業施設脇のベンチでカフェタイムとなっていた。
そうか、コーヒーが飲めると、こんなに気軽に街中で一服できるのか。
30年以上「コーヒーは飲めなくて」と言い続けてきた私には、それはまるで違う世界に一歩足を踏み入れたような感覚だった。
コーヒーが飲めるようになった。
本当に、ただそれだけのことだ。
でも、40半ばにして初めてできるようになったことが、鮮やかに世界を広げていく。
大袈裟な努力なんてしなくても、日々の中でちょっとだけいつもと違うことをしてみたり、その結果生まれた小さな変化を受け入れたり、そんな些細なことでも世界は変わるのだ。
ファミマのコーヒー(ちょっとだけ贅沢してモカブレンド、税込140円)と共にいただいたアップルパイの美味しさが、確かな証拠である。
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