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【LIVE】渋谷すばる/赤犬(2024/07/21 大阪味園ユニバース)

「いつか聖地巡礼のクライマックスに、味園ユニバースで渋谷すばるのライブ観たいよね」

2015年に公開された、
当時関ジャニ∞のメンバーだった渋谷すばる主演の映画「味園ユニバース」
2019年末に大阪に住む友人のH氏と、
映画の舞台の大阪でロケ地になった場所を巡る聖地巡礼をして以来、
渋谷すばるについて何か話すごとに言っていたが、
そんなのは夢のまた夢で、仮に実現してもチケットは取れないだろうなと思っていた。

それが映画公開から約10年後の2024年、現実になった。
映画の最後に渋谷すばる演じるポチ男(本名茂雄)が
大阪の実在するベテランバンドの赤犬と一緒に
味園ユニバースで映画主題歌の「ココロオドレバ」を歌うシーンがある。
聖地巡礼の最後にこの曲を味園ユニバースで聴けたら最高だ。
今回のライブは渋谷すばると赤犬の対バンだから、
もしも実現すれば正に映画のクライマックスの再現だ。
少しでもチケット当選の確率を上げるようとすばるのファンクラブに入ったが落選。
そこへユニバースの入る味園ビルが
老朽化による解体のため、2024年の営業を持って終了との情報。
次のチケット発売で取れなければ死ぬというくらい
強い気持ちと覚悟を持って挑んだら当選した。

同行する友人たちとカフェで映画「味園ユニバース」やすばる、
関ジャニ∞の話をしつつ開場待ち。
聞いていたキャパシティ1000人を軽く超える列に並ぶ。
悲願のユニバース入場を果たし、想像以上に煌びやかさに驚いた。
元々昭和のキャバレーだったというだけあって、
会場の装飾が一般的なライブハウスとは全然違う。
特に映画にも出てきたステージの奥には何色にも変化するネオン管。
これが曲に合わせて赤や青、虹色に変化する。
ライブハウスでは梅田シャングリラのシャンデリアでさえ驚いたが
ユニバースはそんなものではなかった。

最初のライブは赤犬。
ユニバースは現実でも赤犬のホームのような会場で、
音楽でも視覚的にもMCでも存分に楽しませてくれた。
映画で使われた曲は全部聴けたのも嬉しかった。
「赤犬の曲で唯一モッシュが起きる曲」と紹介された曲では
実際にフロアに降りてきてお客さんとチークダンスを踊る。
赤犬のメンバーのロビンさんに楽屋から拉致られたすばるが
一瞬だけステージに姿を見せるサプライズもあった。
映画を観たとは言え、会場には圧倒的にすばるのファンが多かったのだろうが、
赤犬の単独ライブなのかと思うくらい盛り上がり
顎が外れるくらい笑って、楽しくて大騒ぎした。
ホーンセクションやストリングスがいるバンドは大好きだ。
大阪に住んでいたらもっとライブに通うのにな。

そしてすばるの登場。
関ジャニ∞時代にも福岡ドームでのコンサートには行ったことはあったが
やはりジャニーズのコンサートの暗黙のルールのようなのがあった。
ソロになって最初のツアーは何となくまだどこまでやっていいのかと
計りかねている雰囲気もあった気がする。
それが今回は誰も遠慮しない、とにかくみんなで騒いで盛り上げた。
赤犬が最高に会場を温めてくれたのと、
ライブハウスで距離が近いのは大きかったと思う。
すばるはライブハウスがとてもよく似合う。
MCでは舞台裏で起きていたこと(赤犬のときにすばるがステージに来た裏話)や
未だに新しく仕事をする人に映画「味園ユニバース」の話をされるなど
映画に関する撮影時から、現在にも続く話がたくさん聞けた。

2ndアルバムの最後の曲「Sing」をみんなで歌い、ライブは終わった。
しかし前日に同じ味園ユニバースで行われていたアイナ・ジ・エンドとのライブと比べて曲数が少ない。
アンコールの拍手が巻き起こると、映画を観て今回ユニバースに来た全員が同じことを考え、それが全員に伝播するのを強く感じた。
「あの曲を聴くまでは、絶対に帰らない」
そんな気迫を感じるアンコールの拍手。

すっと客電が落ちると、ステージに現れたすばるが
劇中で赤犬と出会ったときに歌った曲、
和田アキ子の「古い日記」のフレーズをアカペラで歌った。
誰かの歌を聴いて鳥肌が立つとかそんなに度々あることではないが、
すばるの鬼気迫る歌声に鳥肌が立ち、涙が溢れ、
会場は歓声とも悲鳴ともつかない声で割れそうになった。
すばるは自分のバンドのメンバーと赤犬をステージに呼び、
せっかくだから赤犬のメンバーも一緒にもう1曲だけやりますと言った。
「心の底から踊っていきましょう!!!」

映画では赤犬ボーカルのタカ・タカアキさんが突然客席にダイブして気絶。
すばる演じるポチ男にボーカルを譲る形で歌われた「ココロオドレバ」だったが、
ライブではすばるとタカアキさんが交代で歌う。
映画では2人が一緒に歌うシーンは全くなく、
いつも事故やケガをした不遇のタカアキさんの代わりにポチ男がボーカルだった。
タカアキさんは大好きだ。
でもちょっとだけすばる1人で歌ってほしかった気も
ライブ直後のほんの一瞬したのだが、
この日のタカアキさんは劇中の赤犬の不運なメインボーカルではないし、
失った記憶を取り戻してチンピラに戻りかけたポチ男はいない。
ポチ男がチンピラに戻らず歌を続けたら、タカアキさんと一緒に歌う未来があったかもしれない。
きっと今回のライブは音楽に生きたポチ男の未来であり、
すばるとポチ男は対を成している思うと、あれは最高の演出だった。

最高のライブが終わった後、フロアにどこかで見たことのある
髭を蓄えた男性がいるなと思ったら
映画「味園ユニバース」の監督、山下敦弘さん。
すばる=ポチ男が赤犬と一緒に、今年いっぱいでなくなるユニバースで
監督も観ている前で歌う。
こんなドラマチックな結末があるだろうか。
映画の延長のような、別の世界線を行くような今回のライブで
自分も映画に参加できた、そんな気持である。

ステージ上に大勢いたバンドのメンバー、赤犬のメンバーを見送った後、
すばるは「このライブで第二章が終わり、新しく何かが動き出す」と宣言した。
渋谷すばるが歌い続ける限り、私は見守っていくだけである。

ありのままでいい、さぁ歌え!!!

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