英語書評 4/13(4/4-4/11)分

4月4日『中央アジアの水位は劇的に低下、対策の必要に直面している』
 ウズベキスタンでは灌漑の季節に、アム川とシル川の水量が20%縮小すると予想されている。上流国アフガニスタンの大規模な灌漑農地とコシュ・テパ運河により水量は激減する可能性がある。流域国は使用制限だけでなく、有効な節水技術の開発に投資する必要がある。また将来的には使用者への課税、無駄あるいは違法な水使用を禁止する必要がある。干魃と洪水で国内総生産の1.3%を損失し、作物の生産量は30%減少、季節的な510万人の国内移民が発生する。

04月05日『カザフスタン:分離主義者ではなかった者たちの盛衰』https://eurasianet.org/kazakhstan-the-rise-and-fall-of-the-separatists-that-werent
北カザフスタン州で創設されたソビィエトは、民営化が進んだ同国からの独立を宣言した。開戦後からロシア系住民に対する取り締まりが強化されている。同組織はドンバス分離勢力と同様にロシアの治安当局が関係している可能性がある。あるいは選挙前に求心化を図るため、与党や警察が計画した可能性もある。しかし類似する組織は低所得層で構成されており、小規模だが国内に点在している。

04月05日『問題どころか災害:アフガニスタン運河は水不足の中央アジアとタリバンの紐帯を試す』
https://www.rferl.org/a/afghanistan-taliban-canal-water-central-asia/32350996.html
下流2カ国は共同利益のためタリバン復権の直後から政権と交渉を開始した。しかしアム川と接続する全長285kmに及ぶコシュ・テパ運河はアフガンへの利益しか齎さない。同計画は1970年から構想されていたが、北部での度重なる紛争は実現を妨げていた。また政権の重点事業にも拘わらず、体制転換による財政難で停滞している。トルクメニスタンに新設されたカラクーム運河は同運河の4倍である。中央アジアにおける上流国と下流国の交渉は指導者の交代で前進しているが、アフガンとは従来の関係が継続している。

04月07日『キルギス警察は薬物ギャングの実行役を逮捕する』https://eurasianet.org/kyrgyzstan-police-on-the-hunt-for-drug-gang-enforcers
麻薬売人を暴行・脅迫した麻薬ギャング3人を拘束した。街中に掲示されたSNSアカウント名から登録して麻薬の売買が開始する。麻薬の種類は不詳だが安価で特に危険な種類が流通している。麻薬の合法化を推進する組織は、警察と麻薬ギャングの癒着を指摘している。警察による麻薬の取り締まり強化は、国際的な密輸網により困難であり、広報に悪用される可能性もある。

04月07日『ウズベキスタンはジェンダーに基づく暴力に対する歴史的な規制を採用する』
https://eurasianet.org/uzbekistan-adopting-landmark-legislation-on-gender-based-violence
家庭内暴力に関する最初の法律では加害者に罰金や懲役を課すことができる。また子供への性的虐待がある前科者は登録され、子供と係わる仕事を禁止する。加えて子供への性的暴力は構成要件と刑罰が厳重化された。同国では暴力の85%が家庭内で発生しており、被害者の責任が問われる場合が多い。

04月07日『イスラエルのレバノン攻撃はエルサレムとシリアの事件と如何に関連しているか』https://www.theguardian.com/world/2023/apr/07/israel-and-hezbollah-shadow-war-a-wake-up-call-to-all-out-conflict-could-be
イスラエルはヒズボラの拠点があるレバノン、前日に大規模な砲撃を実施したパレスチナを爆撃した。また同地域に留まらずイエメンやシリアでも戦闘が確認できる。発端はラマダン期間のエルサレムにおけるモスク襲撃である。攻撃目標は同組織を支援する国家の基地や船舶だが、偶発的に紛争が拡大する可能性がある。

04月09日『バクーはエレバンとの交渉で「西アゼルバイジャン」の権利を持ち出す』
https://eurasianet.org/baku-pushes-rights-of-western-azerbaijan-in-negotiations-with-yerevan
アルメニアに「居住していた」アゼルバイジャン人に、カラバフ在住のアルメニア人と同等の権利を付与するよう提案があった。「西アゼルバイジャン共同体」はソ連解体後のアゼリ難民の権利を主張する政治団体である。同団体は和平交渉に介入して自国の見立て以上にアルメニア政府を動揺させている。

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