この曲のココが気持ちいいぞ!    ~「Rock'n Rouge」/松田聖子   ユーミンその②

「Rock'n Rouge」(1984年)/ 松田聖子
作詞:松本隆 作曲:呉田軽穂

松田聖子の代表曲と言える「赤いスイートピー」を筆頭に、「小麦色のマーメイド」「秘密の花園」「瞳はダイアモンド」などなど、呉田軽穂ことユーミンが松田聖子に提供した曲は、どれもこれもため息が出るほど素晴らしい。

でもでも「Rock'n Rouge」を初めて聴いたときは幼心にド肝を抜かれました。曲調もコードも、当時としては「洗練」具合がハンパなかった。当のユーミンだって「っしゃ、いいの出来たわ」って思ったと思う。

そして、今40代後半~50代の人たちがこの曲を聴くと、全員が口紅のCMを思い出します。はい、全員です。
「春の新作口紅のCM曲なんです。アップテンポで春らしいやつお願いします」って言われてのこの曲。

100点満点で780点くらい取ってますよね。

詞の方もね、「pure pure lips」を入れてくれ、っていうリクエストがあって難航したって話もあって、こんな爽やかな曲でもその裏にはオトナの事情が満載・・笑。松本隆さんだって苦戦することあるんですねぇ。
ホンマかどうかは知らんけど。

一方、作詞の松本隆は、カネボウ側から「pure pure lips」というフレーズをサビに含むという制約を課されていたため難航し、締切間近に音信不通になってしまったという。結局、ベタなデートのシチュエーションを描くことで乗り切った。

Wikipedia

てなことで中身を見ていきますが、イントロはAメロとカブるので飛ばしてAメロから。

軽快!かっこいい!洗練!

続くBメロはコード進行的にはわりと普通なんですが、そもそもBメロどアタマからA♭キーにスッと転調しています。
Aメロの後半が上記の感じで、この段階でA♭キーに転調してるも同然なので、違和感はまったく無いですが。

で、鬼のCメロです。

ここの「♪嫌と言っても反対の意味よ」のDm7→B♭9→Am7→D9→G7sus4→G7 が気持ちいい。
なんでD9なの?D7でええやないか、という声も聞こえてきますが、私もD7でいいと思ってます。こんなもんユーミンご夫婦しかわからんし。
なんだけども、鍵盤で下記のように右手の1箇所を半音下げることを繰り返すとD9になる。(押さえ方は一例ね)

なんか数学の問題をエレガントに解いたみたいで、D9の方がいいかな、と思ってね。

途中、ドル建ての賭けの話が出てきますね。当時「ほう、おしゃれやないか」と思ってました。あそこがもし「♪100万円かけていい~」だったら急激に賭博臭が出てきますからね。

あとね、「♪I will fall in love~」は、松本隆さんがどんな意図で書かれたか存じませんが、willって単純な未来を表す場合もありますが、意思を持った意味合いが強いですよね。
「わたし、この人と恋に落ちるかも・・」なのか「わたし、この人と恋してやるぞ!」なのか。

女性の社会進出が当たり前になり、まさにそんな時代のアイコン松田聖子が口にする歌詞だと考えると、後者な気がするんですけどね。

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