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突然、炎のごとく

先日、『突然、炎のごとく』というトリュフォーの映画をみた。恵比寿ガーデンシネマで再上映されていた。

この映画、恋愛観を変えさせられかねない、危険な映画だった。笑

物語としては、ジュール、ジムという2人の青年とカトリーヌという自由で勝手気儘な女との三角関係がストーリーの基盤となっているんだけど、三角関係、というよりも、カトリーヌという魔性の女に翻弄される男たち、と言った感じ。

気を引くようなことをしては他の男と浮気したり突然消えたりして嫉妬させ、男が怒ったり悲しんだところで涙を見せて縋り、さらに恋心を燃え上がらせてはまた嫉妬させ…といったことを繰り返し、男たちの恋心を弄びまくるカトリーヌ。

彼女の言動は、男の言うことによく従う、聞き分けの良い従順な女こそが結婚相手として最適であると吹聴しながら、いざ結婚するとそんな従順な女には飽きてしまいすぐに浮気を繰り返すような世の男たちへの復讐とも思えるし、「夫婦は恋愛の理想ではない」という皮肉な現実への反抗とも言えるだろう。

そういえば、この前読んだ本の中に書かれていた、

『結婚は、恋愛という詩から、日常という散文へと下っていくことです。』

という言葉は稲垣足穂の言葉を文字った中島らもの言葉だけど、「夫婦は恋愛の理想ではない」という皮肉をよく言い当てていると思う。恋愛の果てに結婚があり、遂に愛し合う2人は夫婦になるはずなのに、結婚が恋愛の理想とされないのはなぜなのだろう。なぜ人は、一度手に入れたものには飽きて、無い物ねだりを繰り返してしまうのだろう。

ところでいったい、カトリーヌのような魔性の女が男の心を捉え続ける女の中の女なのだとしたら……
自分の信条とは真反対すぎて衝撃的だ
浮気はしたくない、好きも嫌もはっきり言うっていうのが私の恋愛に対する態度だったけど
カトリーヌのように自分の思い通りにならない、何考えてるか分からないような女こそが男の理想で、追い続けたくなるのだろうし…
そう考えると自分はいかにも分かりやすすぎる女だったなぁ。

#映画 #突然炎のごとく #フランソワトリュフォー #恋愛

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