アーティストへの質問被る問題をインタビュアーとして考えてみる
アーティストが作品をリリースすると、たくさんのメディアが取り上げます。
特にメジャーレーベルからアルバムが発売される時は、リリース週にはTLを追いきれないほどの動画や記事が出回り、テレビやラジオ番組への出演など、とにかく露出が増えたりします。
Culture Cruiseでも、年に何回かですがインタビューをさせていただくことがあり、他のメディアさんがどんな質問をするかは分かりません。
でもだいたい質問は被ってしまうものです。
アーティストによっては、機転を利かせて違うことを答えてくれる方もいれば、潔く同じ言葉を使って回答してくれる方もいます。
嫌な顔をせずに何度も答えてくれるだけでありがたいですし、ある意味どちらのパターンもプロだなと感じます。
インタビュアーとしては、質問が被らないように工夫する必要があると思っていますが、被ること自体は悪いことだとは思っていません(以前は気にしていたのですが)。
ファンの方にとっては再確認になりますし、その一記事しか読まない方だっているかもしれません。
奇を衒って変わった質問を投げすぎると、答える方も答えにくいし、とっつきにくいインタビューになってしまうおそれもあります。
でも簡単すぎると当たり障りのない記事になってしまう。
そんな時、記事になることを考えると、ライターとしてはどうしても「書く」ことに意識が傾いてしまうのですが「読む」ことを考えてみます。
個人的に一番避けたいのは、読み方がテンプレ化することです。
「だいたいこんな質問と回答だよね」で普通に閉じたくなる感じの。何か一つくらいは、読者に新しい感情を持ち帰ってほしいと思います。
ではどうするのがベストなのか、ハッピーターンを食べながら考えて5つに分けました。
1. ありがちな質問も、あえて恐れずに入れていく(特に最初の方)
ありがちな質問は、寝転がってサクサク読める読みやすさにもつながるし、そのありがちな質問に対してアーティストがどう答えるかも、一つの読みどころになる。
2. そのアーティストにしかできない質問を必ず入れる
例えば、役者業もやっているアーティストだったら、お芝居と音楽の関連性を聞くとか。
「もっとこういう聞き方ができたじゃないか」という反省は毎度のことではありますが、いつもここに繋がります。
「この方だったらもっとこういうアプローチができたのに」という反省点がめっちゃ出てきます。
3. そのインタビュアーにしかできない質問も必ず入れる
これを自分で書くのも恐れ多いですが、インタビュアーは黒子であるべきだとは思いません。
「誰が質問しているのか」の部分に価値を持たせる努力も、インタビュアー(ライター)には必要で、それは自分の言葉に責任を持つことにも繋がります。
ライター界全体の価値の底上げにもなるかもしれません。
誰でも書けるのが文章で、だからこそ「この人が書くから読む」を追求する必要があるのではないかと。
自分がそれをできているとは微塵も思っていないですし、張り切ってこんなことを書くのも恥ずかしいのですが。
でもそこを目指したいとは思っています。そのバランスの取り方を、私はもっと学ばなければいけないことも自覚しています。
4. そのメディアならではの視点を盛り込む
メディアの軸がちゃんとあれば、どんなに質問が被っても着地点は変わる!
ファッション誌だったらファッションに絡ませるとか。
Culture Cruiseでいうと、最後に書いている「編集後記」、全部同じ人(私)が書いているので視座が常に一つだとか、特徴的なのはそういう点かなと思います。
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5. 読者が聞きたかったことの代弁者になる
読者を意識しすぎるのも問題なのですが「それを聞きたかった!」とみんなが思ってくれそうな質問を一つは入れる。
記事は読者に捧げているようなものなので、一人で突っ走っても意味がありません。
インタビュー記事の主役は常に話し手です。
でも時にそれが聞き手や読み手のターンになることがあっても、面白いのではないかと最近は考えるようになりました。
それを分かりやすく打ち出してみたのが、SPiCYSOLへのインタビューです。
“Q. もしこの記事でSPiCYSOLさんを初めて知るリスナーの方がいるとしたら、アルバムのどの曲を聴いてもらいたいですか?”
という質問を4人にしたのですが、最終的にこの答えを出しているのは、あろうことか聞いた本人の私です(しかも記事の締めくくりの大事なところで)。
なぜそうなったのかは記事を読んでいただきたいのですが、時にはこんな展開のインタビューがあってもいいのかなと、個人的には考えています。
あえてのありがちな質問も、それ以外の質問との組み合わせによって個性は出せるのかなと思います。
好きなアーティストさんがたくさんメディアに出る時期には、さまざまな視点で見てみるとまた違った発見があるかもしれません。
「このアーティストだから読む」から「Culture Cruiseだから読む」に変化させていけるよう、励んでいきたいと思います。
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