インタビューに雑談力はいらない
どう考えても自分には向いていない、インタビュアーの仕事を始めてから4年余りが経ちます(といっても件数は少ない)。
苦手なりに向上させたくて、いろいろ考えながら今に至っています。
雑談する時間すらない取材の現場
自分に足りないのは雑談力では?
本題に入る前の雑談で話し手(インタビュイー)との距離を縮めるべきでは?
と本題の前の雑談について、勉強した時期がありました。
書店に通年並んでいる雑談力の本を読み漁ってみたり、しゃべりが上手い人の入り方を研究してみたり。
でも、時間が無限にあるならいいけれど、インタビューはだいたい取材時間が決まっています。
雑談に時間を割いていると、いい話ができてきた頃にあえなく「終了〜!」となってしまったりします。
時間配分だって下手なのに、そんなん上手くできないに決まっとるやないかい。
取材時間が60分で、話し手が1人とかだと余裕があるのだけど、45分で話し手が7人、しかもスチール撮影込みみたいな場合もあります。
後者の場合は雑談などしている時間はありません。
しかし話し手(私の場合はほとんどがアーティストの方々)のエンジンが温まる前にいきなり「あなたにとって音楽とは?」みたいな深すぎる質問をして困らせるわけにもいきません。
やはり最初は答えやすい質問にするべきだと考えています。
でもそれは、答えやすい=ライトな質問というわけでもありません。
Yes or Noの質問でもない。これだとインタビュアーの自分の方が多くしゃべってしまうことになりかねません。
冒頭は相手に多めに話してもらいながら、徐々に調子を整えていただくのが理想的です。
つまりここでいう答えやすい質問とは、答えの選択肢が幅広い質問。
思い浮かんだことを自由に話してもらえて、かつ何を言っても答えに該当するようなざっくりとした質問です。
「今回のアルバムはどんな作品ですか?」という感じの。
普通なら抽象的すぎて答えが浮かばなさそうな気もしますが、アーティストさんはフィーリングで直感的に話す方が多いので、ふわっとした質問の方がいい答えが返ってきたりします。
大原櫻子さんへのインタビューで気付いたこと
例えば、先日行なった大原櫻子さんへのインタビューでは一番最初に、大原さんが当時ご出演されていたドラマのお話から切り出しました。
文字ではするすると進んでいった会話のように見えますが、この時の大原さんは「うわぁ!嬉しいです!」という感じでとても喜んでくださったのです。
お会いしてすぐに、感情表現が豊かで素敵な方だと知ることができました。
当初はこの部分、記事上では使うか分からないと思いながら話したことでしたが、記事を読むファンの方もきっとリアルタイムでドラマをご覧になっていたと思うので、共感していただけるのではないかと思い、あえて掲載しました。
このインタビューの主旨はアルバムリリースについてなので、ドラマのお話は雑談の類になってしまうのかもしれません。
でも大原さんが真剣に取り組んでいるお仕事の話ですし、私にとっても雑談という意識ではありませんでした。
実際に大原さんも、インタビューの一部としてとてもしっかり答えてくださっています。ありがたいことです。
ここで教訓にしたのは、
限りある取材時間を雑談に費やすのはもったいない
↓
でも冒頭からアルバムの話を切り出すのもなぁ…
↓
ドラマの話なら、アイドリングの役割も果たすけれど、有益な話もできるかもしれない。読者への「ここから本題に入るよ」の合図にもなるかも
そしてもう一つの狙いとして、ドラマを観ていない方、このインタビューで大原櫻子さんのことが気になった方が、ドラマを観るきっかけになるかもしれないということでした。
Culture Cruiseではアーティストへのインタビューが多いので、大原さんの俳優としての魅力も目立たせたかったというのもあります。
ということで、ドラマのお話から切り出すことにしたのです。
雑談力のない自分なので、いっそのこと雑談はしないという決断に至りました。
時間がない時こそ工夫を重ねられるように、リラックスしていても実のある時間が作れるように、改良していきたいと思います。
大原さんにまた一つ、気付きのチャンスをいただくことができました。
機会があれば、Culture Cruiseの最初の質問にも注目してみてください。
本当に「よろしくお願いします」の会話から掲載している場合もあれば、すぐに本題に入っている場合もありますが、アーティストさんの個性や人柄が出ていておもしろいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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