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山崎ハコの『早く抱いて』がすごくいい。


早く抱いて〜すぐに抱いて〜

今回紹介するのはこちら。山崎ハコが歌う『早く抱いて』だ。この曲は1998年に公開された『皆月』という、邦画のエンディングに使われている。妻に逃げられ、ソープ嬢と恋に落ちるという内容の暴力と過激な性表現が印象的な映画だ。
作詞、作曲は下田逸郎というシンガソングライターでこれまでに太田裕美や小柳ルミ子、八代亜紀などにも楽曲提供を行っているようだ。他にも伊東ゆかりや下田本人が歌っているバージョンもある。元々は1990年に発表された、『泣くかもしれない』という下田のアルバムに収録されたものが原曲のようだ。愛の伴わない肉体関係の男女を描いた儚く切ないフォークソングなのだが、それを見事に山崎ハコが歌い上げている。アンニュイで悲哀を感じさせる間延びした歌い方に、フォークギターの音色が相まって詞の世界を現実のものへと具現化させている。倦怠感のある歌声は何処となくカネコアヤノを彷彿させる。彼女の抑揚のつけ方や語尾の伸ばし方が似ているのだ。昔、カネコアヤノはインタビューでシャムキャッツが好きだと答えていた。確かにシャムキャッツのボーカルとも歌い方が似ている。山崎ハコの別の曲を聴いてみてもこの曲のような倦怠感は感じられない。この歌を歌う山崎ハコはいつもと違いイレギュラーだ。

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