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おばあちゃんの味

ツックルの活動を始めてから、新しく知り合ったチェコ人には必ず好きなお菓子を伺うようにしています。

バーボフカ、ブブラニナ、ケシの実のケーキなどなど…答えは人それぞれですが、その理由の中でほとんどの方が口にするワードがあります。それは「おばあちゃんの味」。

このケーキは小さい頃おばあちゃんが作ってくれた思い出の味なんだ、週末に家族でおばあちゃんの家に遊びに行くと必ず作ってくれる、など、チェコ人の好きなお菓子はおばあちゃんの思い出と共に語られることがとても多いです。

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↑この本は友達に勧められて購入しました。料理上手なおばあちゃん達のレシピが盛り沢山。

チェコで最も親しまれている文学にBožena Němcová (ボジェナ・ニェムツォヴァー)の『babička』(おばあさん)があります。愛情あふれるおばあさんの物語は長くチェコ人に愛されてきました。

日本には「おふくろの味」という言葉がありますよね。なぜチェコではおばあちゃんなのか、チェコ人の友人と話したことがあります。

チェコでは専業主婦は稀な存在で、女性は子供を産んでも働くのが一般的なのだそう。家庭にいる時間が少ないお母さんの代わりに、家庭の味を子供達に作るのはおばあちゃんの役割なのだそうです。同居していなくても週末はおばあちゃんのところへ行ってみんなでケーキを食べたり、食事を楽しんだりするので、おばあちゃんの味に愛着を持つチェコ人が多いのではということでした。

日本でも出産後も働き続ける女性が増えていますし、推進されていますよね。私は個人事業主なので、がっつりフルタイムで仕事復帰して子育ても頑張っている友達には到底及ばないのですが、やはり仕事と育児含む家事の両立はとても大変で、2歳の娘のおふくろの味はアンパンマンカレーや納豆になりつつあります笑。チェコのように食事面は「おばあちゃんの味」が担ってくれていたのなら、罪悪感が少しは和らぐのにな、なんて思ってしまいます笑。

一方で長く働き続けることも推進されている日本。子供の祖父母にあたる世代もまだまだ仕事を頑張っているケースも多いのではないでしょうか。おふくろの味の担い手は少なくなっていきますね…。



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