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二度目の命は


私は、整形外科の手術で使う商品を取り扱っている会社で働いていました。
骨折や年を取って痛くなった骨の代わりにインプラントという機械を代用して身体に埋める。
そんな商品を取り扱っていました。

ある休日、私の携帯がなりました。

それは病院のドクターからでした。

「休みの時にごめん。今から言うもの用意して」

こういう電話は少なくありません。

病院は全ての機械が揃っているわけではなく、殆どが私達のような会社から借りて使った分だけ報告するという感じです。

この日先生が依頼された量があまりに多く、ほぼ全身分でした。

毎日毎週毎夜の様に緊急が入ることに疲れていた私は、この後あり得ない事を言ってしまいました。

「すごい量ですね。
この量だと,,,これって事故ですか自殺ですか」

「そうなんだよ。自殺未遂だってさ」

「これだけぐちゃぐちゃなら、きっと命をとりとめても色んな不都合が起きますよね。
それなら助からない方がこの方の為なのかもしれないんじゃないんですか?
だって死にたかったんだったら」

疲れていたって言っていいことと悪いことがあるんですが、本当に恐ろしい事を言ってしまいました。

人の生き死にをただの人間がこうした方がいいと、しかも医者に向かって言ったのですから。

先生はこの時
「とにかく今からオペだから大至急おねがいな」
とだけ言って電話は終了しました。

そして、翌朝までかかってなんとかオペが終了し、後は意識が戻るのを待つのみとなりました。

患者さんは、想像通り全身ひどい状態で頭も陥没し、骨の代わりのプレート(特注)が到着するまでの間、穴があいたままの状態です。

看護師さんの噂では20歳の女性でした。

私はまたさっき言ったような事を思ってしまいました。

「私なら、こんな状態で生きていけない。
元々死のうとしていたのに」

自殺するつもりが自殺未遂になってしまい、何度も繰り返すというのはよく聞く話です。

とにかく私は電話での無礼を詫びようと思って先生の元に行きました。

先生に失礼を詫びると、
「言ってしまったとこのヤバさはわかってるみたいだけど、きっと本心だったやろ。
僕もそう思うよ。
また、繰り返すかもって。
でも、僕らは医者やから、目の前に来た人を救わないとあかん。

例えば犯罪者の事もや。
かわりに石でも積めたろか!って思うけど、そうはできひん。
医者は神様ちがうからな。
救ってもええから勘違いしそうになるねんけど、奪う権利はないんや」

「私も、それはわかっています。
さっきは本当に軽はずみな発言でした」

「まぁ、君も僕もお疲れ様やからな(笑)
僕な、あの子が目覚めたら、まぁあの子のだけじゃないねんけど、
自殺未遂で命をとりとめた人に言う言葉があるねん。


『自分の命はさっき終わりました。
自分はもう死んでんから、二度と自分の為には生きるな。
今からはこのまわりにいる人の為だけに生きや』

かっこええやろ~まぁ、回りの人はあの子が生きていてくれるだけでいいんよ」

私は自分のことが恥ずかしくて恥ずかしくて先生の前で泣いてしまいました。


「これは秘密やねんけど、僕が自殺しようとしたときに、
おかんに言われた言葉やねんで。

いきとったらそれだけでまるもうけとはよう言ったもんやろ。

僕なんて医者やで!」

こんな素敵な先生とお仕事を出来ていたことに、すごく感謝しています。

みんな感動する話 より

自殺とは、自分に対する殺人行為。
命は自分のものではないと覚悟して生ききること❗️
と、教わりました。

『生きてるだけでまるもうけ』
生きているだけで喜んでくれる人の思いを忘れないで❗️

この素敵なお医者さまに出会えるだけ運の強い方

私たちは、どんな体験でも(時間かけて)自分の糧になる。
無駄なことなんて何もない。
失敗も大きな学びのひとつになる。

生きてるだけでまるもうけ❣️

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