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セクハラにまつわるエトセトラ☆

このお話しの登場人物は3人です。
・ヒロシさん(40歳)課長代理、妻子あり
・トモコさん(29歳)ヒロシさんの部下、独身
・タナカさん(50代)課長、ヒロシさんとトモコさんの上司

人事にいたころ、社員のトモコさんからセクハラの相談を受けた。
上司のヒロシさんからプライベートなお誘いが度々あり、迷惑しているという。

トモコさんは、ヒロシさんからの誘いがなくなれば、それ以上の対応は望まないとのことだったので、人事サイドからヒロシさんに注意した。

ヒロシさんはそれを真摯に受け止め、もう二度とそのような事はしないと言った。

そして、定期異動時にヒロシさんは別の部署に異動となった。



その後、トモコさんからの相談はなく、半年ほど過ぎたころ、ヒロシさんから退職の申し出があった。

職場のパワハラに耐えられないので、すぐにでも辞めたい。二度と職場には行きたくないので、職場の荷物は着払いで送ってほしい。

なにそれ?と思ったが、ヒロシさんは弁護士と一緒だったので、よけいな事は言わず、淡々と処理した。

翌日、ヒロシさんの奥様から連絡があった。

夫が突然いなくなった。
どこにいるのかわからない。
何か聞いてないか?

奥様は退職したことを知らなかった。

翌月、トモコさんから退職の申し出があった。
一身上の都合ということだった。



後日、ヒロシさんの上司であるタナカさんから報告があった。どうやらヒロシさんとトモコさんは駆け落ちしたようだと。

まったく予想していなかったので、本当にびっくりした。
そんな昼メロみたいな話が現実に起こるなんて。。
だってセクハラとか言ってたじゃん。
最初から作り話だったのか?
途中から燃え上がったのか?

どちらにしても、ご家族は何も知らないまま、ヒロシさんは消えた。
残された奥様やお子様の心中を考えると、本当に気の毒だった。

誰が悪いとか、そういう問題ではないとわかってはいたが、なんて無責任なやり方だろう。弁護士まで使って。



数年後、タナカさんから、SNSのURLが送られてきた。
開くと、それはトモコさんのSNSだった。トモコさんは今、島に暮らしていて、なんと移住者としてテレビの取材まで受けていた。
とても生き生きとしているが、ヒロシさんの姿や記述は確認出来なかった。



その後、タナカさんからもう時効だろう的な感じで聞いた話

この一連の騒動はすべてトモコさんの手によるものだった。
セクハラ相談から駆け落ちまで。

セクハラ相談は付き合っていることをカモフラージュするため。
トモコさんは強い資格(会社が金を出した)を持っており、どこへ行っても食べていける。
弁護士を手配したのもトモコさんで、トモコさんは自分が住んでいたマンションの処分までその弁護士に頼んでいたそうだ。

ヒロシさんは家庭を捨て、見ず知らずの土地で暮らすこととなったが、その後連絡はないし、今どこで何をしてるのかわからない。

タナカさんは、トモコに聞いても、何も教えてくれなくてさ。と言っていた。
 
トモコ?と僕が聞くと、ああ、ヒロシの前は俺がトモコと付き合っていたからね。と彼は言った。

「ファム・ファタール」

この言葉を思い出さずにはいられなかった。

どいつもこいつもどないやねん。

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