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「環境配慮とコスト削減の両立を目指す」透析クリニックが一丸となった医療廃棄物削減プロジェクト

「医療という希望を創る。」というミッションの実現を目指すCUCグループでは、サステナビリティ活動にも積極的に取り組んでいます。

今回のシリーズでは「#持続可能性への挑戦」をキーワードに、CUCグループがサステナビリティな活動を通して社会に届ける持続可能な取り組みについてご紹介します。

第一回目は、透析事業部の「透析医療における医療廃棄物削減プロジェクト」です。取り組みの概要や活動に至った経緯や想い、今後の展望について、担当者の久能さんにお聞きしました。

(プロフィール)
久能伸太郎 
透析事業部 透析企画室

日本工学院専門学校臨床工学科卒業。総合病院や透析クリニックにて臨床工学技士として約20年勤務後、2021年4月、CUCに中途入社。現在は透析事業部において施設担当兼企画チームに所属。人員・業務適正化や医療法人間の合同研修・ナレッジシェアを企画・実行し、支援先医療法人を内外からサポートしている。2022年9月より「eco&コストダウンチャレンジ」として、透析治療で発生する医療廃棄物の削減プロジェクトを推進。

※支援先の透析クリニックの看護師様もインタビューに同席いただきました

▼透析事業部の詳細はこちら


透析医療を受ける患者様や医療従事者が抱える「負い目」を軽減したい


_支援先医療機関にて実施された「eco&コストダウンチャレンジ」とは、どのようなプロジェクトなのでしょうか?概要を教えてください。

このプロジェクトの取り組みを一言で説明すると「医療廃棄物を詰めた、廃棄段ボール箱の削減」です。医療従事者側の小さな意識改革で、患者様に負担を強いることなく、環境負荷低減への取り組みを推進することができ、結果として廃棄コストの削減にも繋げることができると、私が支援を担当する医療機関へご提案。現場で働く職員の皆さんと共にチャレンジしました。

人工透析は、血液の老廃物や余分な水分をろ過する「ダイアライザー」という医療材料を使用しますが、1回の治療ごとの使い捨てであるため、透析治療を行うクリニックでは毎日まとまった量の廃棄物が出ます。たとえば、1日あたり40名の透析患者が来院すると、40個のダイアライザーと透析回路(※1)が廃棄されるため、段ボール箱3〜4箱に及ぶことになります。ひと月に換算すると、廃棄段ボール箱数も結構な数になり、廃棄費用も膨らみます。

今回のプロジェクトでは、この段ボール箱への捨て方に注目しました。ダイアライザーは直径5センチ・長さ30センチほどの円形の筒型をしているため、何も考えずに投げ入れてしまうと向きが揃うこともなく、縦や斜めになってしまうことで、段ボール箱の中にデッドスペースが生まれてしまいます。しかし、揃った形状を生かしてきちんと並べて収めれば、透析回路とともに箱いっぱいに隙間なく詰めることができることに着目しました。

(※1)透析回路
体外へ取り出した血液をダイアライザーに送り、透析後の血液を体に戻すための管のこと

実際の段ボール箱内の様子。捨て方を変えるだけで、廃棄段ボール箱の削減につながった


_このチャレンジを実施するに至った経緯を教えてください

実は、透析医療は医療費問題で社会的に課題視されることが多いんです。
ニュースなどで、大きな医療費がかかる医療=透析医療、としてクローズアップされることもあり、治療を受けている患者様はもちろん、クリニックで働く職員の中にも負い目を感じている方もいます。

私自身、医療従事者の1人として現場で患者様に接していた中で、ずっと「どうにかしたい」「何かできることがあるんじゃないか」との想いを抱えていたんです。そこで思いついたのが、環境問題に関する取り組みでした。患者様に医療を提供するためなら環境負荷も仕方がないという考え方ではなく、医療と環境の両立について自分たちにできることはないか?を模索しました。

そこで着目したのが、廃棄方法の見直し。普段廃棄するものに対する工夫であれば、患者様にご負担をかけることも、提供する医療の質や衛生面への悪影響もありません。医療従事者側の意識改革だけで行うことができ、また、それを実践していくことで、透析医療に関わることが「誇り」に感じられるようになるんじゃないかと考えました。


職員一人ひとりのご理解と前向きな取り組みにより、短期間で成果を得る


_チャレンジを進めるにあたり、心がけたことはありますか?

大前提として、医療機関職員の皆さんに楽しんで取り組んでもらいたいという想いがありました。プロジェクトのご説明をする際にも、できるだけイメージしやすいメッセージでお伝えしました。

詰め方を変えるとゴミが少なくなります。そのためにやることはこれだけ、皆さんががんばってくれたらこれだけ変わるはず、ということを数字を含めてシンプルに伝えることに徹しました。「それだけでいいなら、やってみよう」と思ってもらえるように心がけました。


_チャレンジを進める中での障壁や問題点はありましたか?

始めは半信半疑な部分もあったと思いますが、ひと月ほどで着実に廃棄段ボール箱の数が減ってきました。「少なくなってます!すごいですよ!」と伝えたところ、職員の皆さんもすごく喜んでくれて。結果が見えたからこそ意識が変わったというか、歯車が回り出した瞬間に立ち会えたような感じでしたね。

私としてはきっかけを提案しただけであり、職員の皆さんが率先してやってくださったので、障壁や問題点を感じることはありませんでした。しいて言うなら、コロナ禍で隔離透析をしないといけないことになり、透析1回ごとに段ボール箱を閉じるため、どうしても個数が増えてしまうということはありました。職員の方々が「もっと入るのに仕方がない」と泣く泣く閉めていたのは、取り組みを行ったからこその意識の変化、今までになかった視点を持つことができたからだと感じました。


_チャレンジを通じて起こった変化などがあれば教えてください

次第に職員の皆さんから「今週の廃棄量はどうでしたか?」と気にしていただけるようになり、もっとうまくやるにはどうしたらいいのか?職員たちが自ら工夫するようになったのは大きな変化です。

段ボール箱にダイアライザーをきっちりと詰めるためには少し押し込む必要があるのですが、衛生面から考えるとたとえ手袋をしていたとしても手を使うのは危険です。そこで、手を使わずに押し込むための道具をスタッフ同士で考えてDIYされていたのを見たときは、とても嬉しかったですね。制約のある中で少しでも工夫してできる方法を考えるという姿勢に強く心を打たれました。

DIYで作った板を使うことで、さらに廃棄物をコンパクトに捨てることに成功した

結果として、実際に出る医療廃棄物自体の廃棄量はそのままに、廃棄段ボール箱数・廃棄コストともに12.4%の削減につながりました。また、トラックへの受け渡しの際に職員に負担がかかっていた段ボール箱の回収についても、廃棄量が削減できたので週3回から週1回に減らしました。

捨て方を変え、段ボール箱を減らしたことで、トラックが排出するCO2の削減にも貢献することができたんです。

チャレンジ開始前後、廃棄量は変わらない中で廃棄段ボール箱数、コストともに12.4%の削減に成功した


_チャレンジを経て、久能さんご自身が感じていることをお話しください

今回のチャレンジで行なった医療廃棄物の削減による環境への取り組みは、地域にどれだけ貢献しているかに関わることだと思います。使うことだけでなく捨てることに意識を向けてみること、これは患者様に提供する医療の質を落とすことなく医療従事者側で主体的に変えていける余地があります。

たとえ小さな取り組みであっても、意識を変えて取り組むということは、医療従事者として地域の皆さまに誇れることです。だからこそ、このような積極的な取り組みはしっかりとPRしていきたいし、支援先医療機関様が地域に根ざした医療を提供していくための一つの手段になりうると感じています。

負担の大きかった回収車両への運び込み回数も削減。職員の手間も少しずつ軽減されている

【プロジェクトに参加した看護師の声】
「日常の動作を少し気をつけるだけで削減できるなら」と軽い気持ちで始めましたが、短期間で成果を出すことができ、嬉しかったです。忙しい中でもチームみんなが積極的に取り組み継続できたのは、負担にならない簡単さだったことが大きいと思います。

使い捨て物品が多い医療現場では、環境に配慮することが難しいのも事実です。だからこそ、分別の徹底や医療廃棄物の削減など、意識し試みることが大切だと実感しました。取り組みを通じて、ほかにもコスト削減しつつ環境にも配慮できることがないか?と意識するようになりましたね。

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