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新薬開発の未来を握る”在宅治験”。大手製薬会社とタッグを組んだ若手社員に迫る

本記事は2021年12月にインタビュー・執筆された内容です。所属先や職種名、業務内容は当時の内容となります。

新薬を生み出すために必要不可欠なステップである治験。その治験の可能性を広げる新しいチャレンジが、2020年夏、CUCの新規事業「在宅治験事業」としてはじまりました。事業立ち上げメンバーに抜擢されたのは、当時入社2年目の金川 和弓(かながわ かずみ)でした。

若手でありながら、大きな事業を牽引していくポジションとして感じたやりがい、難しさ、得られたものなど、事業立ち上げ期に金川さんが抱いたさまざまな思いを聞きました。

プロフィール 
金川 和弓(かながわ かずみ)

2019年4月新卒入社。関西学院大学文学部総合心理学科卒業。入社1年目で運営本部在宅事業部にて、支援先訪問診療クリニックに配属。約1年半、埼玉と千葉の在宅医療の現場でメディカルサポーターとして医師の診療を支援する。2020年10月に事業開発室に異動し、新規事業である在宅治験事業の立ち上げメンバーとしてアサインされ、現在に至る。(2021年12月時点)

「新規事業に興味がある?」に即答。入社前から興味があった予防医療の分野


―― 金川さんがCUCに入社を決めた理由は?

友人からおもしろい会社があると紹介されて受けてみて、当時創業4年とは思えない成長スピードだったのと、社員の方が魅力的だったからです。

また、父が開業医だったので、小さいころから医療には関心がありました。自分は、子供の頃からアレルギー体質で、成長するにつれて病気を未然に防ぐことの大切さを知り、予防医療に関わる仕事がしたかったんです。

病気って、その人の生活環境や社会環境が大きく影響しますよね。世の中の仕組みが整っていないことで苦しむ人を減らしたい、すべての人が正しい知識をもって病気を予防できる仕組みを作りたいという気持ちが強くありました。

CUCは、経営基盤も確かですし、すごい勢いで成長している会社という印象があって、医療分野での新しいチャレンジができる土壌があると思って入社を決めました。

―― 入社後の仕事内容を教えてください。

入社後は、在宅事業部に配属になり、約1年半の間、埼玉と千葉にある支援先の訪問診療クリニックでMS(メディカルサポーター)として働いていました。医師に同行して患者さまのご自宅を訪ね、診療の準備やカルテの入力など、医師の診療がスムーズにすすむようサポートする役割です。

地域医療の現場で、患者さま視点でみた良質な医療サービスのあり方を学んでいました。

特に、MSの経験は多くの医師・看護師との会話を通じて医療業界の課題を学べた貴重な期間であり、今も周囲を巻き込んでいく際に自分の経験や現場感を持って治験の必要性を語れる非常に重要な期間となりました。


―― その後、事業開発室に異動して新規事業にアサインされたのは、どんな経緯で?

当時の事業開発室のマネージャーとの面談で、「新規事業に興味ある?」と聞かれたことがきっかけでした。

在宅治験という新しい分野と聞いてワクワクしましたし、入社当初からやりたいと思っていた予防医療にも通じる点や、在宅医療の現場での経験も活かせるのではという期待があり、是非やりたいと答えました。そして今に至る、という感じです。

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在宅治験を日本へ。新薬開発のスピードを上げ、新たな治療方法や薬を待ち望む人に貢献する


―― 事業開発室に配属後アサインされた、在宅治験事業の立ち上げについて、どんなプロジェクトなのか教えてもらえますか?

はい、まず前提として、治験というのは新しい薬の効果や安全性を確認する目的で行われる臨床試験(※)のことで、新薬の開発には欠かせない重要なプロセスなんですね。

これまでの治験は、患者さまが病院へ通院し、対面で行うことが一般的でした。「在宅治験」は、訪問看護やオンライン診療を導入することで、通院せずに自宅にいながら治験に参加できるようにする取組みです。

通院回数が減ることで、患者さまの通院の負担が大幅に減り、新薬の開発スピードを早めることができる、新しい治験モデルです。この在宅治験を全国に広げていこう、というのが今回の新事業の内容ですね。

(※)臨床試験とは
ヒトを対象として薬や医療機器などの有効性や安全性を確認するために行われる試験のこと


―― 「在宅治験」という言葉自体、まだ国内では広く認知されてないですよね。

そうですね。日本で言葉としては昨今注目を浴びつつありますが、実態としてはあまり普及していません。

一方で、海外ではすでに在宅型の治験が広がりつつあって、例えばアメリカでは、日本と比べて希少疾患に対する薬の開発が圧倒的に進んでいます。

―― 日本でも「在宅治験」が普及して患者数が増えれば、希少疾患に対する薬の開発も増えると?

はい、世の中に希少疾患だけでも約7000種類の疾患がある中で、そのうち95%はいまだに治療薬が開発されていなくて、治療の選択肢がない状態です。

現状、日本では1つ薬をつくるためには10年以上の期間が必要だと言われていて、特に治験のフェーズには時間がかかっています。

在宅治験が広がれば、気軽に治験に参加できる人が増え、希少疾患に対する薬の開発スピードも上がるはずだと考えています。


国内では前例の少ない新規事業の行方を左右するプレッシャーとの闘い


―― 在宅治験事業の立ち上げ期の中で、金川さんが担当した役割は?

配属されてから約半年間は、市場のリサーチや法規制の確認フィジビリティの確認をグループの治験専門職と共に行い、専門職含めて誰も正解がわからない状態で一緒に作っていきました。

在宅治験はまだ国内での実施実績が少なく、国内に事例がほぼないんですね。なので、海外での事例を集めて、疾患別のニーズや実現の可能性を探っていきました。


―― 海外の事例はどうやって集めていったんですか?

海外の製薬企業やコンサルティング企業、在宅治験ベンダーが公開しているレポートを読み漁るところからはじめました。

海外でコンサルティング事業をしている知人へヒアリングしたり、Twitterで治験有識者にインタビューを申し込んだり、従来の治験に参加されたことのある患者さまにもインタビューしたり。100件ほどDMでアンケートを行ったりもしました。

社内でのリサーチ業務は自分ひとりに任されていたので、あらゆる手段を使って愚直に調べていった感じです。


―― 事業が本格的に始動した後の役割も教えてください。

プロジェクト始動後は、クライアントである製薬会社と、実際に患者さま宅を訪問して治験をサポートする医療機関との間に立ち、担当する治験がスムーズに進行できるよう、あらゆる調整を行う渉外的な役割をしていました。

加えて、関係者が多く大量に発生する契約の管理や、治験で厳格に定められている資料保管等、試験の開始から終わりまでのあらゆる部分の仕組み作りに現在進行形で奮闘しています。


―― 事業の立ち上げを進める上で、大変だったことは?

ちょうど事業立ち上げの時期が、新型コロナウイルスの第5波で世の中がパンデミックになった時期と重なったんです。その影響で事業の体制に変動があり、メンバーの再編が度々ありました。

一時期は、第5波の影響で上司が不在の状況に陥り、自分が全ての意思決定をしなければいけないときもありました。

また、各医療機関がコロナ対応で忙しくなった関係で調整が難航し、問題が発生した時期でした。その時のプレッシャーは正直かなりキツかったですね。


―― その困難をどうやって乗り越えたんでしょうか?

まず、クライアントには在宅医療の現場への理解を深めてもらえるように働きかけ、医療機関や医療職の方々に対しては、治験の社会的意義と経営観点でのコストメリットをしっかりとお伝えすることで、お互いの理解を深めていきました。

あと、一番人手が足りず、プロジェクトが行き詰まった時期には、代表の濵口さんが助けてくれました。「困った時は何でも言うように」と専用のチャットを作ってもらい、相談すると濵口さんから関係者に直接働きかけてくれたこともありました。とても心強かったですね。

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約1年間の事業立ち上げで爆速で培ったビジネス感覚


―― 事業立ち上げを経験してみた感想は?

事業の検討段階から開始後の運用段階まで、ビジネスの一連の流れを掴めたことは、自分にとって大きな経験になりました。

ふつう新卒2、3年目の立場で、大手製薬会社の役員の方やグループ会社の代表と対等に話せる機会はそうないと思うので、費用交渉や大きな意思決定繋がる事も多々ありその分プレッシャーとの闘いの毎日ですが、貴重な経験を積めたと感じます。


―― 在宅治験事業の立ち上げに関わる前と後で、金川さん自身に変化はありましたか?

考え方で変わったのは、事業の数字をすごく意識するようになったことです。

どんなに社会的意義がある事業でも、費用対効果がないと成立しない。事業を成長させるには、数字面からシビアに見ていく必要があることを学びましたね。


―― 今後、ご自身のキャリアプランは?

今後も仕事を通して多くの人の健康に貢献していきたいです。予防医療の分野にも引き続き興味があります。

直近では、まだ立ち上がったばかりの在宅治験事業をもっと伸ばしていくこと。まだまだ治療方法がない疾患や、海外では薬があるのに日本では治験の効率が悪いため承認されていない薬がたくさんあるので、CUCのミッションである「医療という希望を創る。」という言葉を体現していきたいです。

最終的に事業を伸ばすためには、世の中の治験のイメージを変えていく必要があると思っています。


―― 世の中の治験のイメージをどう変えていきたいですか?

いまだに治験というと、漠然と怖いイメージや危険な高額バイトというようなイメージが根強く残っていますよね。

世の中の人にもっと治験の社会的意義を正しく発信していく必要があると感じています。

海外に比べて日本の創薬業界は遅れを取っている現状や、治験が普及することで、これまで助からなかった命が助かること。日本の現状や治験の可能性をもっと伝えることで、治験の必要性を切実に知ってもらいたいですね。

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―― さいごに、金川さんにとってCUCはどんな会社ですか?

まず今回、改めて感じたこととして、事業が立ち上がるスピードが尋常じゃないくらい早いです。安定した経営基盤とベンチャーのような柔軟なカルチャーが両方あるからこそ、すごいスピードで意思決定できるんだと感じます。

良くも悪くも、年齢や社歴関係なしに大きな裁量を任されるので、やりがいも大きい環境だと思います。その分緊張感もあるので、強い意志や覚悟がない方にとっては大変な環境かもしれませんが(笑)。

一緒に「医療という希望」を創りませんか?

もし、CUCグループのミッションに共感いただき、「一緒に働いてみたい」「ビジネスパートナーとして協業してみたい」「話だけ聞いてみたい」などありましたら、お気軽にご連絡ください!

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