text 002/アンドレ・マルロー「空想博物館」について
アンドレ・マルローという人物を簡潔に紹介するというのはとても難しい。『人間の条件』を著した作家であり、思想家であり、そしてド・ゴール政権下のフランスでは1960−1969年の間に文化大臣として手腕をふるい、日本をはじめ世界各地を訪ね、「文化大国フランス」のイメージを各国に敷衍した外交官でもあった。
マルローの幅広い活動について紹介することは本懐ではないので、彼の美術史に関わる活動、特にその芸術論の根幹である「空想博物館」について触れていきたい。「空想博物館」についてのエッセ