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マニラで銀行口座を開くなら?―WHAT BANK ACCOUNT YOU SHOULD OPEN IN PHILIPPINES?

海外移住で大切なことは住居と資金の確保。

まあ、寝る場所とお金があればなんとかなるというわけで。

そう考えると、いつも何気なく利用している銀行口座は実はたいへん貴重だったりします。
カード決済やネット取引の進んだ現代では信用保証としても銀行口座はなくてはならないものでしょう。
また、フィリピンでは、高額な支払いはキャッシュではなく小切手が多いため、外国人が暮らしてゆくには預金口座の開設が必要です。

しかし、昨今、海外では外国人が口座を開くことが次第に難しくなってきています。
国際的なマネーロンダリングの横行や富裕層の資産移転などに厳しい目が向けられているからです。

それは、フィリピンも同じです。
アジアでは、かつては観光ついでに現地で口座を開くことも可能でしたが、今はハードルが上がりました。
(カンボジアはまだイケると聞いたけど)

では、どうやって開けばいいでしょう?

整理が進まないフィリピン銀行業界


僕は高校生の頃、銀行フェチでした。
というと、誤解されそうですが、街中を歩いていて銀行の看板の見つけるのが趣味だったのです。
実家は新潟市なので、その当時は都銀や地元の銀行の他、東北や北陸、関東甲信越の銀行の支店もあって、「どこの県からきたの?」か調べては感心していました。
バブルが弾ける前は、それこそ大小いろいろな銀行があったのです。

マニラに来て気づくのはその銀行店舗の多さです。
はっきりいって多すぎる。
ちょうど、高校時代に出くわしたように多くの銀行を見つけます。
大きなモールの中には必ずいくつもの銀行の店舗があります。
歩けば、コンビニのように、道の両側に同じ銀行の店舗が営業していることも珍しくありません。
ちょうど、淘汰される前の日本の銀行業界のようです。
高度成長を感じさせる風景ですが、将来この店舗も統合化されてゆくのでしょう。

フィリピンの銀行は全体でまだ600行以上もあるようです
(銀行機能を備えたノンバンクがさらに6000以上!)
財閥系の巨大銀行もあれば、一店舗しかない地方の弱小銀行もあります。
外国人居住者として利用するのは、全国に店舗網を持ち、さらに海外送金や当座口座も備えたユニバーサルバンクになるでしょう。

また、注意しておかなければならないのは、フィリピンにおける銀行倒産時の預金保全は50万ペソ(約105万円)です。

フィリピン人にとっては大金ですが、自国から財産を移動させてくる移住者には50万ペソの保証は心細いでしょう。
そのためにも資金量の豊富な銀行を選ぶべきです。

その点を考慮すると、上位のユニバーサルバンクが口座開設候補に相応しいと思います。

BOD SM系の最大手バンク
METRO BANK GT キャピトル系 業界2位
BPI アヤラ系 業界3位

ここまでの上位3行は、日本でいえば「三菱UFJ」『三井住友」「みずほ」のようなものです。

PNB 超富豪ルシオ・タン所有の銀行
Security Bank 三菱UFJが資本参加しています
UBP オンラインバンキングNo.1 を標榜しています
RCBC
CHINABANK BDOと同じくSM系(中国の銀行ではありません)

こんなところでしょうか?
どこも、財政基盤はしっかりしているので、倒産の危険は低いと考えられます。

なかでも、①~③の大手3行は、ほんとにどこでもあるといっても言い過ぎでないくらい店舗が多いので、仮に地方に旅行に行ってもATMを探すのに困ることもないでしょう。
それくらい圧倒的な存在です。

選ぶなら住居に近い店舗で


日本では、ある支店に口座を開設すると、住所変更や残高証明書の依頼などさまざまな手続きが身近な窓口でできます。

ところが、フィリピンの銀行は変更手続きをする場合、口座のある店舗へ行かなければならないため大変不便です。

また、預金のできるATMはたいへん少なく(ほぼ引きだし専用)窓口で預けることになりますが、口座のある店舗以外だと手数料を取られることもあります。(参考:BDO)

さらに、雨季になると一日雨で、傘を差しながらの外出もおっくうになるので、歩いて行ける範囲に店舗があった方が何かと便利なのです。

ちなみに僕はコンドミアムの一階にあるUBPにメイン口座を持っています。雨の日でも傘が要りません(笑)
大口送金や小切手の振り出しなど、店舗のマネージャーと相談する場合も日本より多いので、親身になってもらえるところがいいですね。

オンラインバンキングを活用しよう


フィリピンでは銀行口座を持たない人もまだまだ多いです。
銀行口座のない人はどうやってお金をやり取りするのでしょう?

そこで、活躍するのが、ウェスタンユニオンのようなノンバンクです。
他にも、M LHUILLIERCEBUANAも送金受取所として一般的です。
この場合、送金者も受取人も口座を持っていません。
お金を預けた後、送金した金額と登録番号をを携帯電話メールで受取人に連絡し、身近な店舗に取りに行ってもらうという仕組みです。

また、GCHASHやGRAB CHASHのような電子マネーをQRコードで支払うというシステムもすごく普及しています。
公共料金やネット代の支払い、携帯電話の通話料チャージもできるので、口座振替とあまり変わりません。
(貯蓄や引き出しももちろん可能)

フィリピンでは日本と違って、銀行口座を維持するためには、最低預金残高が必要で、それを下回ると口座維持手数料を支払わないといけません。
そのため、お金に余裕のないフィリピン人が銀行口座を持たず、上記のノンバンクですませるのも当然です。

したがって、銀行もオンライン決済に力をいれているのです。

電子マネーと同様に他の口座への送金から請求書の支払い(公共料金以外にも多数)さらには携帯電話の通話料チャージも可能です。
また、利息もつくので、資金のある人はこちらの方が有利でしょう。
公共料金の支払いのために長い列に並ぶ必要もなくなり、多額のキャッシュを持ち歩くリスクもありません。
いいことづくめなので、口座を開いたら、オンラインバンキングの登録を勧めます。

電子化の取り組みには各銀行で差があるので、アプリやサイトの使いやすさを確認して、選ぶことも大事です。

*僕がUBPに口座を開いたのは、ここがデジタルバンキングに力を入れているからです。
地方に店舗が少ないのが難点ですが、オンラインの使いやすさはトップクラスと言えます。

<ノンバンクと銀行のメリット/デメリット>

GCASH/GRAB CASH 
‐請求書の支払いができる 
‐電子マネーで買い物ができる 
‐他人への送金ができる 
‐アプリが軽く使いやすい 

‐預金保全がない 
‐利息がつかない(GCASHはMMFへの投資ができるので、これで利息を得られます)

銀行口座 
‐請求書の支払いができる 
‐他人への送金ができる 
‐50万ペソまで預金が保全される 
‐貯蓄口座は利息がつく 
‐投資信託へ投資が可能 

‐最低預金残高が必要 
‐電子マネーの買い物にはデビットカードが必要 
‐銀行によってアプリが使いづらい


口座を開くのは楽ではない


最初に書いた通り、今、外国人がフィリピン国内に銀行口座を開くことが難しくなっています。
短期滞在者が観光ビザで申請してもまず受け付けてくれません。
仮にSRRVビサやACIカードを持っていても、審査が待っています。
僕はUBP(当座)とBDO(貯蓄)に口座を開きましたが、開設するに当たって重要な要点は以下の通りだと感じました。
(フィリピンで就職して労働ビザのある方は、会社のメインバンクに口座を開くことができるでしょう)

①長期滞在許可を証明できる(SRRVビザやACIカードの提示)
②国内居住地を提示できる
③使用目的を明確にできる

口座維持のための最低預金残高は、SAVING ACCOUNT(貯蓄預金)で2000ペソくらい、CURRENT ACCOUNT(当座預金)で10000ペソくらいですので、移住者で財務力を問われることはほぼないでしょう。
順を追って、上記の条件を確認しましょう。

①長期滞在許可:
これから、フィリピン移住を考える人はSRRVビザやACIカードは取得されるでしょうから、ここはまずクリアです。
(観光ビザで短期滞在更新を重ねるのはお勧めしません)

②国内居住地:
これが、難しいところです。
ホテルではまず長期滞在の住所になりません。
一方、長期で部屋を借りたり購入する場合、家賃や共益費の支払いに銀行の当座預金口座登録が必要になるので、まさに鶏と卵です。
僕は口座開設に行った時、既にマニラに家を購入する仮契約書を結んでいたので、そのコピーを提示しました。
これは裏付けとしてかなり効果がありました。
長期で賃貸をする人は、賃貸契約書の仮契約コピーなどを用意できればいいと思います。

③使用目的:
開設する口座は日常の支払い口座のためか?海外からの送金の受け口用か?使用目的を明確にしましょう。
これから、フィリピンで生活してゆくために、小切手の振り出しや生活資金の貯蓄に使うということをしっかり説明できれば、銀行も理解してくれるはずです。
僕は家の購入資金の日本からの送金先としても必要だったので、そのことも理由として説明しました。

貯蓄口座か、当座口座か?


日本では通常、普通口座(貯蓄口座)で、当座口座はあまりなじみがないですよね。
恥ずかしながら、僕も移住するまではその違いを良く知りませんでした。
フィリピンではざっく言うと次の通りになります。

SAVING ACCOUNT(貯蓄口座)
-利息が付く。
-引き出し額に制限があり、請求書の支払いなどに使うには不便。

CURRENT ACCOUNT(当座口座)
-利息はつかない。
-引き出し額は無制限。
-小切手の振り出しが可能。
-請求書などの決済口座として使う。

フィリピンでは共益費や高額の支払いに小切手を使うことが日常的に起こります。
また、光熱費やブロードバンド使用料の支払いなどをアプリで済ませられることも多いです
(窓口でも支払えますが、並ぶのはめんどくさいですね)
また、キャッシュカードにデビットカード機能が付いているので、スーパーやモールでそのままカードで支払うこともできます。
そのため、決済用として当座の開設は必要であり、一度使用したらその使いやすさに納得することでしょう。

資産形成を図るなら、貯蓄預金より定期預金や株式口座です。

自分の資金計画に合わせて、落ち着いたらアレンジしてみていったらいかがでしょうか?



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