見出し画像

生後10ヶ月21日 雨の日の赤いゴムボールのコーナー

きのうは雨で1日家で過ごして、赤ん坊の後追いが酷くて気持ちが辛くなっていた。
夕方、暗い部屋でテレビを観ていた。私は座椅子に座って、その膝の上に私と同じ方向を向いた赤ん坊が座り、ふたりで「いないいないばあっ!」の再放送を観ていた。赤ん坊はこの番組が好きなので、私の身体に全体重を預けて、じっと画面を観ていた。
赤ん坊の全ての重みが私のお腹にのしかかり、妊娠中の感覚に近くて急に涙が出そうなほど寂しくなってしまった。一年ほど前の気持ちを思い出したりした。画面では、赤いゴムボールがコンクリート造りの地下通路のような遺跡のような、淋しい変なところを跳ねていた。この、跳ねるボールをカメラが追いかけるだけのコーナーはこの番組にはたまにある。いつもより長い時間(に感じた)、階段やトンネルのある暗い狭い通路をボールは跳ねていった。赤ん坊も私も、呼吸を忘れたように身動ぎもせず観ていた。ラッコのようなポーズで、赤ん坊が無事に産まれてきてよかった、私の暮らしに赤ん坊が来てくれて嬉しい、とふと思ったけど気持ちは妊娠中のような暗い感じを引きずっていた。
ボールは最後、円形の階段状の場所にたどり着いてコロコロと縁に沿って回っていた。階段状になってるのに、下に落ちるのではなくて円の縁に沿って回るのは、面に傾斜が付いてるのか人の手が加わってるのか案外実際はそういう動きになるのか?とか考えた。

赤ん坊はもう一人で歩けるようになり、私は毎日追いかけ回している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?