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言葉になっていないものを使って、相手と自分の間に信頼を生み出す

「みんながこう、目と耳を閉じて見過ごそうとしても見過ごさせない笑。」と笑いながら話す姿からは、チームの成長を信じている雰囲気が充分に伝わってくる倉本修さん。「体にズンとくる体験」や「心が震える体験」など、体験して学ぶスタイルを通して自分についても深く知る機会になったそうです。自分が大事にしたいことを大事にしながら関わるスタイルが、職場はもちろん家庭にも変化を生み出していくストーリーです。

Co-Active Story vol.17 倉本修さん
プロフィール:
外資系製薬会社のScrum Masterとして変わりゆく毎日をEnjoy中。2021年12月に米国CTI認定CPCCを取得し、尽きる事のない人への好奇心増し増しに。コーチングをしながら、なんと幸せな人生なんだと日々感じています。


―倉本さん(以下、くらもん)、本日はよろしくお願いします。まずは、コーチングの基礎コースを受けたのはいつでしたか?


基礎コースを受けたのは、2020年の7月です。


―そもそもコーチングを学ぼうと思った理由やきっかけはどんなものだったのですか?

元々営業出身で、営業所長としてコーチングをしていました。社内でポジションチェンジがあって、新しいポジションではコアなスキルセットとしてコーチングが必要になったんです。そこで、コーチングを頻繁にメンバーやチームに対して使うようになって、コーチングというものの重要性が増したことがきっかけです。


―元々コーチングはされていたのですね。

はい、やっていました。僕は営業管理職の中ではコーチングはできる方だと自認していました。それで、新しいポジションでそれまでやっていたコーチングスタイルでチームメンバーにコーチングを実施していたら、ある時に面と向かって言われたんです。「くらもんってさ、いつもコーチング、コーチングって言って私と1on1の時間を取っているよね。あなたって、本当にコーチングを学んだことあるの?」って言われたんです。


―へぇ。

確かに、本で学んでいたりはしていたんですけど、ちゃんと学んだことはなかったし、そういうふうに面と向かってフィードバックされたっていうのも、なかなか衝撃的で・・・・。


―ちょっとドキっとしますよね。「コーチングわかっているの」みたいなニュアスなんでしょうかね。

そうなのかもしれません。ドキッとしました。そこで感じたのは、確かに私の知らないコーチングの世界は存在しているだろうし、コーチングというものを提供するのであれば、ちゃんと学んで深めることが礼儀なのかなと思って。それで、コーチングを学んでみようと思いました。


―そうだったんですね。コーチングを学ぶところはいくつもあると思うのですが、その中でCTIを選んだ理由はなんですか?

先にお話ししたいのが、せっかく学ぶのであれば、先程のエピソードの女性が納得するくらいのコーチングを提供したいという思いが僕の中にありました。

「くらもん、コーチング学んだよね!」ってわかってもらえるレベルを目指したかったんですよね。だから、初めからプロフェッショナルまでやろうと心に決めていました。基礎レベルで終わるのではなく、CTIで言えば上級コースのようなCertificationがもらえるレベルまでやろうと決心してスクール選びを始めたんです。

それでWebでコーチングを検索したところ、4社くらいあったのかな。そして、その4社をスクリーニングにかけようと思って、全部の説明会にエントリーしました。その中でCTIは3社目でした。2社目で受けたところがいい感じだなと思って模擬レッスンにエントリーしましたが、CTIの説明会ですごく感動しちゃったんですよね。

私の会社では、アジャイル(注:「素早い」「機敏な」「頭の回転が速い」という意味で、アジャイル開発とはシステムやソフトウェア開発におけるプロジェクト開発手法のひとつ)っていう働き方をしながら、このVUCA(注:Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った造語。

未来の予測が難しくなる状況のこと)の時代に俊敏に価値を顧客に提供できるTeamを作ることを追求しているんですけど。説明会の中でVUCAって言葉が出てきたんですよね。「え、コーチングでVUCAとか出てくるの」みたいな。


―びっくり、みたいな。

びっくり、びっくり。自分の心線に触れるって言うか。自分にFitするワードが次から次に飛び出してきてイメージが湧いてきましたね。こうゆう時代に必要とされるのがコーチングなんだっていうのもそうだし、CTIの目指すコーチングがどういうものなのかをすごく感じることができました。レッスンのスタイルも実践的だし、Web開催だけどみっちり学べる、そして体感して実践できるという確信みたいなものを感じましたね。それで結局、説明会が終わった翌日には上級コースまで申し込んでいました(笑)


―じゃあ、4社目に行く前に?

4社目は結局キャンセルしました。


―それくらいインパクトがあったのですね。

ありました。ちなみに、2社目の模擬レッスンもキャンセルしました。「もうここでいい」と決めて、決心が揺るがないうちに契約しようと上級コースまで一気に申し込んだ、そんな感じでした。


―そうでしたか。それくらい説明会で話された内容とコースの様子がくらもんに響いたんですね。

そうですね。響きましたし、イメージできましたよね。これだったら、自分が目指しているものが獲得できるんじゃないかと。


―それで、すぐにエントリーをして基礎コースを学び始めたわけですが、実際に学んでみての印象や感想はどんなものがありましたか?

基礎コースはかなり遠くの記憶なんですが、やっぱり感動という言葉が出てきますね、あと、お値段以上感がすごくて。全く今まで経験したことがない体験ができたなっていうことが残っていますかね。


―これまでには経験したことのない体験ができた、と。

「体験」なんですよね、これ。これまでも様々な研修に出てきましたけど、体にズンと来る体験とか、心が震える体験とか、勇気が湧いてくる体験っていうのはありませんでした。研修って言うと、一方通行のものが多くて、一方的にインプットされて「外でアウトプットしてください」みたいなものが多いですが、あなたたちのためにこういう体験を用意していますし、そこに浸っていきながらあなたたちの成長をサポートしていきますよっていうスタイルが初めてでした。そこにはアットホーム感もあるのを思い出しますね。それは、上級コースまでずっと維持されていましたね。

コーチ仲間とは学び合うことはもちろん、さまざまなつながりも生まれた(本人中央)


―学ぶことをすごく応援してくれるんだな、みたいな。

そうですね。学ぶことを応援してくれている感じはすごくありましたね。すごくホールドしてくれている感じ。まさにコーチングですよね。コーチングを受けてる感覚がすごくある。


―可能性を信じて関わってくれる。そして、安全で勇気づけられる環境を創ってくれていた、そんな感じだったんでしょうか。

終始その感じですね。だから、まさにコーチングだったな。コーチングを学びながらコーチングをされている感じもあるし、コーアクティブで言うところの本質的な変化を促していくというか。

研修を受けながら感じ取るところは、千差万別、人それぞれなんだろうけど、常にその人自身が、自分と向き合いながら内省している時間が豊富にあった気がしますね。これはCTIの特徴的なところですよね。


―学びながら自分について内省もする、そんな経験がくらもんに起こっていたのですね。

すごく起こりましたよね。それが受講した後の充実感につながっています。


―コースを通じて内省をすることにつながったと言うことですが、内省したことで自分について気づいたことや感じたことって、例えばどんなことがありますか?

コース中ですごく大きな気づきだったのは、自分の中の価値観を洗い出すことですね。自分の中ではうっすら「こういうものが好きだよね」とか「俺ってこういうタイプだよね」とかあったんですが、「本当のあなたってなんなの?」っていうふうに突きつけられたことって今までないんです。自分が何者であり、どういうところに価値を置いているかを、他人に対してオープンに口に出せるようになったのは、受講中の最も大きな本質的変化だと思いますね。


―そうですか。きっとこれまでに受けた研修の中でも「価値観」というトピックは出ていたりして。自分でもわかっていたけどそれとは違う、実感値があったような感じだったんでしょうか。

そうです。価値観の洗い出しなどは、研修などで経験はあります。例えば価値観に直結しそうなワードが並べてあって「さて、あなたの価値観はなんでしょう?」と言われてその中から選ぶようなスタイルのワークショップです。自分一人の力で価値観を探しにいく。それもとても重要な事ですが、コーアクティブ・コーチングの関わる価値観の洗い出しはそうではないですよね。クライアントの中にある、クライアントも気づいていない重要な価値観をコーチが感じ取り、口に出してみる、そこから違う展開が起こり、さらに深い価値観にたどり着く。自分で気づいていなかった価値観が出てきて、心底自分になじむ。ここが大きな違いだと思っています。


―ちなみにその価値観の中で、これぞ今の自分らしい価値観ってなんですか?

最も重要な価値観は、僕の中では「信頼」なんですよね。自分が信頼されるというのもそうだし、人を信頼するというのもそうです。信頼という価値観なしには、私自身を語れないなと思っています。それを仕事で関わる方に伝えることが、自分のブレイクスルーになったというか。「僕はあなたを信頼したいんだ」と言えることがすごく自分にとって意味があるし、それを言うと自分が響くんですよね。


―今も話していて響いてますよね。

響きます、響きます。それを初めの1on1やコーチングをする時にちゃんと言えるようになったのは私にとって大きいですね。


―へぇ。直接目の前の人に「信頼していますよ」と伝えるということをやるんですね。それは相手にも伝わるし、自分自身にも伝わる感じですね。

そうですね。そういう事を言う事が恥ずかしい人間だったんですよ。ただ、そういう恥ずかしいっていう感覚が消えましたね。恥ずかしいという感覚って、自分の中の抵抗みたいなもんじゃないですか。今は恥ずかしいというよりは自分がその言葉をちゃんと伝えたいという感覚が勝るというか。そもそも自分って、そんな人だし、そういうふうになりたいんだよね、みたいな。


―そういう自分でいたいから。

うん、いたいですよね。それが自分の価値観だし、これが最も大きな変化です。


―そうですか。そういうことを相手に伝えるところからセッションを始めたり、関係を創っていっているんですね。

そうですね。


―なんか清々しい。

そうですね。清々しいですね。気持ちいいんですよね、結局ね、自分が一番。


―「自分が」気持ちいいと感じることは、大事にしたいものが大事にされている証です。そして、その気持ちよさを感じながら人と関わると、相手にも影響が届いていくと思うんです。くらもんの変化によって、周りとの関係性や周囲のパフォーマンスにどんな変化が起こりましたか?

そうですね。あり方はすごく大きな影響があります。私の役割はチームダイナミクスを見たり、チームを自己組織化させることだったりするんですけど、ここへの影響が大きいと感じています。コーチングを学ぶようになって、彼らを信頼しているからこそ、思っていることを率直に声に出して言えるようになりました。場に漂っている雰囲気もバシバシ声に出します!


―言葉には出ていないけど、なんとなく立ち現れていたり、感じるものを言葉にするような。

そうです。感じた事を言葉に出すことに抵抗感がなくなっているんですよ。今盛んに言われている心理的安全性、オープネス、スピークアップなど、VUCAの時代に成果をあげていくために必要な環境要素は、それを実践する人がいることによって形成されていくと思っています。誰かが実践することによって「やってもいいんだ」とか「ここは安全」「ここは透明性が保たれている場なんだ」というこという認識が出てくるようになって、チームのスピードがあがり、成果につながっていく。思っていることを言わないことでチームが停滞するというのはめちゃめちゃあるわけで。そういうのが無くなって、チームがよりスピード感をもって成果を出すことができる。そこにつながっていくと信じています。


―くらもん自身がオープネスで率直に信頼関係を創っていくために、言いにくいことがあっても勇気を持ってそれをどんどん出していくことで、チーム全体も「言ってもいいんだ」という心理的安全性を感じるようになって、コミュニケーションがより率直にオープンになって、チームのスピードがあがった、と。

はい、ここを大事にしています。まさにコーチのあり方、beingですよね。組織に対するコーチングは対象がチームなので、チーム全体に対してコーチのあり方を一気に出していけるというのはすごくパワフルだし、beingの一つの形なのかなという気はしています。


―例えば、どのようなことをチームの場で言うのですか?

抽象的な話で申し訳ないのですが、必ず突っ込むポイントは、納得してない人がいる時や問題が起こっているケースです。納得していない人や問題が起きていたとしてもチームは素通りすることがあるんです。コロナ禍でリモートワークでしたが、ちょっとした吐息や表情の変化は感じとれます。その時に必ずそこで引き留めるようにしています。「あなた納得していないよね」、「さっきのあの場面はなにか言いたい事あったんじゃない?」、「何か話すことをためらっている事があるのなら、それはすごく重要な可能性もあるからみんなにオープンに話してみない?」


―そういうことを言うんですね。

言いますね。みんながこう、目と耳を閉じて見過ごそうとしても見過ごさせない笑。


―ははは。

そういうのに絶対流されないです。以前なら流されていましたね。


―その「流されない」ことにコミットを感じます。

それはチームの成功や幸せを心から願っているからでしょうね。10人くらいのチームなんですけど、そのチームが成果を素早く出し続けられるような、そんな自己組織化されたチームになることは、絶対に幸せだと思っています。充実感があるし、それができるって信じています。彼らを信じているから、自分ができることは100%出すし、言うことを“ためらわない”。ためらわないっていうのはCTIでコーチングを学ぶとデフォルトなりますね。以前ならためらっているうちに素通りしていたものが、その場で出せちゃうというのは、彼らを信じているからなんでしょうね。


―やはりそこに「信頼」というものがあるから出せるんですね。コーチングを学んだことは、職場だけではなく家庭やプライベートにも影響があったんじゃないかと思うんですが、ご自身の意識の変化はありますか?

職場以外だと、私のコーチングのテーマとして自分の子供は良くでてきますね。子供に対してはいろんな試行錯誤をしましたね。コーチとして感じるんですよね、「子供が大切にしているものは何かな」とか、「奥さんの充実感ってなんなのかな」とか。だから、そういうことを質問するようになっちゃうわけですよ。この感覚ってわかりますか?


―ははは。

僕がコーチングを学んでいるということは、奥さんも子供も知っているんですよね。「それって、私にコーチングしてる?」とか言われたりします。はははは。

「あれ、バレた?」とか言いながら「でも、パパにとっては大切なんだよ。やっぱり幸せになりたいよね」とか伝えますね。


―へぇ。

「あなたも幸せになりたいだろうけど、パパも充実して幸せになりたい。そのために、あなたたちとの時間が大切」と言った事もあります。そんな家族との時間の中で、本当の充実感とは何かっていうのは、やっぱり時折出てきますね。


―そうやって伝えて、聴くとお子さんや奥さんは自分の大事にしたい価値観を言ってくるんですか?

いや、言ってこないですね。ははははは。


―ははははは。そっか。

でも、“互いを尊重しあう”というのは出ていると思いますね。やっぱり印象的だったのは子どもの勉強の話があった時に、どこの家庭にも子どもに勉強を強要するという話あると思うんですけど。それに対する自分の心の置き方みたいなものはすごく変化がありましたね。


―前は結構「やりなさい」みたいな感じ?

そうそうそう。それがやっぱり子どものトラウマになっちゃうこともあるし。「なぜ子どもにやりなさいって言っているのか?」というのは自分に問いかけたりします。


―そうですか。自分の内省する力にもつながっている。じゃあ、お子さんが勉強しない時の関わり方も変わったんですか?

変わりましたね。これそうなのかなと思うんですが、最近子供に言ったのは「パパは、あなたに勉強をしろって言いたくないんだ」って。あまり深く考えずに言っちゃいましたね。なぜ、それを言ったのかな?とか思いながら。そこにはまだ抵抗が残っているのかな。


―その時のお子さんの反応はどうだったんですか?

どうだろうな。ちょっとわかってくれたのかもしれない。その後勉強していたから。ははははは。


―想いは伝わってますね。

今の話をまとめると、家庭でのコーチングは難しいんだなって。仕事ほどはうまく行ってない可能性がありますね。


―少なくともお父さんが「家族をより良くしたいな」という思いがあるってことは充分に伝わっていますよね。

そうですね。それは伝わっていてほしい。


―「そのための関わりをやっているんだな、この人は」って認識はしてもらえているんじゃないんですか。

逆に聞いてみたいかな。最近コーチングを学んでいることはわかっていることなので、「なんか変化あった?」ってフィードバックをもらうのもいいかもしれないですね。


―そうですね。じゃあ、今度ぜひ聞いてみてください。

はい、ありがとうございます。聞いてみます。そこは僕の宿題ですかね。ははははは。


―その報告待っています笑。本日はありがとうございました!

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