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刑事コロンボおすすめ10選

・はじめに
 刑事コロンボシリーズは、プロトタイプの初期作品、70年代に放送された45話まで、80年代~00年代に制作された「新・刑事コロンボ」(~69話)に分けられます。
 ここでは、主に70年代に放送された「刑事コロンボ」シリーズについて、個人的なおすすめ作品をあげていきたいと思います。
 「新・刑事コロンボ」についてはすみません、まだ見ていないものが多いです。ご容赦ください。

・作品のパターン
 「刑事コロンボ」は、物語の作りが概ねふたパターンにわけられる、と思っています。
 純粋に「倒叙ミステリ」として、犯人を追い詰めるスリルが楽しめる作品(対決タイプ)と、コロンボが犯人に共感したりしつつ、物語性を重視した作品(共感タイプ)です。
 前者の代表作が『二枚のドガの絵』で、後者の代表作は『別れのワイン』ということになるでしょうか。

・個人的おすすめ(順不同)
・『権力の墓穴』(対決タイプ)
 コロンボの上司が犯人役です。捜査が制約される中で、いかにコロンボが上司を追い詰めていくか、が見どころ。ロジックでごりごりと犯人を詰めていくのも見ていて楽しいです。

・『アリバイのダイヤル』(対決タイプ)
 アリバイの崩し方が素晴らしいです。見ているとなかなか気づきませんが、最後に明かされる事実の意外性の説得力が強いです(実際にこれで起訴できるかは別として)。

・『二枚のドガの絵』(対決タイプ)
 この作品でコロンボが仕掛けたものは見事としかいうほかないです。一切同情できない犯人を徐々に追い詰めるスリルも抜群です。

・『忘れられたスター』(共感タイプ)
 「刑事コロンボ」のなかで、コロンボが唯一できなかった(しなかった)ことが描かれる作品です。正装のコロンボが見られる珍しい作品でもあります。

・『ハッサン・サラーの反逆』(対決タイプ)
 視聴後スカッとするお話です。最後の展開が見事と言うほかありません。本当にコロンボは粘り強い。

・『死者のメッセージ』(共感タイプ)
 おそらく、コロンボシリーズの中で一、二を争うほど犯人がチャーミングです。犯人のモデルはアガサ・クリスティーあたりなのでしょうが、名前の由来はグラディス・ミッチェルな気もしています。

・『溶ける糸』(対決タイプ)
 作中でコロンボが激怒するのが珍しいですね。コロンボってよくよく見ないと感情が読めないので。トレッキーには嬉しい作品かも知れません。

・『構想の死角』(対決タイプ)
 アメリカのミステリではコンビ作家は珍しくないですが、脚本のレヴィンソンとリンクが想定したのはおそらくエラリー・クイーンでしょうね。そこも含めて楽しめる作品です。

・『祝砲の挽歌』(どちらかといえば共感タイプ)
 余韻の残る良い作品です。共感タイプのコロンボは対決タイプにはない叙情性があって、好きな方は好きでしょう。

・『ロンドンの傘』(対決タイプ)
 コロンボシリーズの魅力のひとつに、コロンボが仕掛ける逆トリック(探偵が犯人に仕掛けるトリック)の意外性や大胆さに驚くことがあげられます。この作品はその典型例のひとつかと。

・雑記
 「新・刑事コロンボ」もちまちまと見ていますが、『だまされたコロンボ』や『かみさんよ安らかに』、『幻の娼婦』、『殺意のキャンバス』あたりが楽しめました。
 既視聴の作品でも、見返すと犯人を追い詰めるロジックの組み方など発見が新たにあり、そもそもピーター・フォーク演じるコロンボ警部(ロス市警での階級はLieutenantなので適切な日本語訳がないのでしょうが)のキャラクター造形が抜群なので見ていて飽きないです。
 余談ですが、『ベルリン天使の詩』ではピーター・フォークがピーター・フォーク役で出演していて、子どもたちから「コロンボ!」と囃されるシーンがあります(ピーター・フォークが元天使と言われても納得できてしまうのがすごいです)。

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