見出し画像

デジタルマーケティングの本質をできるだけ分かりやすく。

新型コロナウィルスによってオンラインでの活動が重要になっています。

今回、勉強会用にウェブマーケティングからデジタルトランスフォーメーションへの大きな流れと本質的な変化について私の視点で整理しました。あくまで私見ですので異なる見解もあると思いますが、何かのお役に立てば幸いです。

ウェブマーケティングとデジタルマーケティングの違い

話を進める前に私としては、下記のように勝手に定義したいと思います。

「ウェブマーケティング」=「ウェブ」というディスプレイ越しの画面で行われるマーケティング活動

「デジタルマーケティング」=ウェブに加えてフィジカルな「モノ、活動」もデジタルデータ化されることによって可能になるマーケティング活動

似ているようで全く異なります。以降でその違いを私なりに整理したいと思います。

ウェブマーケティングが変えたもの

インターネットが普及して以降、従来のマーケティング活動からウェブマーケティングへの変化とはどんな変化だったのでしょうか。色々あるでしょうけれど、私は下記2つが本質的な変化だと考えます。

①ターゲティングの解像度が格段に上がった
②プロセスが可視化された(Life Time Value)

①ターゲティングの解像度が上がった**

画像1

検索とSNSによって膨大なデータを元にしたターゲティングが可能になりました。

マスメディアを主体とした「従来のプロモーション手段」は規模は大きいですが粒度は荒いため、ある程度規模のある層をターゲット(F1層とか)にしないとプロモーションコストを回収できるほどの反応を見込めませんでした。

一方でウェブは「検索クエリ」「SNSによる詳細な属性・興味関心データ」を元にターゲティングしたプロモーションが可能な為、規模がなくても明確なニーズを持つ層をターゲットにした方がプロモーションROIが高くなります。※もちろんビジネスなので一定規模のニーズは必要ですが。

例えばウェブマーケティングの特徴をわかりやすく記載するとこのような形になります。

画像2

上記はあくまで例ですが、このようにターゲティングの解像度を高めて、ターゲットごとに「強み」をつくっていくことがウェブマーケティング戦略として重要です。

この方向性の中に、リスティングやSNS、DSP/DMPなどによる詳細なセグメンテーションプロモーションとLPO、マーケティングオートメーション(MA)など流入ユーザ個別にウェブサイトでのコミュニケーションを最適化/自動化するテクノロジーが存在します。

②プロセスが可視化された(Life Time Value)**

もう一つの大きな変化がプロセスが可視化されたことです。プロセスとは何か。

画像3

例えばプロポーズ。いきなりやっても、ほとんど成功しませんよね。プロポーズにも現代的なプロセスがあります。

画像4

同じように一般消費者の購買にも現代的なプロセスが存在します。(下記はB2Cのケース)

画像5

ウェブ上の行動はデジタル化できる為、ターゲットごとの意思決定プロセスが可視化されました。ここに、ユーザを「より詳細な個」として捉え、意思決定プロセスのルートをデザインするUXの概念や、Googleアナリティクスの様なサイト内行動分析、マーケティングオートメーション(MA)、CRMなどのテクノロジーが存在します。

画像6

更に重要なポイントがあります。従来つながることのなかった「プロセス同士」がユーザ単位でつながります

画像7

例えば、プロポーズした後も人生は続きます。

画像8

わかりやすいのでここでリクルートさんの国内事業をプロットをみてみました。リクルートさんはこれらのライフステージごとに事業をもっています。「ライフステージごとの事業の持っている」ということは、顧客1人あたりのLTV(Life Time Value)が高いということです。そしてそれ自体が各事業における競争優位性になります。例えばゼクシイ単体事業で利益を下げても、他事業で優位に立つための戦略として値下げをして集客する、などの判断もできます。

「デジタルマーケティング」が変えるモノ**

ここまでお話した「ウェブマーケティング」は「ウェブ」というメディア(アプリやウェブサイト)を通じて行われるものです。一方、「デジタルマーケティング」は、ウェブに加えてフィジカルな「モノ、活動」もデジタルデータ化されることによって実現する変化です。

下記は経産省が発表している成30年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模です。注目すべきは「EC化率」です。

画像9

https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190516002/20190516002.html

2018年時点の話ですが、BtoC市場におけるEC化率は「6.22%(前年比0.43ポイント増)」となっています。

逆に言うとBtoC市場取引の約94%がまだEC化(≒ウェブ化)していないということです。フィジカルが伴うサービス業などはどうしてもEC化しにくい側面があります。しかしこの市場をデジタル化していく大きな流れが今、起きています。

フィジカルな「モノ、活動」もデジタルデータ化

代表的にわかりやすいサービスは「Uber」でしょう。

「移動したい人」と「空いているドライバー」の位置や状況をリアルタイムにデジタル化して移動に関する需給をマッチングさせる驚異的なサービスです。

「誰がいつどこからどこまで移動したいのか?」「誰(どの手段)が、いつ、どこからどこまで移動させることができるのか?」という従来デジタル化されることのなかった情報がデジタルデータ化されることで、リアルタイムマッチングが可能になりました。最近では「Uber eats」など、このデジタル化された移動手段を活用したビジネスも展開されています。

また、Paypayなどの「電子決済サービス」も代表的な事例です。「110円のジュースをお店で買う」というようなリアルな購買活動がデジタル化されました。

「誰がいつどのお店で何をいくらで購入したのか?」という購買データが大量に集まってくることで従来のウェブマーケティングとは比較にならない購買活動がデジタルデータ化されます。

デジタル化されたインプットデータに、AIがフィードバックする

リアルな活動がデータ化されることで膨大な量のデータが集積されます。これを人工知能(AI)が解析し、リアルタイムに個々の活動にフィードバックします。

前述したpaypayで「いつ誰がどのお店で何をいくらで購入したのか?」の膨大な購買データが集約されれば、今、この瞬間に自動販売機の近くにいるそれぞれのユーザに対して最も購買確率の高い飲料と値段の組み合わせをダイナミックに出力してアプリにPUSH通知することもできます。

他にもわかりやすいのは自動運転です。運転に関わるありとあらゆる人間や機械の活動を全てデータ化し、人工知能が集約した上でリアルタイムに移動へ反映します。

人間の行っている単純業務を機械に代替させるRPA(Robotic Process Automation)の普及も進んでいますが、重要なポイントは、インプットのデジタルデータ化です。

Photoshopなどでおなじみの「Adobe」がクラウドサービス化して数年以上経過しました。「Adobe」は、クラウドサービス化によって膨大なユーザの作業ログを取得することができました。それによって「Sensei」というクリエイティブAIを開発しています。

クラウド化以前にAdobeがユーザから取得していたフィードバックは、ご意見フォームやクラッシュデータなどだったでしょう。しかしクラウド化することで利用者の1つ1つのアクションが全て取得できます。これらの操作履歴を取得するトラッキング技術を得るために「サイトカタリスト」を買収したことも、今振り返ればコア事業の成長にとって戦略的に超重要だったことがよく分かります。

私たちはこの様なプラットフォーム、クラウドサービスを使いこなすことで巨人の肩に乗ってビジネスができます。

まとめ「クラウドサービスを使いこなそう」

すっかり長くなってしまいました。すみません。まとめます。

ウェブの登場でマーケティングに起きた変化があります。その中でも最も重要な変化は

「ターゲティングの解像度が高くなった」×「意思決定プロセスが可視化された」この2つでした。

スマートフォンは普及しましたが、それでも一般消費者の購買取引行動の94%は未だデジタル化されていませんでした。最終的にはフィジカルな取引が必要だったからです。しかしこのフィジカルな94%もデジタル化していく大きな流れがあります。IoT、5G、AIがそれを実現しようとしています。そして新型コロナウィルスはこの変化を急速に加速させました。

ウェブからデジタルへの変化です。「フィジカルな活動・状況をデジタル化させインプットする」こと。そして「人工知能を活用して個々の属性、状況に対してリアルタイムにアウトプットさせること」。この2つが大きな特徴です。

データ量が重要です。相当なパワーが無いと単体企業でやりきるのは難しいでしょう。だからこそ特定の機能や産業に特化したクラウドサービス、プラットフォームを連携させビジネスプロセスの中で使いこなすことこそが重要です。

昨今叫ばれるデジタルトランスフォーメーションとはまさにこの様なデジタル化の必要性です。本質的な変化を理解せずに単にリスティング広告やりましょう、ウェブサイトでリード集めましょう、ではありません。残念ながらそれでは周回遅れでしょう。そして先進企業は更にどんどん先へ進んでいます。

弊社は、地方という日本の課題最先端の現場で、「まちづくりのデジタル化」を行っています。デジタル化が必要だけど進まない日本の地方でのチャレンジ。しかし、リアルな場という制約条件があるからこそ、活かせる強みがあると考えています。次回はこの取り組みについてご紹介いたします。

長い文章、読んでくださいありがとうございました。是

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?