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【第19章】モチベーションは他の人の役に立つのを実感することでも上がる

この章では経営学におけるモチベーションについて、理論を時系列で過去から最新のものまで紹介している。最初に「そもそもモチベーションとは何か」の定義について問いかけがあり、以下の前提を整理している。

モチベーションは人の行動に影響を与えるということであり「人を特性の行動に向かわせ、そこに熱意を持たせ、持続させる」のがモチベーションになる。

出典:「世界標準の経営理論」(著:入山章栄)

続いてのモチベーションの種類を整理している。この2種類のうち、内発的動機の方が個人の行動へのコミットメントや持続性を高めることは、ほぼ学者のコンセンサスとなっている。
外発的動機
報酬・昇進など、「外部」から与えられる与えられる影響で高まるモチベーションのこと。
内発的動機
外部からの影響なしに純粋に「楽しみたい」「やりたい」といった、内面から湧き上がるモチベーションのこと。

理論1:ニーズ理論(1940年代~)

「人には根源的な欲求があり、その欲求がモチベーションとなり、行動に影響を与える」という考え。マズローの欲求5段階説が有名だが、現代の心理学では価格的ほぼあてはまらない、という結論になっている。
人の根源的な欲求に注目する担当領域は、個人の価値観や個性がモチベーションに与える影響へ拡大しているが、モチベーションのメカニズムからはずれることのでここでは扱わない。(気になる)

理論2:職務特性理論(1970年代~)

「仕事には、従事者の内発的動機づけを高めるものと、そうでないものがある」という視点に立った研究。一般に内発的動機をたかめるのは以下の5つ。
1.多様性:従事者の多様な能力を必要とする。
2.アイデンティティ:従事者が最初から最後まで職に携われる。
3.有用性:職務が他社の生活・人生に影響を与えること。
4.自律性:従事者が自律性を持って仕事ができること。
5.フィードバック:職務の成果をきちんと認識できること。
上記に関して、ある会社では大企業からスタートアップに移ったことで、エンジニアは飛躍的にモチベーションを高めたという事例が紹介されている。
大企業では「自分が開発しているものが、最終的にどのような製品となり
どう使われるのか」が分からないことも多いが、スタートアップに移って環境が変わったことが大きい考えられる。

理論3~理論5の補足図

理論3:期待理論(1960年代~)

ここから3大理論に入っていくがコアになるのは期待理論だ。
期待理論では「人の動機は、その人が事前に認知・予測する『期待』『誘意性』『手段性』の3つに影響を受ける」と考える。
平たく表現すると「やったら達成できそうか、達成できたらどんないいことがありそうか、達成できた時に具体的にどんな見返りがあるか」と言える。
この理論は外発的動機を説明しやすい理論と言える。

理論4:ゴール設定理論(1960年代~)

ゴール設定理論は期待理論を前提としながらも「ゴール・目標の設定」をモチベーションの基礎として加えたのが特徴だ。同理論が広く支持されるのは、ゴール設定を軸に2つの命題を提示したことにある。
命題①:
人はより具体的で、より困難・チャレンジングなゴールを設定するほど、モチベーションを高める。

=具体的で達成可能な目標はモチベーションを高める。
命題②:
人は、達成した成果について明確なフィードバックがある時、よりモチベーションを高める。

=フィードバックによって「次にどのような努力をどの程度すれば良いか」が予測できるとモチベーションが高まる。

理論5:社会認知理論(1960・70年代~)

社会認知理論は、ゴール設定理論の発展系と捉えられ、自己効力感という概念が組み込まれている。自己効力感とは「自分がある状況において、必要な行動をうまくできるか」に対する認知である。
ゴール設定で重要な要素は「目標の高さ」だった。その目標の高さに影響を与えるのが、自己効力感なのである。自己効力感の高い人は「自分はもっとできる」と考えるので、より高い目標を設定する。では、その自己効力感は何に影響を受けるのか。主な要素は以下の4つと考えられている。
1.過去の自分の行動成果の認知:過去の経験
2.代理経験:身近な人が出来ると自分も出来る気がする。
3.社会的説得:「君ならできる」というボジティブな周囲からの言葉。
4.生理的状態:精神・生理的に安定しているか。

理論6:プロソーシャル・モチベーション(2000年代~)

プロソーシャル・モチベーション(以下PSM)は「他者視点のモチベーション」のことだ。関心が自身だけでなく他者にも向いており、他人に貢献することにもモチベーションを見出す。「PSMと内発的動機が共に高いレベルにあると、互いに補完し合って、その人の高いパフォーマンスに繋がる」ことが注目すべき点としてある。さらに最近では「PSMと内発的動機の補完関係が、個人の創造性(クリエイティビティ)を高める可能性」にも目が向けられている。
クリエイティビティは2つの要素から構成される。
「新奇性」:新しい
「有用性」:役に立つ
ここまでをまとめると「TFLXSL」が高い組織では、メンバーの「内発的動機XPSM」が高まり、個人のパフォーマンスを高め、それが組織の高いパフォーマンスとして顕在化する。

このような組織の事例としてリクルートやマッキンゼーが紹介されており、それ自体は理解できるが、全ての組織がそのようになる必要があるのかということについては最高の余地があると思う。
例えばソフトバンクやユニクロのような社長のカリスマ性が高い企業において、トップのフォロワーシップが求められる組織になると思うが、成長はしている。組織の在り方について、盲目的に信じるより色んな可能性を模索したい。

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