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或る両手鍋へのネトストのしかた

この記事は、「我が家の調理器具 ~鍋、フライパン編」から、あまりにどうにもならなかったので独立して記事化させたものです。製品の前置きやスペック等は上記記事をご参照ください。でも執筆中なのでたぶん見れません。

筆者の実家にはだいぶ前から、このホーロー鍋の黄色・27cmがあった。現在のラインナップは赤・白・ネイビーの3色なので、黄色はおそらく廃番になったのだと思われるが、下のキャプチャ内の画像左上のが、たぶんサイズも色もピッタリそのものである。ちなみにこのキャプチャはメルカリからスクショしてお借りしているが、画像自体は公式ページのものであり、サムネイルもそちらをお借りした。(ちなみにマスター業は最近始めた)。

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一昨年の秋、自分が自分の実家に当分帰れないことが決まったとき、あるいは二度と帰らないことを決めたとき、一番に思い出したのがこの鍋の存在だった。週末の大容量パスタや春名残のいちごジャム、冬場のおでんとクリスマスのビーフシチュー、夏から秋にかけてはミネストローネと煮込みハンバーグ、今ぐらいの時季だとリンゴのレモン煮の匂いも。あまりにも私の思い出の幸せの象徴すぎるのでこうして言葉にするのも惜しいのだが、とにかく私はこの鍋を ”取り戻”さなければならない、という強迫に駆られた。そうして記憶を頼りにこの鍋を探し始めたのが去年の12月のことである。探すまでにラグがあるのは自分が強迫に駆られるのにリハビリが必要だったからだ。

まあ今だから言えるが、ホンットに、恐ろしいくらいに見つからない。スーパーや量販店に行くたびに売り場を覗いても、Amazonで「両手鍋 ホーロー(+黄色orイエロー)」で検索しても、Googleの画像検索とショッピング検索で一から千まで探しても。それでもこの特徴的な三段の両手鍋は見つけれず、他にふさわしい検索ワードも探り当てられなかった。発見してからわかったのは黄色が廃番になっていた事実で、冷静に検索履歴を見返すと白とか赤色のこの商品がサムネイルに残っていたりするのだが……。

見つからないまま1年が過ぎようとしていた(主に色の先入観のせいで)。ことあるごとに探してはいたが、見つからないなら見つからないで、私の求めているものは「あのクリームイエローの両手鍋」だし、「冬の薪ストーブの上の」「物心ついたときには既に家にあった」「木の取っ手のついた蓋が引っ越しのときに消えてアルミホイルとラップでどうにかしてた」やつだしなぁ……という変な諦念がどこかにあった。あ、あと「1kgくらいパスタ茹でてた」とか。

転機は上記の、メルカリの商品ページである。たまたま見つけたことには間違いないが、実はメルカリはこの1週間で新しく始めたばかりだし、見つけたときの検索ワードも「ベルメゾン(リンク先は +両手鍋)」だったという、わりと奇妙な偶然が重なってくれた産物だと思う。しかも、見つけた商品ページは鍋自体じゃなくてステンレス棚ラックだし……。とはいえ、ベルメゾンで検索しようと思ったのにもちゃんと多少のきっかけがあって、それはまた「昔話 食器」だし「フェリシモ」だった(「フェリシモ 昔話 食器」がわかりやすい)。

お察しのとおり、我が家はベルメゾンとフェリシモにたいへんお世話になっていた。ご存知ない方のために軽く説明すると、どちらもカタログ型の通販会社で、ファッションや化粧品、インテリアや雑貨等の生活用品を販売している。(私の脳内では生協やコープの宅配と同じところに分類されている。なぜならその生協にも加入していたし、その生協がベルメゾンとフェリシモを知るきっかけだったに違いないからだ。)

最近行きつけの現住居近くのコープで、久しぶりに飲んだリフレッシュで切なくなり、切なさで思い返した実家のかさじぞうの柄の食器が懐かしく、始めたばかりのメルカリで昔話の食器を検索し、あの食器はフェリシモで買っていたのだという気付きを得、そうだフェリシモとベルメゾンには縁があるぞと、手あたり次第に自分の執着を検索してノスタルジーに浸れば、ふと、サムネイルに見覚えのある両手鍋なむ見つけたり。

という、言ってしまえばそれだけの話である(引用ではない)。

とはいえ、”メルカリ”の後もひと悶着あった。両手鍋それ自体が見つからないのである。メルカリの商品ページも、いかんせんステンレス棚ラックのものなので、両手鍋の詳細など載っていない。ベルメゾン公式サイトを見てみたり、Googleで「ベルメゾン 両手鍋」で検索したり。しかし公式のステンレス棚ラックにも情報はなく、あと現在は取り扱っていないせいか、2000年代当時はネットではなく通販カタログが一般的だったためか、痕跡すらあまりに少ない。けれどもこの好機を逃してはならないと、ほとんど惰性のままYouTubeで上記ワードを検索したときにその動画はあった。

サムネイルでお分かりいただけるだろう。”あの”鍋である。色こそ違うが、特徴的な三段の、木の取っ手の蓋が付いた、あの両手鍋である。

すかさず動画ページに飛び、動画と概要欄を確認した。不思議なことに、そのどこにもベルメゾンの文字はなく、コメント欄も閉鎖されている。ついでとばかりにメタタグもチェックしたが、「富士ホーロー、ハニーウェア、オールインワン、ほうろう、琺瑯、ホーロー」と、無難なワードが並ぶのみであった。

しかし、覚えた。「富士ホーロー」の「ハニーウェア オールインワン」シリーズ。記憶にあったあのクリームイエローもラインナップに入っている。すかさずGoogleで検索しなおし、27cm24cmの2種類があること、イエローは廃番らしく代わりにネイビーがあること、定価だと¥5,500¥4,500で、私には少しハードルが高いこと(ホーロー製品は、素材の性質上、メーカーを問わず些かお高めの印象である)……、エトセトラ。

中略、結果的に未使用中古品の24cm・ネイビーを発見し、正直に言えば定価の半額以下で手に入れることに成功した。執念と因縁の思い入れだったため公式の富士ホーローさんへ投資したい欲もあったのだが、新品を買ってしまうと使えないとかいう悪癖と20年付き合い続けている身としては、思い入れがあるからこそ中古で買うのが相応しい気がしたのだ。

以上、2500文字ほど語ったが、なんのことはない、ずっと欲しかった両手鍋を買っただけの話である。ぜひ元記事の「我が家の調理器具 ~鍋、フライパン編」もご覧いただけると幸いである(こっちを先に書いたので、上記記事はまだ存在しないのだが)。

https://note.com/cstlrs_r/n/n4575b80e94b9/

【2021.9.14 1:31追記】近頃だと、写真さえ見つかったならGoogle Lensを使えばいいらしい。技術の発展は疾に疾いものである。

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