見出し画像

NLPエンジニアがIVRyに入社して一年で感じたこと

こんにちは、IVRyでAIエンジニアをやっているべいえりあです。IVRyは先日、シリーズCラウンドでの30億円の資金調達を行いました。

こちらの資金調達を記念して、IVRyでは現在、リレー形式でのブログ投稿を行っています。

14回目となる本記事では、AIエンジニアである私がIVRyに入社して一年で何を感じたかを綴ってみたいと思います。

入社エントリを振り返って

私がIVRyに入社したのは約一年前の2023年7月でした。当時の入社エントリがこちらになります。

この中で、IVRyに入社を決めた理由として以下のようなことを書きました。

  • IVRyには既にPMFしているプロダクトがある

  • 会社を成長させる上でLLMが肝となる

  • AIの開発が非常にやりやすい

また、この入社エントリには書かなかったのですが、

  • この会社、パリピ率高い気がするけど、カルチャーマッチするのか!?

ということを密かに思ったりしていました。さらに、入社前は気が付かなかったけれども入社してから気づいたこととして、

  • ミッションが意外と良かった

というのがあります。これらを一つ一つ説明していこうと思います。

入社前に思っていたこと、入社後気づいたこと

IVRyには既にPMFしているプロダクトがある

自分が主に携わっているのは音声による電話の自動応答システムなのですが、音声に対応する前からIVRyの主力プロダクトであったのはボタンプッシュ式の自動応答(「営業時間が知りたい場合は1を、予約がしたい場合は2を押してください」みたいなやつです)で、こちらはかなり順調に伸びていたので自分が入社した時点で既にPMFしていたと言っていいのではないかと思います。

PMFしているプロダクトがあると何が嬉しいか、については入社時点ではそこまで解像度が高くなかったのですが、今になって振り返ってみると、

  • ニーズがあることが既に証明されている

  • プロダクトの推進に協力的なクライアントが結構いる

というのが良かった点かなと思っています。それぞれについて説明します。

ニーズがあることが既に証明されている

普通、プロダクトを作る際は、そのプロダクトにニーズがあることを証明し、その上で良いものを作らないといけません。プロダクトを作っていく上で上手くいくこともあれば上手くいかないこともあって、「そもそもこのプロダクトは(良いものを作れれば)ユーザーに刺さるものなのか…?」と疑ってしまうことはプロダクトを作っている人なら誰しも経験したことがあるんじゃないかと思います。

そんな中、ボタンプッシュ型の自動応答がPMFしているというのは非常に心強かったというか、「電話の自動応答自体にはニーズがあるので、音声によるAI自動応答でも良いものさえ作れればユーザーはおそらく受け入れてくれる」と予想できたのは非常に心強かったですし、今でも心強いと思っています。

プロダクトの推進に協力的なクライアントが結構いる

プロダクトを作っていく上で「どうやって検証していくか?」というのは難しい問題です。新しいものを作るとなると、その新しいものにユーザーはまだついていないわけで、「とりあえず実ユーザーに当ててみる」というプロダクト作りの王道を実践するのも難しくなります。

そんな中、IVRyではありがたいことに既存のボタンプッシュ式の自動応答が多くのクライアントに使われており、かつ非常に高い評価もいただいています

そのおかげもあってか、プロダクト検証に付き合ってくださるクライアントは結構いらっしゃいます。検証したプロダクトの中にはPoCを終えてこれから本展開していくAIプロダクトもあり、プロダクトを進めていく上で非常に助けられています

会社を成長させる上でLLMが肝となる

自分がIVRyに入社した一番大きな理由が、「LLMを使い倒せそう」というものでした。この点に関して、一年前に入社エントリの中でこんなことを書きました。

LLMは「そこまで深い専門性を必要としない分野を広く攻めるのに最適な技術」と書きましたが、電話の自動応答はそこまで専門的な知識を必要とせず、LLMが既に知っていて学習データ無しでも十分な精度が出るという意味で、業界を超えてスケールさせるという意味では最適な技術であると感じました。

https://note.com/csstudyabroad/n/nfd25eaa0c5ab

これは今でも本当にそうだなと思っていて、LLMに限らず基盤モデルを使えば、以前なら数カ月はかかった機能が数日で実装できてしまったりします。

現在、LLMが主に使われているところは電話の自動応答の中の対話システムの部分なのですが、それに限らず、通話要約であったり、あとは通話データの分析においてフル活用されています。表に出ているもので言うと、下記のようなサービスが実際に提供されています。

更に、まだ表に出せる結果は無いのですが、LLMに限らずマルチモーダルな基盤モデルもプロダクトに組み込もうという流れはあって、音声理解であったり文書理解についてはPoCはやっています。文書理解はまだそこまで解像度は高くないですが、音声理解については重要な機能として数カ月以内くらいにはプロダクトに載る予定です。

AIの開発が非常にやりやすい

入社エントリでは「プロダクトの改善サイクルを回しやすい」という話を書いて、それは相変わらずそうだと思うのですが、それ以外にも(AIに限らず)プロダクト開発を進めていく上で健全なポイントをいくつも見つけることができました。例を挙げると、

  • どれだけお金を貰えても、特定のクライアントに対してプロダクトを作りこむことはしない。様々なクライアントに対してスケールする機能の開発を優先する

  • 上記に関連して、クライアントから新規プロジェクトを取ってくるにしても、プロダクトの今後にプラスになるものを優先的にやる。それ以外は優先度を下げる

  • 営業やCS(カスタマーサクセス)がプロダクトの改善案を気軽に上げられるSlackチャンネルがあり、クライアントの声を汲み上げやすい

  • クライアントの喜びの声を共有するチャンネルがあり、プロダクト作りにやりがいを感じられる

  • 最近、新規プロダクトのdogfoodingが始まったので、会社全体としてプロダクトへの理解が深まりそう

  • BizDevやPdMなど、ビジネス寄りの職種でもエンジニアリングのバックグラウンドがあるメンバーが結構いて、技術的な解像度が高い

などです。最後の点に関してですが、CEOも言語処理学会年次大会に二年連続で参加したりしており、技術的な解像度が高くて助かっています。

この会社、パリピ率高い気がするけど、カルチャーマッチするのか!?

ここは入社エントリには書かなかったのですが、そこそこ心配していました。というのも、IVRyでは会社にいろんな人を呼んでパーティー的なものをやるOpenDayというイベントを毎月開催しているのですが、参加してみたらなんかオフィスにDJブースあるし、オラついた音楽流れてるし、酒瓶持って徘徊してる人いるし、比較的大人しい自分が馴染めるんだろうかと心配になりました。

ただ、入社してみて思ったのは、

  • 大人しい人もたくさんいる(多分大人しい人の方が多い)

  • お酒は飲む人もいれば飲まない人もいて、自由が尊重されている(徘徊している人々もそこは尊重してくれます)

  • 会社として、「大人しい人もやんちゃな人も、どちらもそれぞれ楽しめる状態が望ましい」という考え方がある

ので、現状は普通に馴染めています。やんちゃな人々はやんちゃに、大人しい人は静かに場を楽しんでいるのですが、やんちゃな人々に特に何かを強要されるということはなく個人的には快適に過ごせています。

ちなみに、会社が規模が大きくなってきたこともあってか、最近は昔ほどのパリピな雰囲気は無くなっている気がします。気になった方々は是非OpenDayにいらっしゃってご自身の目で確認していただきたいです。

ミッションが意外と良かった

自分は入社するまで知らなかったのですが、IVRyは以下をミッションとして掲げています。

最高の技術を、すべての企業に届ける

一般論として、会社というのは世の中を良くしつつお金を稼ぐためのものなので、ユーザーの問題を如何に上手く解いているか、その結果としてどれだけの利益が生まれているのかが重要で、どのような技術を使っているかというのはそれほど重要視されないものだと思います。

一方で、技術者という生き物の多くは「最高の技術で世界を変えたいし、最高の技術で人々を驚かせたい」という願望を持っているんじゃないかと思います。少なくとも自分はそういう願望を持っています。そんな自分にとって、上記のミッションは自分を熱くさせてくれるとても良いものだと思いますし、多くのエンジニアの方々も熱くなれるいいミッションなんじゃないかと思っています。

最後に

現状、IVRyではやりたいことに対してAIエンジニアが全然足りておらず、またありがたいことに資金調達もできたので、これからAIエンジニアの採用に注力していく予定です。

この記事を読んでIVRyに興味を持ってくれたそこのあなた、IVRyでAIを使って世の中を良くしていってみませんか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?