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図書館のユニバーサルデザイン

①アナハイム図書館

今回、二つの図書館を回った。到着してすぐに行った、アナハイム図書館と、CSUNが終わってから行った、シールビーチ図書館である。どちらも規模は大きくないが、地元の人に愛されているようだ。

アナハイム図書館は、街の中心にあり、とても便利な場所にあった。ただ、普通の日は11時、土曜が10時、日曜は12時からのオープンだ。開館時間が意外に短いのと、日によってバラバラなのが面白い。

図書館の全体像 右にヤシの木
アナハイム図書館の全景

また玄関の前には、Drug Free Zoneという看板がある。もちろん、これは学校などと同様に、麻薬所持禁止という意味なのだが、これを麻薬はタダと読み間違える日本人もいるかもしれない。このFreeって、タダって意味じゃないよね。以前北欧のレストランで、'Cash Free'と書いてあって、一瞬タダなのかと思ったこともあったけど、もちろんこれは「現金は受け付けない」という意味だった。Freeって言葉は奥が深い。。。自由に解釈できる?

麻薬禁止の看板と左にスロープ
玄関の前にあるDrug Freeの看板

玄関は3段の階段があるが、当然横にスロープがあり、アクセシブルである。
正面にディスアビリティへの理解を深めるための障害学に関するコーナーがある。おや、私の愛読書であるジュディ・ヒューマンの名著‘Being Huemann’「(邦題)私が人間であるために」の隣には、日本が世界に誇る自閉症の作家、東田直樹さんの本『自閉症の僕の七転び八起き』の英訳である‘Fall down 7 times get up 8’があるではないか。当事者作家として世界的に有名なのだと改めて実感する。他にも多様な障害当事者の本が並んでいて、嬉しかった。

障害に関する本がガラス棚に並ぶ
入口すぐの障害に関する書籍コーナー
多様な障害当事者の著作が並ぶ
ジュディ・ヒューマンの隣に東田直樹さんの本が!

そのコーナーがあるのは、子ども図書館の入り口である。実に楽しそうだ。書籍ももちろんたくさんあるが、デジタル教材もFreeなのだ。ここではもちろんタダという意味である。

玄関すぐ左のこども図書館の入り口 すぐ右に障害者の本
デジタル教材は無料で貸し出せる

TeensのコーナーにはFabLabもある。3Dプリンターを使った講習会には子どもから高齢者まで、多様な年代の人が参加していた。日本でも図書館にFabLabを、という運動があるけれど、進めてほしいなあ。

3Dプリンターで怪獣を作っている
FabLabでは多様な年代の人でワークショップが行われていた

階段の踊り場には、Something for everyone @ your library というポスターが掲示してある。本を読んだり、PCで何かを探したり、音楽を聴いたり演奏したり、幼児から大人まで、車いすの方も、妊産婦も、高齢者も、それぞれに図書館を楽しんでいる。こんなポスターが、日本でも当たり前になるといいのにね。まだ日本では見たことがない気がする。

多様な人が図書館を使うイラスト
図書館はみんなのものというメッセージだ

トイレは男女別だが、どちらもアクセシブルだ。車いすユーザー用のものも、男女とも準備されている。子ども用があまりに楽しく、何冊も本を読んでしまったので時間が無くなった。大人コーナーも見なくては。
大人向けには、さまざまなイベントやセミナーの案内も多い。「図書館こそが、地域の情報能の拠点なのよ」昔、私にそう教えてくれたLAの隣人の声を思いだす。

高齢者に対する誤解などのちらしも
シニア向けの情報コーナー

高齢者に対するエイジズムを戒める情報もあった。高齢学が根付いている証拠だ。母親向けの情報、ケアラーのネットワーク、記憶障害への理解促進など、多くのニーズに応えている。地域のこと、加齢のこと、環境のこと、情報リテラシーのこと、市民社会のこと。大人になってから学んだ方が良い、さまざまなことが、ここに来たら学べる。図書館の持つ力を感じる場所であった。

②ロングビーチのまちの中で

ロングビーチの街中を歩いていると、民家の庭に小さな図書コーナーが設置してあった。こういうミニ図書館は、日本でも少しずつ広がってきているが、良いものだと思う。晴れの日が多いカリフォルニアだからできるのかもと思ったが、今は気候が変わり、雨も多いのだ。ちゃんと屋根があって、扉が閉められて、それでも中の本が見えるように窓がついている!これはDIYで自分で作った本箱なのだろうか?それとも市販されているのだろうか?なんだか素敵だなと思った。

赤く塗られた小さな木製の箱に本が並んでいる
庭に設置されている私設図書館

この日のランチは、ロングビーチのまちの中にあるカフェに行った。中に入ってみて驚く。ブックカフェだったのだ。天井まで届く本棚に囲まれて、みな、思い思いに本を読んだり、PCで仕事をしたり、編み物をしたりしている。もちろん、お茶やケーキを頼んで。

読書、勉強、お茶などそれぞれの時間を過ごしている
ロングビーチ市内のブックカフェ

本はたくさんある。

書棚にたくさん本が並ぶ
好きに読んでいいらしい

私はチャイとチーズクロワッサンを頼んだ。美味しかった。なんだか、平和な時間が流れている気がした。

チャイのカップとクロワッサン
ランチに十分な量だった

③シールビーチ図書館

Seal Beachはとっても小さい町なので、図書館も可愛い。でも、たくさんの人がやってきて、思い思いの時間を過ごしていた。子どもたちも元気に走り回っている。5歳くらいの男の子二人で、あちこちの本棚を駆け巡りながら、その棚についてあれこれ語っている。私も子供向けの本の棚から、私でも読めそうな本を探して、2時間ほど読んだ。ストーンヘンジの謎、とか、カリフォルニアの歴史、とか、子供向けだが、しっかり編集して書かれている本は、実に読みごたえがある。私の英語力でもなんとかなる。読み終わると次の本を探したくなる。図書館って本当にすごいところだなあ。

低めに設置された棚はUDだ
子どもが走り回っても気にならない

自然光もとりいれた明るい室内。子どもの声が響くことが、不思議と気にならない。

若い女性とシニアが本を読んでいる。
若い人もシニアもそれぞれの時間を過ごす

座り心地のよい椅子で、二時間いても気にならなかった。
この図書館は地域のシニアセンターも兼ねていて、図書館の入り口の左側に設置されていた。さまざまな活動があるようだったが、この日の集まりが何だったのかは、外からは見ることはできなかった。時間帯によってはとてもにぎやかになるのだろう。

図書館入口の看板
シニアセンターを兼ねる図書館

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