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モビリティのユニバーサルデザイン

今回、モビリティに関してもいろいろ気づいたことがあった。面白いクルマも見た。CSUNの記事と重複する写真もあるかもしれないがまとめてみる。

① アナハイムのホテルのロビーにあった貸し出しスクーター


ショップモビリティの事例で出てくるような、UDなスクーターが貸し出し可能だった。

真っ赤な車でかっこいいのが二台貸し出し用だ
貸し出し用スクーター 

シニア向けなのだろうが、デザインはそれなりにかっこいい。これなら気後れせずに借りていって、あたりを乗り回してもいいかなという気になる。色も目立つので一般のドライバーに気づかれやすく、事故にあう確率も減りそうだ。免許なしでも乗れるのかな?日本のシニアカーも、もう少しかっこいいといいのに。で、ホテルとかで貸し出してくれるところってあったっけ?キックボードや電動アシスト自転車はあるけど、モビリティに課題のあるシニア向けってあるのかなあ?Whillを貸してくれるところはありそうだ。もっと増えるといいのにな。

② 会場で見かけたアクセシブルVAN


会場ホテルの前にACCESSと書いてあるVANが停まった。車いすの人が降りてくるんだろうと思って見ていたら、おお、スロープの上を、白杖を持った視覚障害者が4人おりてきた。確かに、視覚障害者も移動障害者なのだから、こういった車を使うのもありだよね。今回のキーノートスピーカーであるHaben Girma の話の中に、自分自身の思い込みを戒めるところがあったが、私も、アクセシブルカーは車いすユーザーが使うもの、という思い込みがあったのだろう。日本だとこのような車はあまりにも数が少ないので、できるだけ車いすユーザーに譲らなくては、という意識があったのだ。アクセスカーがたくさんあるからこそ、視覚障害者も移動のために使えるんだ。反省した。

アクセシブルバンのスロープを歩いて降りる視覚障害者4名
VANから視覚障害者がたくさん降りてきた

③ 展示会場で出会ったかっこいい車いす?


展示会場で、実にかっこいいクルマを見た。3輪バイクか?いや、どうやら改造車いすらしい!まるでスポーツカーみたいな雰囲気だ。思わず「かっこいいね。写真撮っていい?SNSに載せていい?」と聞いたら、「もっちろん!かっこいいだろう!おれの愛車だぜ!」とGoサインを送ってくれた。
日本って、こんな風に車いすを改造することって、禁止されてたんじゃなかったっけ?でも海外では、ものすごくデコってる車いすをときどき見かける。クリスマスシーズンには、赤と緑の電飾ばりばりつけて、ド派手にピカピカさせながら通る車いすも見たことがある。乗っている人はサンタクロースの扮装だった。街の人がみんな手を振っていた。車いすは、楽しくて、かっこいい乗り物なのだ。みんな、もっと楽しもう!

車いす&改造三輪車にも見える。。
会場で出会ったかっこいい車いす??

④ 会場の前にいた巨大な車はいったい何??


会場の前に、どでかいクルマが停まっていた。リムジンでもなさそうだ。大きさを感じてもらうために、今回の参加者、須永さんにモデルになって頂く。これって、普通の乗用車なの?装甲車・・・じゃないよね??なんだか、前以外はほとんど見えない気がするんだけど、後ろとか見なくても走れるの??でもちゃんとナンバープレートもついている。普通のクルマなんだ。かなり謎めいているけど、これもアメリカでは普通に存在するものなのだろう。

巨大なくるまの前に須永さんが立ってポーズをとっている
装甲車か?これも普通のクルマらしい

⑤ ゴルフカートみたいな車はシニアの足!


ビーチエリアで、小さくて可愛いクルマに出会った。ゴルフカートに幌がついたようなイメージだ。これはナンバープレートをつけた普通のくるまらしいが、欧米では、ゴルフカートはけっこう街中で走っている。シニアにとっては、ごくごく普通の乗り物だ。お買い物、図書館、カフェ、これでどこへでも行く。もちろんゴルフにも。スーパーの前にはこのようなシニアのゴルフカートを停める専用エリアがあるところもある。幌の柄がエトロだったり、バーバリーだったりする!
歳をとると、ほんの近くまで移動する手段が必要になる。アメリカには年齢で免許を返納させる制度はない。すべて自己責任だ。大きな車は次第に制御が難しくなるので、見通しのよいゴルフカートが適切なのだ。で、街中のドライバーも、ゴルフカートを見たら、きっとシニアだ!と、気をつける。シニアにとっては、もみじマークよりは、ずっと自尊心を守れるだろう。日本でも、小さくて、かわいくて、乗りやすいシニア向けのくるまがほしいな。またはゴルフカートで街中を走れるように道交法を変えてほしい。高齢社会のモビリティの在り方を、考える機会になった。

路上にゴルフカートのような小さいクルマ 両脇は空いている
まるでゴルフカートのような小さな車

⑥ キックボードは至るところに


この写真はSeal Beachだが、キックボードの貸し出しは、カリフォルニアでは街の至るところで見ることが出来る。公園やスポーツ施設、大きなスーパーでも、よく見かけた。日本でもLoopなどは次第に増えてきている。もっと街のあちこちに、普通に存在するものになり、移動支援のインフラとして機能してほしいものだ。写真では、誰かが紙コップをおきっぱにしている。これはマナー違反だな。よい子はマネしないように。

貸し出し用キックボードやバイクが複数
貸し出し用キックボード

⑦ 障害者用駐車場とパーキングパーミットの話


Seal Beachのホテルのそばの小さな食料品店で、大きめの車いす駐車場を見つける。駐車場全体では10台分くらいだったので、ちょっと驚いた。車いす駐車場の設置義務はカリフォルニアでは2%だと思っていたので、50台に1台のはずだが、店によっては自分で設置する例もあるということかもしれない。この看板にしっかり書いてあるが、ニーズのある人以外が駐車するなど、ルールに違反すると最低250ドル(約4万円)の罰金だ。車いすユーザーは広くドアを開けないと乗降ができないため、ここでしか駐車できない。だからここに関係ない人が駐車するのは、重大な人権侵害とされる。そのため少なくとも米国では、ニーズのある人以外は、決してここに駐車はしない。「誰でもトイレ」や優先席とは、全く意味が違うのである。ADA以前から、アメリカでは鉄則になっている。普通の駐車違反より、はるかに罰金が重いのだ。

とても広い車いす駐車場
小さな商店にも車いす専用駐車場が
車いす専用の明確な案内  隣にはアクセシブルルートも明示
違反すると最低250ドルの罰金だ

残念ながら日本では、このようなルールは全く存在しない。罰則もないので、空いていれば、若くて健康でも気にせず駐車してしまう人が多く、大きな問題になっている。待てばいつかは空くと思われるトイレと違い、いつまで待てばいいかわからないため、障害者側の困難が大きいのである。パーキングパーミットという制度を、佐賀や京都では20年以上前から作ってカバーしているが、まだ全国的なものになっておらず、罰則もない。神奈川ではようやく導入の検討が始まった。これを契機に、東京など、残る5県でも進めてほしい。そして、世界中で使えるパーミットとして、海外へも持っていけるものになってほしいと思う。

⑧ ショッピングモールのカートもUDに


ショッピングセンターで見かけたカート付きの車が面白かった。シニア用電動カートに大きなかごが付いたとみるか、ショッピングカートに椅子を付けたとみるか、ではあるが、店内専用だそうだ。そういえば、20年以上前に、イギリスのショップモビリティの視察に行ったことがあった。大きな駐車場に車を停め、そこで電動スクーターを貸し出してくれる。街の中はそれで回るのだ。日本でもタウンモビリティという言い方で、シニアにスクーターなどを貸し出す動きが盛んだった時代があり、ダイエーやイオンでやっていたのだが、今はどうなったのだろう?日本でも、コストコやアピタなど、大きなスーパーでは、あればうれしい人も多いはずだ。ベビーカーや車いすを貸してくれるのと同様に、シニアカーにかごをつけて貸してほしいものだ。それも、かっこいいクルマならすごく嬉しいぞ。

レジのそばにあるUDなカート
シニアカーにかごがついている

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