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「ストーン効果法」 ~原音再生 フュージョン編~

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現在、本稿の記事を書くために連日過去のCDを聴きまくっているのですが、「ストーン効果法」のおかげで音が良くなり、以前(40年前?)聴いていた音(音楽?)が眼前に蘇ってきました。懐かしさのあまり、不覚にも(?)涙してしまいました。本当にあの頃は良かったです(笑)。オーディオをやってて良かったとつくづく思います。みなさんも、いい音で音楽を聴いて、「想い出」を作ってみませんか?後年になって聴くと、ジーンときて心に沁みますよ!ヤフオクにストーンを出品しています。ぜひ、ご覧になってください。
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さて、今回はフュージョン編です。フュージョンは、ジャズとロック、あるいはジャズとラテンを融合した音楽のことで、1970年代半ばに生まれました。最近では「スムーズ・ジャズ」などとも呼ばれていますが、ヴィンテージジャズが4ビートでウッドベースを使用しているのに対して、8ビート(または16ビート)でエレキベースを使い、シンセサイザーやエレキギターなど電気楽器とパーカッションを加えたリズミカルな音楽が中心であると言えます(筆者の個人的主観ですが・・)。筆者も一時期(4ビートジャズよりも)こちらの方を夢中で聴いていました。フュージョンのアーティストは内外に数多くいますが、ここでは筆者のお気に入りアーティストに絞らさせていただき(笑)、なかでも録音のいいアルバムを中心に紹介したいと思います。

まずは、「フュージョン」という名前を世に知らしめるきっかけともなったヒット曲「ジャスト・ザ・トゥー・オブ・アス」のグローバー・ワシントン・ジュニアです。この曲を最初に聴いたときの、途中に入るサックスの音が印象的でした。このクールでメロウなフュージョンサウンドが一世を風靡した、といっても過言ではないでしょう。もちろん、スラップ奏法のマーカス・ミラーのベースに、ラルフ・マクドナルドのパーカッションが効いたリズムも心地よさが感じられます。この曲自体は「ワインライト」というアルバムでヒットしたものですが、筆者のお薦めは、その後に出た「アンソロジー」というベストアルバムです。これには、「ワインライト」からの「イン・ザ・ネーム・オブ・ラヴ」のほか、「カム・モーニング」というアルバムから「イースト・リヴァー・ドライヴ」や「ジャミン」といった曲も収められています。

続いて、「ジャスト・ザ・・」の曲にパーカッションで参加しているラルフ・マクドナルドです。この人はパーカッション奏者であるとともに、プロデューサーでもあり、またコンポーザー(作曲家)でもあるという優れたアーティストで、グローバー・ワシントン・ジュニアとは後々も共演、共作のアルバムを出しています。独自のアルバムとしては、「トリッピン」を挙げたいと思います。ここでは、ラルフ・マクドナルドのパーカッションを軸に、スティーヴ・ガッドのドラムス、エイブラハム・ラボリエルのベースといったベテランミュージシャンたちの作り出す軽快なリズムに乗って、スチールパン(スチールドラム)の爽やかな音色が心地よく響きます。ボーカルの入った曲もありますが、「蝶々夫人」をモチーフにした1曲目「マンゴ・アイランド」や、3曲目の「グッド・トゥ・ゴー」が特にいいですね。

海外のフュージョンミュージシャンはまだまだたくさんいますが、国内に目を転じると(紙面の都合で?笑)、筆者のお気に入りは今田勝と松岡直也です。ともに日本を代表するフュージョンミュージシャンですが、どちらかというと、今田勝はスムーズ・ジャズの、松岡直也はラテンフュージョンのそれぞれコンポーザーであり、かつプレイヤーであると言えると思います。

1970年代後半のこと、渋谷道玄坂の長い上り坂の頂上付近(?)にヤマハがあったのですが、そこで毎週日曜日に店頭ライブが開催されていました。なんと無料なのですが、よく出演していたのがまだ売れてない頃の(失礼!)今田勝のグループでした。筆者はそこで初めて「ソプラノサックス」なる楽器の音を聴いたのですが、「こんな音を出す楽器があったんだ!」と衝撃を受けました。アルトサックスとも違い、クラリネットとも違い、どちらかというとオーボエのような高い音で、しかも金属的な音色の楽器という印象でした。演奏を聴いていると、フュージョンの曲に良く合っている(似合っている?)楽器だなと思えました。そして、今田勝のフェンダーローズともアンサンブルがぴったりで、すっかり虜になってしまいました。後のアルバムでも、「誘われてシーサイド」や「憂いの炎」といった曲で主役となっていますね。

今田勝のCDはトリオ時代を含めてほぼすべてを所持していますが、やはりフュージョン全盛期に外人アーティストと共演したアルバムがいいですね。お薦めを挙げますと、まず筆者が最もよく聴いているのは「哀愁のカーニヴァル」です。これは、トランペットのランディ・ブレッカー、サックスのマイケル・ブレッカーという、いわゆるブレッカーブラザーズと共演したもので、録音、演奏ともにいいです。1曲目、タイトル曲の「哀愁のカーニヴァル」はサンバのリズムで極めて乗りが良く、ランディ・ブレッカー(ここではフリューゲルホーン)のアドリブを聴いていると心がウキウキしてきます。また、5曲目、6曲目のマイケル・ブレッカーのテナーサックスも響きがいいですね。もちろん、今田勝のアドリブも哀愁があって(?)いいです(笑)。

そして、その翌年に録音された「誘われてシーサイド」です。このアルバムでは、前述のグローバー・ワシントン・ジュニアがソプラノサックスを吹いています。1曲目はタイトル曲の「誘われてシーサイド」、4曲目には「憂いの炎」が入っています。実に魅力的なサウンドになっていますね。「憂いの炎」はグローバーの作曲ですが、それ以外はすべて今田勝の作曲で、7曲目「ディア・リリィ」や8曲目「スマイル・フォー・ユー」など、いい曲ばかりです!それと、そのまた翌年(1983年)に録音された「コーラルの渚」です。このアルバムも、ランディ・ブレッカー、デビット・サンボーン(アルトサックス)といった外人ミュージシャンが参加しています。4曲目の「スカイ・セイリング」は、ホレス・シルバーの「ソング・フォー・マイ・ファーザー」を彷彿とさせる、アンサンブルのいい曲ですね。また、7曲目の「サンバ・ドミンゴ」はパーカッションが効いていて、後半演じられるスティーヴ・ガッドのドラムソロは、シンバルのアタック音や、タムタム、バスタムの低音の響きがすばらしいです。

その後のアルバムでは、軽快で爽やかな曲が多くなっていますね。テレビの旅番組などでBGMとして使われることがよくあり、筆者自身もドライブミュージックとして常時車に積んで楽しんでいます。なかでも、「NOWIN/アジャ」と「NOWIN/そよ風と私」は録音が良く、ストーン効果法導入後に久々に家で聴いたらピアノの音がびっくりするほど良くなっていて、これは家に置いた方がいいかな?とも思っています(笑)。最近は、住まいのある神奈川の方で若手演奏家の育成やライブ活動などに当たられているそうですが、40数年前に都内から移転された理由が、「ピアノの音が近所迷惑になるから」ということでした。気配りのある心のやさしい方だなと感じました。これからも、コンポーザーとしていい曲を世に出されることを期待します。

一方、松岡直也のライブもよく行きました。なかでも、六本木ピットインでのライブは忘れられません。そのときは超満員で、後ろの通路寄りの所からの立ち見でしたが、彼女(今の奥さんです!?)を誘っての初ライブハウス・デートでした。終わった後、彼女は「あんなに興奮した○○さんを見たのは初めて!」と言っていました(笑)。そのぐらいすばらしい演奏だったのです。よく歌うギターと、ベース、ドラムス、ラテンパーカッションの激しいリズムをバックに、松岡直也の体を使っての、叩きつけるようなオクターブ奏法のピアノが炸裂していました。ここでも、哀愁を帯びた松岡メロディが一週間ほど耳から離れませんでした。

松岡直也のCDもウィッシング時代を含めてほぼすべてを所持していますが、一番印象深く残っているのが「見知らぬ街で」というアルバムです。これは、松岡直也が単独で乗り込んで(?)ニューヨークのミュージシャンと共演したもので、1曲目の「タッチ・ザ・ニューヨーク・ピンク」はおそらく一番人気的な代表曲と言えるのではないでしょうか。どのコンサートでも、そのファーストフレーズが演奏されると拍手が沸き起こります。筆者は、この曲で初めてベースの「スラップ奏法」なるものを知ったのですが、一見(一聴?)ギターのような弾けるベースの音がこの曲とぴったり合っていますね。心地いいです。他の曲もいい曲ばかりですが、ライナー・ノーツによると、3曲目、タイトル曲の「見知らぬ街で」は理解できるベーシストがいなくて、松岡直也自らが(シンセサイザーで)演奏したそうです。どおりで、ベースのメロディラインが単調で音も良くないわけですね(笑)。曲がいいだけに、ちょっと残念です。

その後に出たのが、「ワン・ラスト・フェアウェル」というベストアルバムで、中森明菜の歌で大ヒットした「ミ・アモーレ」がインストゥルメンタル・バージョンで1曲目に入っています。これがヒットしたときに、作曲者が松岡直也であることを周囲に自慢げに話し散らしていたのを憶えています(笑)。それと、いい曲だなぁと思うのが6曲目の「9月の風85」ですね。これは1982年に出たアルバム「9月の風」のタイトル曲の1985年バージョンです。このアルバム(9月の風)にも驚かされました。最後までじっくり聴いてください。「あっ」と思いますよ!?(笑)。また、7曲目、タイトル曲の「ワン・ラスト・フェアウェル」もリズミカルでいいです。

1990年代になると、デジタル録音になったせいかこちらも音が良くなりましたね。それまでのメンバーによる「JUNE JULY AUGUST」は、曲調こそ違えど紛れもない松岡サウンドで、ピットインでのライブを思い起こさせるような音です。カウベルとティンパレスの連打、ベースの低音とドラムス、シンバルのアタック、メロディアスなピアノとギターの調べと、ラテンフュージョンの真骨頂です。そして、メンバーを一部入れ替えてブラスセクションを加えたアルバム「ヴィーナスを探せ」もお薦めです。6曲目の「誘惑のマドリッド」は「JUNE ・・」にも入っていますが、哀愁を帯びたいい曲ですね!ピアノの音もいいです。また、ボーナストラックとして「ミ・アモーレ」のニュー・バージョンも入っています。なお、YouTubeを見ますと、全国各地の「ジャズ・フェス」にもよく参加されていたようです。2014年に亡くなられましたが、いい曲をたくさん作られましたね。改めて哀悼の意を表します。

筆者は現在、約1,000枚のCDを所有しています。その7~8割が、ジャズ、フュージョンです。ですから、ここに紹介したのはほんの一握りと言えますが、他にもお薦めしたいアルバムがたくさんありますので、ゆくゆく機会がありましたら採り上げていきたいと思っております。(とても全部は紹介できませんが・・笑)

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