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「ストーン効果法」 ~原音再生 フュージョン #2編~

2021年1月1日、突然サブウーハーから音が出なくなりました。元日そうそう縁起が悪い、「こりゃあ、今年の先が思いやられるなぁ・・」なんて思いましたが、調べてみると、ソースによってはときどき入る(音が出る)ことが分かりました。このサブウーハーには、低音の入力レベルに応じてスイッチが入る(逆に低音がないと切れる)、という機能があり、それが働いているのではないかと思われます。ただ、その機能はオフにしてあるのですが、経年変化により誤動作するようになってしまったようです。その証拠に、ベースやバスドラの低音が強いディスコのソースなどでは常に入りますが、バラードなど静かな曲では落ちて(音が出なくなって)しまいます。仕方なく、アンプのトーンコントロールとグラフィックイコライザーで低音のレベルを上げることにしました。実は、それが功を奏したのです!音に厚みが増し、一段と迫力が出てきました。また、重低音も出てきました。筆者はマンション住まいなので、階下に迷惑を掛けてはいけないと思い、低音のレベルを落とし気味にして使っていたのですが、それが間違いでした!?(笑)。音的に言うと、やはり低音はたっぷり出さないとダメですね。つまり、全体のレベルは落としても、「低音のレベルは落としてはいけない!」ということです。

「ストーン効果法」のおかげで、もともと低音の響きは良くなってはいましたが(前回の②です)、以前にも増して、ベースは「ズンズン」、バスドラは「ドスンドスン」と気持ちいいくらい体全体に良く響くようになりました。実に快適です!!(笑)

前にも書きましたが、(オーディオで)いい音の基本は"低音"です(と筆者は思います)。前記サブウーハーから低音が出てないときの音は、チャラチャラして貧弱で、とても聴くに堪えないものでした。サブウーハーの効果絶大といったところですかね!なお、サブウーハーがあっても、「どうも低音が出ない」、または「低音を気持ち良くたっぷりと出したい」、と思ってらっしゃる方、ぜひ「有料記事」(初稿です)または下記リンクをご覧になってください。(ヤフオクにストーンを出品しています!)

https://auctions.yahoo.co.jp/list3/23764-category.html(⇒「その他」カテゴリー)


さて、今回はフュージョン #2(その2)編です。『フュージョン編』(その1)では、紙面の都合(?)と筆者の独断と偏見で(笑)、主に日本人のフュージョンアーティスト、今田勝と松岡直也に焦点を当てて書きました。今回のフュージョン #2編では、改めて海外の(米国の?)フュージョンアーティスト、ミュージシャンに目を向けたいと思います。そしてここでも、好演奏・好録音のCDを中心に採り上げていきたいと思います。

まずは、前回話題に上がったクルセイダーズです。クルセイダーズは、当初トロンボーンのウェイン・ヘンダーソン、サックスのウィルトン・フェルダー、ドラムスのスティックス・フーパー、ピアノのジョー・サンプルの4人で結成しましたが、後年メンバーが次々と入れ替わり、その度に異なったサウンドのアルバムを出しています。根底にあるのは「ソウルミュージック」なのですが、ライナー・ノーツによると、1983年にドラムスのスティックス・フーパーが抜けてから、ジョー・サンプルとウィルトン・フェルダーに(サウンドの)迷いがあったらしく、新たなサウンドの模索が続いたようです。1984年には「ゲット・ブラスター」というアルバムを出していますが、ドラムスがレオン・チャンクラーに代わり、サックスのウィルトン・フェルダーがベースも弾くという構成をとっています。楽曲としては4曲目の「ザラレ・ミニ(テイク・イット・イージー)」など、ブラコン(ブラック・コンテンポラリー)最前線を意識したようなサウンドになっていますが、必ずしもジョー・サンプルはこれに満足していなかったようです。その後、ベースのマーカス・ミラーとドラムスのオマー・ハキムをリズム・セクションとして加えた(ジョー・サンプルとの)トリオを基本にして、ギターやシンセサイザー、ホーンセクションなどをサポート的に使うといった構成になりました(なにか複雑ですね!?)。

そして、(クルセイダーズではなく)ジョー・サンプル名義で1989年に発表されたのが「スペルバウンド」というアルバムです。また、翌年の1990年には「アッシェズ・トゥ・アッシェズ」というアルバムが発表されていますが、筆者の受けた感触としては、この辺のサウンドはクルセイダーズとはかけ離れたものになっていて、「ジョー・サンプル・トリオ」になってしまっているように思えてならないです。もっと、ブラス・セクションを前面に押し出して欲しかったのですが・・。その後、1993年にはオーケストラをバックにジャズのスタンダードナンバーを演奏した「インヴィテーション」というアルバムを出しています。これは、前2作とはサウンドが大きく変わっていますが、ピアノの音が良く、6曲目の「ニカの夢」などが軽快でいいですね。

さらに、1997年には「サンプル・ディス」というアルバムを出しています。これは、ジョー・サンプルの集大成とも言うべき、これまでの自らの楽曲をセルフカバーしたものです。このCDはさすがに音がいいですね。ピアノの音などは透き通っていて、いわゆる"クリスタルサウンド"になっています(4曲目など)。楽曲としては、5曲目、9曲目、12曲目などが「クルセイダーズサウンド」となっていますが、7曲目の「野生の夢」はフェンダーローズの音色が心地よく、バックコーラスもいいですね。また、10曲目の「イット・ハプンズ・エヴリデイ」はフルートのヒューバート・ローズも加わっていて、軽快で小気味いいです。なお、ジョー・サンプルは2014年に亡くなりましたが、息子のニクラス・サンプルはベーシストとして現在も活躍中です。

前回ご紹介したジョー・サンプル&ソウル・コミッティーの「フィール・ザット?」のサウンドを、94年版(1994年)クルセイダーズといってもいいと言いましたが、実は1992年にトロンボーンのウェイン・ヘンダーソンとサックスのウィルトン・フェルダーが新たなクルセイダーズを結成していて(またまた複雑ですね!?笑)、1995年にジャズ・クルセイダーズ名義で、「ハッピー・アゲイン」というアルバムを発表しています。ジャケット表紙の絵は一見「ドキッ」としますが、よく見るとスイカなんですね(笑)。このCDも録音がいいです。1曲目から、低音の厚みと音の広がりが違います!4曲目、6曲目、8曲目などはクルセイダーズらしいサウンドですが、なかでも11曲目の「トラベリング・インサイド・ユア・ラブ」がいいですね。また、12曲目の「ヤング・ラビッツ」は超アップテンポのジャジーな演奏で、終わった後の拍手も入っていて充実感たっぷりです。

YouTubeで、クルセイダーズの2003年モントルーでのライブを見つけました。ランディ・クロフォードのボーカルもいいですが、ジョー・サンプルの変わらぬ乗りのいいソロが聴かれます。


続いて、ジョー・サンプルと並んでピアニストでコンポーザー(作曲家)でもあるデイブ・グルーシンです。この人も、フュージョン界では幅広い活躍をしており、欠かせない存在ですね。『ビッグバンド編』のときに「音がいい!」ということで「デュークへの想い」というアルバムをご紹介しましたが、とにかくこの人のCDは録音がいいものが多いです。まずは、1976年から1988年までに発表されたアルバムの中から11曲が選ばれたという「デイブ・グルーシン・コレクション」です。年代とともに音も良くなりますが、9曲目の「ボサ・バロック」などは、シンセサイザーなどの電気楽器を使った乗りのいい曲で、思わずハッとする音です。そして、もう1つのコレクション・アルバム「プライスレス・ジャズ・コレクション」も音が良く、2曲目、6曲目、10曲目などが特にいいです。

ただ、ここでのお薦めは、映画音楽でお馴染みの作曲家ヘンリー・マンシーニをトリビュートしたアルバム「トゥ・フォー・ザ・ロード(酒とバラの日々)」です。すぐ分かるのは、ベースの低音の響きとドラムスのアタック音が強烈なことですね。冒頭の教訓(?笑)ではないですが、ボリュームを上げると迫力が凄いです。なかでも、ビッグバンド風のブラスを生かした1曲目「ピーター・ガン」と5曲目「子象の行進」がいいですね。ベースとドラムスがリズムを刻んだ後のブラス(ホーンセクション)の出だしが凄まじいです。思わず、「おぉっ!」と言ってしまいます。また、9曲目の「暗闇にさようなら」などは、アンサンブルが良く、ピアノの音もいいです。


最後は、1960年代に活躍したジャズピアニストのラムゼイ・ルイスです。この人は1990年代になってフュージョン・プレイヤーの仲間入りを果たしました。「スカイ・アイランズ」というアルバムをご紹介します。このアルバムも録音が良く、ベースの重低音とドラムス(特にバスドラ)のアタック音の上に、ラムゼイ・ルイスのピアノが軽快に響きます。また、シンバルの弾ける音も生々しくていいです。オーディオ的にも魅力のある音といえます。特に4曲目の「suavecito」や11曲目の「tonight」がいいサウンドをしてますね。そして、この人の昔のヒット曲、「ジ・インクラウド」がメドレーで8曲目に入っています。それと、10曲目の「come back to me」ですが、またまた「空耳」で恐縮なんですが、タイトルを唄っているボーカルの声が筆者には「がんばってねぇ~、がんばってねぇ~」と聴こえるのですが・・。このご時世、身に沁みますね!?(最初の4回はそうでもないのですが、あとの4回は何回聴いてもそう聴こえます!笑)

ラムゼイ・ルイスはその後、アース・ウィンド・アンド・ファイアー(EWF)のリーダー、モーリス・ホワイトとともに、「アーバン・ナイツ」というグループを立ち上げました。これには、サックスのグローバー・ワシントン・ジュニアも加わり、メロウでソウルフルなサウンドを作り上げています。録音も良く、低音の厚みがすばらしいです。5曲目の「フレンドシップ」や8曲目の「アーバン・サンバ」など乗りのいい曲も多いですが、4曲目の「ハーツ・オブ・ロンギング」や7曲目の「ザ・ローズ」はグローバーのサックスの音色に癒されますね。また、最後10曲目の「セネガル」はパーカッションが効いたアフロサウンドで、ラムゼイ・ルイスのピアノソロが心地よいです。なお、「アーバン・ナイツ」はその後メンバーを変えて、「アーバン・ナイツⅡ」、「アーバン・ナイツⅢ」を出しています(現在Ⅶまで出ているようです!?)。バージョンの変更とともに内容も若干変わってきて、どちらかと言うと、後年になるほどボーカル曲が多くなり、R&B、ソウル色が濃くなってきているようです。Ⅱでは7曲目の「サマー・ナイツ」や14曲目の「ドーン」が調子良く、Ⅲではさらに音が良くなっており、3曲目の「Until We Meet Again」や11曲目の「Midnight In Madrid」が低音に厚みと迫力があって気に入っています。また、(スタインウェイ・コンサート・グランドの)ピアノの音もいいです。Ⅳ以降は聴いていませんが、筆者個人的には、最初のバージョンが一番好きです。


筆者はここ数年、フュージョンのCDを買っていません。残念ながら、お気に入りのアーティストが亡くなったり、引退したりしているからです。新生のフュージョンミュージシャンにも期待しているのですが、これはというアーティストがいません。ということで、どうしても昔よく聴いたアルバムを繰り返し聴く、ということになってしまいます。ただこれが、今の若い人への参考にもなるのではないかと思い、現所有のCDをとっかえひっかえ聴いた上で執筆しました(笑)。「ストーン効果法」で良くなった我がオーディオシステムで改めて聴くと、以前の記憶がいい音で甦り、また新たな感動を覚えます。冒頭のサブウーハーのトラブルとそれによる音質改善の成果(?)は、「コロナ禍でのリモートセッション」ではないですが、まさに「災い転じて福となす」を実践で行くものでした。このあとサブウーハーは修理に出そうと思っていますが(…)あぁ、今年は(思ったより?)いい年になりそうですね!!(笑)

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