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書籍:「今」をあきらめない生き方「0話:誕生」公開

2020年3月、「今」をあきらめない生き方 が出版されました。作者は加藤路瑛(かとうじえい)、当時中学2年生でした。

2019年7月、幻冬舎とCAMPFIREの共同事業『EXODUS』の一期生として選出され、「30日間で1000冊250万円の支援を集められたら出版!」というハードな出版クラウドファンディング に13歳の中学生が挑戦しました。

この本は、12歳で起業した中学生・加藤路瑛の起業ストーリーと、EXODUSに挑戦したドラマのような話が書かれています。

この本は「はじめに」がありません。私のこだわりです。
今回、「0話」を公開します。(もしかして、1話、2話と公開することがあるかもしれませんが)

書籍『「今」をあきらめない生き方』は、クラウドファンディングで支援してくださった方限定でお届けしました。書店流通はしていません。2022年11月、出版元の株式会社EXODUSが解散したため、出版権・販売権が著者に移管されました。

とうことで、自由に販売しちゃいます。

もちろん、クラウドファンディング時は1冊2500円として支援くださった方に不利益がないようにしたいと思っています。このご支援とこの時の経験が私の土台になっていることは間違いなく、あの時代に応援くださった方々には感謝しかありませんし、あの時の中学生が立派に成長した!という姿を今後、見せられるように頑張っていきたいと思っています。

それでは「0話」をご覧ください。

0話: 誕生


教室にチャイムが響く。長かった2学期の期末テストが終わった解放感で教室は一気に騒がしくなった。 クラスの人たちは、問題の出来を話し合ったり、今日締め切りの課題の話で盛り上がっていた。僕は少し長めのため息をついて時計を眺めた。 僕にとって今日のメインイベントは期末テストなんかじゃない。

僕は加藤路瑛。12歳。 中学1年生。 この日、僕は社長になる。普通の中学生だった僕の肩書きに「社長」が増える日だった。期末テストが終わり、明日からはテスト休みだ。周囲はお祭りのように賑やかだったけど、僕は身が引き締まるような思いで学校を出た。

2018年12月13日。株式会社クリスタルロードという小さな会社が誕生した。会社の誕生なんてどこにでもある話だと思う。だけど少しだけ普通の話と違うのは、僕が社長になったことだろう。おそらく、あの日、日本国内で一番若い社長だったと思う。 法務局の受付で法人登記のための書類が事務的に受け取られていく。あまりにも簡単で、一緒に来てくれた司法書士の高橋さんに聞いてしまった。

「あの、これで会社ができたってことでいいのでしょうか?」
「そうですね。実際には提出した書類の確認作業がありますが、会社の設立日は今日ですよ」

高橋さんは「おめでとう」と言ってくれたけど、 中学生社長が誕生した瞬間はあまりにも地味で、法務局で誰かが祝ってくれたわけでも注目されたわけでもなく、静かに社長人生がスタートしただけだった。

高橋さんと初めて会ったのは10月だった。12歳の中学生が社長になる会社の法人登記を手伝って欲しい。 冗談なのかふざけているのかと相手にしない人だっているだろう。でも、高橋さんは手伝いたいと言ってくださった。12歳のメンバーがいる法人登記は経験したことがないそうだが、未成年の法人登記は経験があると言っていた。

社長になるのに年齢制限はないが、法人登記には印鑑登録証明書(印鑑証明)が必要になる。印鑑証明が取れるのは15歳から。つまり、日本で株式会社の代表取締役になれるのは15歳からだ。でも、取締役会を設置する場合、代表以外の役員は印鑑証明がなくても問題はない。つまり、12歳の僕だって株式会社の取締役にはなれる。社長や会長や専務は名称だから、取締役会長だって取締役社長だって名乗れる。 代表権のある人が必ずしも代表取締役社長でなくたっていい。 代表取締役会長がいてもいいし、 代表取締役専務がいたっていいのだ。

クリスタルロードは母に代表取締役になってもらい、 僕が取締役社長という親子起業 の方法を取る会社だ。 法人登記も勉強になるからと自分で登記しようとしたが、あまりにも未成年の登記に関する情報が少なくてプロに頼むことにしたのだ。

学校の近くにあるカフェで高橋さん と事務的な話が終わった後、いつ登記するかという話になった。書類を出すだけだと言われたけど、会社ができる瞬間ならその場にいたいと思った。それに、法務局で法人登記するという経験は人生で何回もあることじゃない。 学校が終わってからだと時間的に間に合わない。12月13日なら、期末テスト最終日だ。 テストは午前中で終わるから開庁 時間内に間に合う。

側にいた母が言った。
「13日って、縁起的にどうでしょう?」

高橋さんが手帳を広げて確認する。
「大安ですね」
2人は、この日で決まりだねと話しているけど、僕は大安がそんなに大事なのかは分 からなかった。

「実は、12月1日は子どもの誕生日なんです」 高橋さんが嬉しそうに言う。 「お子さんの誕生日にお仕事で大丈夫なんですか?」 と聞いたら問題ないと言う。
「忘れられない日になりそうですね」

こうして、会社の誕生日が決まったのだ。


以上が0話です。
目次は↓ 

0話:誕生 
1話:崩壊 
2話:計画
3話:選択
4話:迷走 
5話:孤独
6話:批判
7話:常識
8話:挑戦
9話:両親
10話:秘話
11話:運命
あとがき

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