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白くて可愛い

あれはまだ、えいじが赤ちゃんだった頃。今から10年前の話になります。

私はえいじをベビーカーにを乗せて電車に乗りました。

平日昼間という事もあり、車内には人がチラホラいる程度でした。

目的地の駅まではすぐだったので、座らずに優先席付近にベビーカーを止めてそこに立っていました。

するとそこに、おばあちゃん2人組が乗って来ました。

ベビーカーの中を覗き込んで、

おばあちゃんA「あら、可愛い」

おばあちゃんB「ほんとねー。」

と小声で言っていました。

おばあちゃんは、みんな赤ちゃんが好きなのです。

おばあちゃん達は、私たちがいる側と反対側の席に座り、お話を始めました。

A「赤ちゃん可愛いわね。」

B「本当ねー。癒されるわ。」

まだ、えいじの話してくれているんだ。なんだか嬉しい気持ちになりました。  

A「それとね、私あの赤ちゃんさっきから何かに似てると思ってるのよー。」

B「え?何?何に似てるの?」

A「えーっと、ほらアレよ、アレににてるじゃないの!」

B「あなた、アレだけじゃわからないわよ。」

A「分かってるわよ。私だってさっきから思い出そうとしてるのだけど、その言葉が出てこないのよ!」

B「何よそれー。早く思い出してよー。気になっちゃうじゃないの!」

A「私だってさっきから気になって仕方ないのよ!」

私が一番気になってるよ。


A「色が白い所が似てるのよ。」

B「だから、何よー。」

A「白くて可愛いやつなのよ!あなた分かるでしょ?」

白くて可愛いって言ったら、ウサギかな!



B「分かった、ウサギ!」

A「違う違う!」


違うんかい。


もういいや、めっちゃ気になるけど、駅に着いちゃったよ。きっととても可愛い何かに例えてくれていたんだ。

そういう事にして、降りようとした時でした。

A「思い出したわ!!」

B「え?何ー?」



電車から降りてドアが閉まるか、閉まらないかな時に車内から聞こえた。


A「まめだいふく!」


最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。







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