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『ノラと皇女と野良猫ハート2』感想

 どうもです。

 今回は2021年2月26日にHARUKAZEより発売された『ノラと皇女と野良猫ハート1+2 5周年記念コンプリートパック -5th Anniversary』に入ってる、『ノラと皇女と野良猫ハート2』の感想を書いていきます。つい先日、『ノラと皇女と野良猫ハート』の感想を書いたばかりで、そっから駆け抜ける様に2もクリアしてしまいました(笑) 勿論、EXストーリーやネコのお考えまで隅々と。本当に楽しくて、久々に神ゲーと想える作品に出逢った気がします。そんな気持ちそのままにこの感想記事を書きあげていきたいなと、この文章を書き始めてます。



 主題歌「クライングハート」はゲームプレイ前からむっちゃ好きで、やっとゲーム本編で聴けて嬉しかったですね。クリア後には歌詞の意味もやっとわかって良かったです。あとはOPまでのパートだけでもめちゃくちゃストーリー面白くて期待値上がりまくったのもいい想い出。うんとこしょー!!どっこいしょー!!それでもかぶは!?抜けませーーーーーーーん!!!(で喜んでるパト)が大好きです(やった人ならわかる)。

 では気を取り直して、いつも通り攻略した順番に感想書いていきます。こっからガチのネタバレ全開なんで自己責任でお願いします。



1.高田ノブチナ

 間違いなく傑作。控え目に言っても、この√の為だけに今作を購入してもいいレベル。そのくらいには感動的で完成度が高かった。1ではサブキャラであった彼女の過去を明かして終わるだけでなく、他のヒロイン達と同様に未来へ歩む為に乗り越えなければならない話が据えられていて、それがここまで泣きに影響するとはね…。やはり家族モノはズルいです。

 生い立ちを知れば知るほど、胸を締め付けられていったんですけど、彼女にとってはもうあの生き方が"当たり前"になっていた。というより”当たり前”にならざるを得なかった。立場的に、環境的に。痛いとか、辛いとか、そういう根の部分が"当たり前"という殻に覆われていく。耐えて耐えて殻は頑丈になっていくけれど、覆われた部分はやはり柔いというか、繊細で(だから覆われたとも取れる)。次第にどうしてそうなってしまったのかすらわからず、間違いなんかもして。けど、その本音みたいな部分に触れられるのは本音だけだろうと言わんばかりに、彼女の本音がそれを求めていました。自分一人じゃどうにもならんから。何かと理由を付けて謝る事しかできない父親から、覆われた言葉を必死に引き出そうとするシーンは本当に泣けたし、母親との再会シーンもやっと内に秘めた言葉を全部、涙と共に曝け出せたんだなと想うと胸が一杯になりました。
 また、この感動の純度が高かったのは、ノラや明日原、田中ちゃんなど全員の嘘偽りのない言葉や想いがあったからだとも思います。決して一方的であってはいけない、特別扱いもしない、大きなお世話であっても、放っておけないもんは放っておけない。ノブチナが過去にそうしてくれたから、ノブチナに対してもそうすることが何よりノブチナの為になると皆、肌感覚でわかってたはずで。家族モノとしてだけでなく、友情モノとしてもよくできていました。こう振り返ってみると、人生における色んな愛がこの√には詰まってるなと。パトの以下の台詞も沁みるってもんです。

「ただひたむきに努力して、せいいっぱい生きることが、愛なんじゃないかって」

 繰り返しになりますが、彼女の強さと弱さが共存してる感じは本当に魅力的で、何というかその二つの強弱の振れ幅、範囲が極端にデカいんですよね、普通の人より。むっちゃ強い子なのに、自分に対しては強く出れない、力を振るう事ができない。だから、そーゆー所が皆の協力を経て、徐々に徐々に変わっていく度に愛おしくなる。ふざけたり不真面目だったりする時が多いけど、いざという時はカッコいい台詞を吐いて決めてくれる心強い子だなという印象も1の時から変わらず抱く事ができました。その印象は、姉のノブチカにも言えることで、やっぱ一緒に住んでて姉の姿を見てきた以上似てるとこあるよな、やっぱ姉妹なんだよなと思わずにはいられなかったです。ちょっとぶっ飛んでる思考とかもね(笑)



2.ユウラシア・オブ・エンド

 変に背伸びもない、等身大の彼女らしい物語だったかなと思います。短めだしシリアス要素も控え目であっさりはしてたけど、このテーマでいくならこのくらいが丁度いい、これ以上は多分だれる。それに、この歌や踊りで一番になるっていうのはパトやシア姉にはできないと思うし、ノラが猫の状態でどちらかと言うと可愛い寄りで話を進めていけたのもこの話ならではで良かったと思います。最後のCGとか素直に好きです。

 愛情一杯貰って、何でもしていいし、逆に言えば何もしなくても大丈夫な様に育てられたのかなと思います。だけど、立派なお姉ちゃん達を見て、何か自分も…となってしまうのはエンド家の血が騒いだからなのかもしれません。元々、彼女は天才肌で魔法なんかも途中無詠唱で発動してたし、行動力もあるから、人並みには何かとできてしまって。それもあって本当にハマれる、好きになれる様な、自分にとっての一番を身に付けられずにいたんだと思います。そんな中で、地上の娯楽を色々と吸収していく内に、歌とダンスにハマって、これで一番になりたいと思う様になる。楽しい気持ちを沢山貰えるこの地上の為に歌いたいと思う様になる。もう、応援するしかないっしょ、見守るしかないっしょ。と言う王道の流れは、元々人懐っこくて、元気を分けてくれる様な子だったのでピッタリで文句なし。デートとか、地上で楽しんだ事全てが彼女の笑顔の源になっている様な展開もとても良かったです。可愛いは正義。

 末っ子らしい、負けん気の強い性格は勿論、お姉ちゃん達の事が好きでよく見てきたんだなとわかるのも良かったです。物怖じしない行動力とか、時には威厳を魅せたくなる感じとか。だけど、何か踏み出す時には誰かが側にいてくれんと寂しくて不安になる、わがままなとこはちゃんと可愛く描かれていました。感情そのままに声や表情に出してくれるストレートな可愛さを沢山魅せてくれましたね。耳に残る声質というか、話し方もそれに一役買ってくれていたと思います。きんてきー!はいつか卒業して欲しいけど(笑)



3.ルーシア・オブ・エンド・サクラメント

 成長ストーリーという一本道で、シリアス具合とイチャイチャ具合がハッキリしてて気持ちのいい物語でした。1の時から過去が気になっていたキャラだったので、彼女の当時の心境と共にそれを知ることができて良かったです。妹達の為に尽くしてきた彼女がやっと自分の為にも、誰かからの気持ちや自分から湧き出る感情を素直に受け入れられるようになって、理解して、信じて、自分一人の意思で選択ができる様になるまで凄く丁寧に描かれていたと思います。

 掛かってしまった呪いや、母親から向けられた想いなど、辛い状況下でも、長女だから…とか、私にはこれしかないから…とか理由を付けて追い込んで。誰にも相談できず、頼れず、ずっと抱えてきたんだろうなと想うとしんどかったですね。だけど、ノラが心の隙間に入って、本当はもっとこうしたいんじゃないかと引き出してくれた。意識は確実にあるんだけど、こじつけた理由が壁となり、逃げて乗り越えられずにいる。それを乗り越える為に、苦手を克服する為に、一生懸命付き添ってあげるノラも良かったし、最後には総出で加勢して冥界まで行って。それだけ彼女は必要とされてるし、愛されてるんだと、物語を通して実感できて、あの展開は『ノラとと』らしくて最高でした。全てを乗り切って、本来の力…というより、"本来の魅力"を全開にしてからはもう手加減なし。重いと思われる程の愛情表現をするのは、これまでの反動でもあるから、もう仕方ないです(笑) 100%他人本位だった彼女が自分にはこれくらいして欲しいと、自分本位な考えをしてくれて嬉しくなるしかないですよ、これは。パトや母親が安心していたシーンも差し込んでくれて感動的な仕上がりでした。

 彼女の持ってる自己肯定感の低さは、妹想いをからくる自制心の表れでもあり、優しさは確実にあった(もう誰が見ても滲み出ていた)彼女。褒められたり、お礼を言われたりする時に魅せる笑みがそれを証明していました。でも自身に対しては褒める事ができず、思い遣る事ができずにいたんだけれども、その自覚はちゃんとあったからノラが積極的になってくれました。繰り返しになるけど、後悔はしたくないと膨らんでいた感情を爆発させてからは凄まじかったですね(笑) 力だけじゃなく、"好き"という気持ちも強く伝えられる姿勢は人としてとても素敵でした。やっぱお姉さんキャラが魅せる""ギャップ""はいつだって最高です。



4.アイリス・ディセンバー・アンクライ

 どうしようもなく好きになってしまう物語でした。もうアイリスが好き。2でのニューヒロインとして他のヒロインに負けない強烈な子だったと思います。また、メインという事もあり、パトからのバトンパスというか、サポートがとても良かった。共通√のプロローグ時点で決めてきたのが何より良かったですね、以下のパトの台詞なんかがわかりやすいんじゃないかと。

「何かあるんじゃないかと、忘却を追い越そうと、この地に踏み出すあなたの足と」
「死のくせに生を知りたいと、わがままを言ってページをめくる私の手と」
「どこか違うところはあるのかしら」

 2人には重なる部分もそこそこあって、駆られる感情のままに発言や行動で出てしまう辺りとかはそっくりでした。パトがアイリスに自分を重ねたのかどうか確かな事はわからないけれど、少なくともこの子なら私と同じ様に、地上での音を聞いて、愛を知ることができると確信したんだと思います。喜びなどを共有したいとすぐになるパトらしい行動ではあるんだけど、アイリスに対してはそれがより強く、本気で向き合っていた。アイリスの国の事情を知っているからこそ、深く肩入れしていたとも想うし、手助けできるのなら手助けするのがパトよね。パトを活かしながらアイリスの魅力を引き出す展開は最後まで続いていて、本当によくできていたと思います。

 メインとしては、アイリスの"忘れて欲しくない"という気持ちが、決して幽霊だからという歴史からくるものではなく、ちゃんと誰かを想った自分の意思からくるものだと信じて疑わなくなるまでが描かれたと思います。対象がいるから、忘れて欲しくないとなる訳で、その対象の為に奮闘する。身体がそれを覚えていてくれたから、という彼女の言葉は幼い頃から繰り返してきた回想も相まって結構涙腺に来ましたね。パトがそれを見越してたのも、先述した本気度が窺えて良かったです。あと、ノブチナがアイリスにかけた以下の言葉は一見キツイ様で、確かなエールにもなっている彼女らしい言葉で結構気に入っています。想い出は壊れず心の中に残るんですよね…。

「形あるものはいつか壊れるんだ。泣くくらいなら歴史なんて作るな」

 皇国の件については納得だし、ノエルのアイリスに対する愛情って事で綺麗にまとまっていたと想います。母親の正体は、忘却を恐れて作り出された記録達。ノエルはそれからアイリスを切り離したいはずなのに、記録を再生し続けた。パトが矛盾してると思うのも当然です。ノエルの行いで救われた部分も勿論あると思うけど、それよりもアイリスと生きてきた事、これからも同じ様に今を生きていれば、ノエルが側にいてくれるだけでもう十分なんだから。過去に残された記録(足跡)よりも、未来へ残していく記録(足跡)。アイリスの足跡の隣には、ノエルの足跡があって欲しい。役目だと使命だとの自ら重荷を課してきた彼女がやっと解放され、"今"の声で想いを伝えるとこは良かったです。パトにはバカです!って怒られちゃったけど(笑)

 アイリスは第一印象でもう強烈で、そっからどんどん好きになってしまった。声優さんの素っぽいところも良くて、あのドスの効いたがなり声は癖になりますわ。それが可愛い声にもなるからもう最高。というのも、大体テンション高くて太陽みたいなのに、恋愛になると激重で甘えん坊。でもそれは愛情を心の底から欲してる感じが前のめりに出てきてしまう子供っぽい一面でもあるから、可愛く映ってしまう。あとは、やればできる子で一度やると決めた時の想いは人一倍強く、なりふり構わず飛びこんでく姿勢が放っておけない所も良かったです。ノエルの気持ちもわかるわー、と(笑) ノエルは素っ気ないクールキャラと思いきや、お茶目な部分があって可愛かったですね。ルーシアのポジションと被ってるのも、カップリングを比較しながら楽しめて良かったです。好きな言葉が二人に関してはちょこちょこあったんだけど、「心が財政破綻しちゃうなーーーー!!」が一番好きよ。



5.EXストーリーと極寒皇女アイリス

 ずらずらーっと感想ツイート並べましたが、EXストーリーはどれもボリュームは少なめでエッチが各一回ずつ。オマケとしては十分でした。1でメイン務めた4人はちゃんと延長線の話で、魅力の再確認の共に、未来へ歩む彼女達に安心できる内容だったと思います。

 どれも良かったけど、特に好きなのは未知パイの話かな。ノラの全く説得力の無い「負けるもんか!」がまじで面白かった。ずっとそれしか言わんし。未知パイのツッコミもキレキレで、彼女の冥界での衣装がまた見れて良かった。まさかの展開にもかかわらず、綺麗なオチでよくできてたわ。
 あとはやっぱノエルですね。流石にメイン√は難しいポジションなので、こういう形で彼女の魅力を発掘できて良かったです。ここで言うのもなんだけど、スーツ姿の女の子好きなんよね。

 ネコのお考えはどれも相変わらず面白かったけど、強いて3つあげるなら「ポエむ」と「むるむるむるー」そして、10個ある「極寒皇女アイリス」が好きですね。特に「極寒皇女アイリス」はオマケらしい内容かつ、爆笑できるくだらなさが最高でした。アイリスの声優さんホントすげえよ、と改めて思える全力演技。しつこいけど、ほんと病み付きになる。魔物図鑑できそうなくらい、魔物沢山出てきたのも良かったです、バカな賑やかさが『ノラとと』らしくて大好きです。



6.さいごに

 まとめになります。

 1でも十分名作クオリティだったんですけど、2のパワーアップには驚かされました。優劣を付けたい訳ではないけれど、自分がハマった状態でプレイしてたからか、2の方が笑ったし、好きになれる部分が多かった気がします。ギャグのタイミングやキレの良さは相変わらず最高で、それを維持したまま、シリアス要素を用いた感動の引き上げがされていたと思います。どの√に入っても、皆がいてくれる安心感というか、心強さというか、賑やかさみたいなのも健在で、だから盛り上がりが欲しい時に自然と盛り上がる、いつもの雰囲気に戻したい時に、いつでも戻せる(戻ってこれる)感じも大好きですね。
 ニューヒロイン、アイリスへのバトンパスも綺麗すぎて、プロローグ時点でそれを確信させてくれたのは本当に凄かった。いわゆる共通√で、新しい風を感じさせながらも、『ノラとと』の雰囲気を損ねない、寧ろ底上げしてくれる様な作りとでもいいますか。アイリス、ノエルのキャラクタ―性も文句なしに良かったです。お蔭でアイリスは『ノラとと』で一番好きなキャラになりました。

 イラスト・音楽などの演出周りも変わらず良かったですね。1よりイラストのシチュは好きなものが多かった印象。だから、感想ツイートにもそれを貼ったんですけどね。プロローグで、ちょっとアニメーション入ったのも良かったです。魔法が絡むので、ああいうインパクトあるシーンではアニメーション入ると興奮度が増します。パト達の戦闘シーンも多くて、恋愛ゲームなのを忘れるくらい熱かったのも良い所。勿論エッチシーンはエッチシーンで、相変わらずエロい構図が多い。シャチが今回も優勝。システム周りも変わらず優秀。インストール完了時に、1の設定を引き継いでくれるとこにはびっくりでした。初めての経験で、痒い所に手が届くというか、こういう気遣いを感じれるシステム作りには更に好感度アップです。

 とゆーことで、感想は以上になります。ここまで読んでくださった方ありがとうございます。そして、改めて制作に関わった皆さん、本当にありがとうございました。前作で感じた良い所を更にパワーアップさせて、『ノラとと』のこだわりを凝縮した様な作品でした。個人的には久々に神ゲーだなと想える作品だったので、忘れかけた頃にプレイしてこの雰囲気を定期的に味わいたいなと思います。

 ではまた!




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