見出し画像

『ノラと皇女と野良猫ハート』感想

 どうもです。

 今回は2021年2月26日にHARUKAZEより発売された『ノラと皇女と野良猫ハート1+2 5周年記念コンプリートパック -5th Anniversary』に入ってる、『ノラと皇女と野良猫ハート』の感想を書いていきます。すぐ書けなかったのは春アニメ総括記事と被ったからです(言い訳)。これ書かないとスッキリしなくて、でも早く『ノラとと2』もやりたいし、みたいな心境で書き始めております(笑)



 主題歌「野良猫ハート」は結構好き。というか、ヒロイン達が歌っているだけあって歌詞もメロディも作品の雰囲気に凄い合ってたなっていうのをクリア後に凄い実感できる曲でした。やった人なら伝わってるはず!

 作品自体は2016年のものなので、もう評価や感想も溢れてるし、それで興味が湧いて購入に至ったって感じです。では、いつも通り攻略した順番に感想書いていきます。こっからネタバレ全開なんで自己責任でお願いします。



1.黒木未知(くろき みち)

 4人の中では愛に満ちていた物語だったなと。未知パイ(この呼び方が一番しっくりくる)何回「好き」って言ったんだろうな。告白して、徐々に気持ちの強度が上がって、完全に吹っ切れてからは、本当に幸せそうで…。デレデレしてる時期がほんと微笑までした。終盤の展開も感動的で熱かった。あとは名前の通り、"未知なもの"、"不可思議なもの"、"尺度として測れない様なもの"を軸として物語が最後まで展開されてて、とても良かったです。

 彼女が知らないものを知る事に対する考え方を覆した"恋"というもの。その中でも、"不可思議の涙"はラスト見事な場面で回収され、かなり泣きを誘われました。だって、あんな感情の勢いそのままに、好きを伝えられたらもうね。「命に練習が無いように、生まれてからずっと、命が本番であるように!!」とか流石に胸が熱くなりました。
 わからない気持ちから逃げる事を止め、認めた事で、そのままその気持ちが強さに変わった。だから"無敵"なんだと思います。わかったらそれはある意味測れてしまう。完全に理解する事なんてできない、測れないくらいの気持ちを"無敵"であり、"強さの尺度"に位置づけたのは非常に彼女らしかったです。というのも、届かないけどいつか届くかも。そのくらい未来まで永遠に続いていて欲しいっていう想いが込められていたからです。あとは、恋愛の事に限らず、彼女の背中を押す、仲間達の支えも凄い気に入っていて、誕生日会のシーンとかは特に気に入っています。

 母親との関係上、わからない事に対する恐怖や不信感みたいな感情が人一倍強く、加えて、甘える事を我慢してきた彼女。それ故に独占欲が強くなるのも必然だったと思います。根が真面目で努力家なので、ノラとの関係にしても、わからないなりに好きを表現した結果、不器用に働くこともあって、それが逆に健気さを際立たせて可愛いらしい子でした。幸福というものが欲でもあり、枷にもなっていたのは、ずっと相反する感情を抱えて生きてきたから。そーゆープラスマイナスの振れ幅が大きい子ほど、感情表現が豊かで。それを制御できるから、やると決めた時の意思の強さみたいなのは凄いなと、改めて想えたのも良かったです。"好き”に対しても一生懸命な彼女の姿が応援したくなるというか、とても好きです。



2.明日原 ユウキ (あすはら ゆうき)

 思い遣りとか、恩返しとかの側面が強く、それ踏まえての2人の恋だったなと思います。過去描写も多く、この√だけの初めて見る明日原の表情が多く貴重で、彼女の核心に触れてる感は一番強かったなと。あとは、幼馴染全員との友情物語としても良くできていて、感動の中に青春に相応しい爽快感もありました。

 もう変えられない、逃げる事はできない自分の過去の経験。逃げてばっかりで、辛い想いをして人生までをも捨てようとした彼女だからこそ、もう逃げる事は止め、罪悪感を抱え赦すまでに1人で向き合い続けていた。一度決心した、その時限りの理不尽な力、仕方ないって思うしかない力にも耐えるという事とかは、自分を赦す事にも繋がっていたと想うと切なかったですね。彼女が経験した身に染みているからこその考え方であり、理にかなっているから尚更。ただ、やはり1人では耐えきれず、自然と拠り所を求めている自分もいて。そこから彼女が受けきれないなら、俺達が受けてやると言わんばかりに、ノラ達が本気になってくれた。それを受けて明日原も本気になる。「助けるくれた人たちを、捨てるような真似は絶対にしない」、そう彼女の中で優先順位がハッキリしている描写がほんと良かったです。やっぱり自分の中の"絶対"をちゃんと持ってる人は、何があっても折れない強さを持ってるなと。

 いつも元気で周りを励ます様にしていた彼女。どうしてそこまで相手を思い遣れるのか、不器用なりにも優しさを振りまいてくれるのか、その精神の根本が分かったのと、それがちゃんと巡り巡って彼女自身を救う形になっていました。痛みを知っている分だけ優しくなったその先の、実行に移す強さですね。元々頑張り屋さんですから、時間はどれだけ掛かっても彼女は必ず乗り越えていくんだろうと思います。この√に限らず、作品全体を通して、彼女の人に寄り添えからこその、明るい笑顔と元気な声にエネルギーを貰えてたと思います。なのでそんな所が大好きです。



3.夕莉 シャチ (ゆうり しゃち)

 家族愛含めた甘々エピソードって感じでした。もうシャチから溢れんばかりの母性が凄まじかったわ。でも、それはノラママ由来の、きちんとした母親像を以てしてのもの。あと、この2人みたいな「お前らもう早くくっ付け!キスしろ!」みたいなゴール明確系恋愛好きなので、最高でした。明かされたナレーション設定も感動に一役買ってくれてたなと思います。

 ゴールは明確ではあっても、そこまでの過程も素晴らしかった。元々は家事も上手にできなくて、でも周囲の心の機微には敏感だから行動に移す事はできる子で。"誰かの為に"というその強い一心でここまで成長してきたのかと。そーゆー幼い頃からの生い立ち含め語られたので、シャチの中で形成された感情やノラに対する想いなんかにしっかり説得力を持たせてくれてたと思います。ノラと母親の様に家庭を守りたい気持ちも、ノラを異性として好きだという気持ちも、どちらも本物で本気で。だからこそ、両方満たせる(シャチが納得する)ノラの出した結論にはもう、ありがとお!!って感じでした。あのシーンで珍しくたじろぐシャチも可愛かったな。恐らく、シャチとしても同じ様な考えはあったはずで、だけど現状だけでも十分幸せだから、これ以上の幸せを貰ってもいいのかという戸惑いが出たんだと思います。我慢していたものを掬ってくれたという事も含めての喜びだったと思うと、ホント良かったね、と心底から思いました。しかも、結婚する為のハードルリストとか、元々考えてたでしょ!とかちょっと思いましたもん(笑) 幸せのお裾分けに感謝。

 この√で初めて弱音を吐く、シャチなんかも見れて新鮮でした。普段面倒見良くって、頼りになる存在だからこそ、そーゆーホントは見せて欲しくないけど、思いがけず知ってしまった一面って、ギャップでグッときますよね(伝われ)。あとは付き合いを認めてから、ちょっと良い意味でブレる様になったシャチがとても良かったです。恥ずかしくなったり、嬉しすぎたりすると声のトーンが上がるのがむっちゃ好き。普段のダウナー気味の声質も好きなので、余計良かったですね。



4.パトリシア・オブ・エンド

 メインヒロインなだけあって、他3人より長尺で内容も文句なしに良かったです。命とは何なのか、それがもたらしてくれるモノは何なのか、ノラとパトリシアの関係と、ノラからノラママへの想い、そしてパトリシア達の姉妹愛まで絡めながら、濃厚に描いてくれました。

 聞こえないものを聞こうとする、そして聞こえる様になった音を頼りに、生の鼓動、命に近づいていく。元々、地上に死を与える、命を奪う事が目的だったのに、それをすっかり忘れるくらいには、その魅力に惹かれていくパトリシアの姿がとても良かったです。恋をして鼓動を感じるというのも、ロマンチックでこの作品設定に於いては、それ以上の意味合いも沢山あって素敵でした。「死ぬ覚悟で、生き返ったわ」とかね。彼女なりの見解には色々気付かされるというか、ハッとさせられるものがあったなと。だから、彼女が何かを知る度に教えてあげたい、共有したいという、ルーシアやユウラシアに対する彼女の想いも応援したくなる一方でした。絶対理解してくれるっていうのを姉妹愛から感じたから余計に。ノラの家族に負けないくらい、いい家族でした。
 そして、そんなパトリシアが地上にいてくれるからこそ、信頼しているからこそ、冥界へ向かう覚悟を決めたノラも良かったです。別れ時の「お前の!! 命だから!!」が凄い好きです。家族ぐるみの問題でもあり、家族を失う悲しさを知っているノラが行くのはある意味、出逢いと別れに対してケジメを付ける様にも思えて良かったです。忘れたかった、でもそんなはずいではない母親への想いをきちんと整理して、離れ離れになっても音は自分の中で聞こえるという事を示す為に。シリアス感動っぽくしたとしても、1000年が3日のくだりでいつも通りの雰囲気に戻して締めてきたのは、この作品らしくて大好きです。

 改めてパトリシアは好奇心旺盛かつ諦めない前向きな心の持ち主で、どんどん吸収して自分のものにしていく姿が印象的でした。ただそれを自分だけのものにせず、皆に平等に振る舞うところがまた良かった。幸せそうに喜びを語るから、そんな彼女が好きだと、ノラや彼女の家族からも言われて、これは文句なしの愛されキャラだったなと。暗闇の寂しさを嫌うからこそだったっていうのも、ほんと愛おしくなる設定で、だから何かある度に、ノラ!ノラ!と元気に動く姿なんかは目に浮かぶくらい好きですね。あとはもう娯楽に食事等々、地上での生活に馴染んでいく3姉妹がひたすら微笑までした。テレビ番組の取り合いとかむっちゃ好きです。



5.さいごに

 まとめになります。

 非常に完成度の高い作品で、名作と言われるだけあるなと納得できたし、本当に終始楽しかった。ファンタジー要素があるのに、それをあまり感じさせない、地に足のついた感じがとても良かったです。ノラを中心とした日常の描きに抜かりが無くて、その延長線上にファンタジーを置いていたからだと思います。童心を想い出させてくれるくらい、面白可笑しく、くだらない事まで丁寧にテンポよく描いてて、そこから生まれる感動を自然な流れで置いていく。無理をしない、このキャラ達から生まれる限界ギリギリの感動と言うか、キャラ一人一人を大切にしてるなっていうのも感じる事ができて良かったです。サブキャラもみんな好きです。どの√でも皆登場してくれて、各人物像も√によって全く揺らぐ事がなかったお蔭ですね。√によって少しずつ変化していく作品もいいけど、√関係無しに展開していく作品の方が好きかもなと改めて想えた事には感謝です。

 イラスト・音楽などの演出周りも結構良かったです。イラストはエッチシーンのインパクトが強いのが何枚かあって最高でしたね。音楽は挿入歌多めなのは少し意外でした。でも歌詞がしっかりリンクしていて良かったと思います。あとは何といってもナレーションボイス、初めてだったので新鮮でした。段々慣れてきて、すっかりハマった頃に、それも伏線でしたーって回収されたのは上手かったなと。システム周りについては、これまでプレイしてきた作品の中で一番快適だった。痒い所に手が届くというか、細かい所まで設定が行き届いていました。会話メインである、この作品を楽しんで欲しいという想いが企業努力としてしっかり表れていたと思います。

 とゆーことで、感想は以上になります。ここまで読んでくださった方ありがとうございます。そして、改めて制作に関わった皆さん、本当にありがとうございました。オマケパート含め、こだわりが詰まった、笑いも泣きも盛り沢山の作品で、面白いより楽しいが勝ったのは久々でした。きっと『ノラとと2』もくっそ楽しいんだろうなと今からプレイするのが楽しみです。またクリアしたら感想書きたいと思います!

 ではまた!




Copyright (C) HARUKAZE. All Rights Reserved.


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?